今月16日に衆議院を通過した安全保障関連法案は、27日、参議院本会議で、安倍総理大臣も出席して、趣旨説明と、それに対する質疑を行ったあと、特別委員会でも趣旨説明が行われ、審議入りします。
そして、28日から特別委員会で安倍総理大臣にも出席を求めて実質的な審議を始める方向で、与野党が調整を進めています。
与党側は、依然として法案への国民の理解が十分に得られていないとして、参議院の審議では、与党の質問時間をより多く確保して、政府側に必要性などを丁寧に説明するよう促す方針です。そして、法案が参議院に送られて60日たっても採決されない場合、衆議院の3分の2以上の賛成で再可決できる、いわゆる「60日ルール」を使うことなく、参議院でも可決して成立を図りたいとしています。
これに対し、民主党などは、野党各党にも連携を呼びかけて、与党側に参議院でも徹底的な審議を行うよう求めていくことにしていて、法案の衆議院通過後、各種世論調査で内閣支持率が下がっていることなどを踏まえ、法案の問題点を世論に訴えることで成立を阻止したい考えです。
また、野党側は、新国立競技場の整備計画を巡って、安倍総理大臣や下村文部科学大臣の責任を追及する構えで、すでに合意している参議院の予算委員会に加え、衆議院でも予算委員会で集中審議を行うよう与党側に求めていくことにしています。
政府与党協議会には、政府側から菅官房長官、与党側から自民党の谷垣幹事長や公明党の井上幹事長らが出席しました。
この中で、菅官房長官は、安全保障関連法案が、27日に参議院で審議入りしたことに関連して、「『戦争法案』とか『徴兵制』といった誤解を解くべく、きちんと説明をしていきたい」と述べました。これに対し、自民党の谷垣幹事長は「厳しい審議になると思うが、丁寧に説明していきたい。いろいろと重要な案件があるので、緊張感を持って臨みたい」と述べ、政府・与党で連携して、法案の必要性などを丁寧に説明し、国民の理解を得て早期成立を図る方針を確認しました。
また、会議では、新国立競技場の整備計画を巡って、菅官房長官が「ゼロベースで見直し、できるだけコストを抑えていきたい。秋口には新しい計画を策定したい」と報告したのに対し、公明党の井上幹事長は「これまでの経緯を検証し、責任の所在を明確にして進めることが大事だ」と指摘しました。