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実はアベノミクスが手本?株価上昇でリスク先送りの中国|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

習近平体制は過剰生産業種の整理、汚職摘発といった改革を進めてきたが、それは経済成長にブレーキをかけている。汚職摘発を恐れる地方政府幹部は公共投資を過度に抑制したため、金の巡りが急速に悪化した地域が散見された。消費、輸出にも力強さが欠ける。


 人々の成長期待が急激に低下すると悪循環が始まる。それを避けるため、政府は株価を押し上げたかったようだ。また、国有企業の株式上場が控えていること、中小企業・ベンチャー企業の資金調達先をシャドーバンキング(金融当局の規制外での金融取引)から資本市場にシフトさせたい事情も背景にあるだろう。


 ハードランディング・リスクの低下も株価上昇につながっている。その最たる例は、地方債務問題における不透明感の後退である。5月中旬に中国政府は、金融機関に地方政府債務に対する投資や融資の継続を促す通達を出した。人民銀行も、銀行に地方政府債券購入を促すために預金準備率を引き下げたり、同債券を資金供給の適格担保に認めるなどしたりして、地方債務問題をサポートしている。


 これを受け、当面は大規模なデフォルトは発生させないことを当局が事実上確約したと市場では解釈されている。当然それで地方債務問題が解決するわけではないが、目先のテールリスク(想定外の巨額損失リスク)は縮小した。


 また、市場の金融緩和期待も株価を押し上げた。「QE(量的緩和策)も始まるのでは」との期待を抱く株式市場参加者もいる。


 しかし、QEに関しては、人民銀行ははっきりと否定している。現在、政策金利である1年物貸出基準金利は5%台だ。利下げ余地はたっぷりある。また、人民銀行はまだ積極的な金融緩和モードに転換していない。インフレ率の低下を見ながら、実質金利が上昇し過ぎないよう調整している。もし経済の悪化が深刻化したら、順番としてはQEよりも財政出動が先に来るだろう。


 なお、深圳市場における株の新規口座開設の年齢別構成比を見ると、30歳以下が最近急増している。つまり、以前の上げ相場でやけどした経験を持たない若い世代が株価上昇のドライバーとなっている。