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焦点:4─6月マイナス成長の公算、構造問題置き去りで長期停滞懸念 | Reuters

輸出・生産の大幅な下振れを起点に、日本経済は回復期待が一転して景気後退懸念に変わってきた。民間調査機関は4─6月期の国内総生産(GDP)成長率について、当初のプラス成長から、年率1─2%台の大幅マイナス成長へ見通しを下方修正させた。7─9月も回復力が弱いとの慎重な見方が増えてきた。日本経済の構造問題が置き去りにされ、長期停滞へとつながりかねないとの懸念も出てきた。


<4─6月期は2%超えるマイナス成長予測>


民間調査機関の間では、プラス予想だった4─6月期の実質GDPを大幅なマイナス成長に下方修正する動きが相次いでいる。


バーイクレイズ証券は当初、前期比年率プラス1.4%とみていたが、引き下げを重ね、30日公表分ではマイナス1.7%まで切り下げた。


ニッセイ基礎研究所も2%台のマイナス成長と予測。BNPパリバ証券は、年率マイナス2─3%の比較的大幅なマイナス成長になる公算が大きいとしている。


背景にあるのは、消費、輸出、生産の想定を超える不振だ。30日に発表された鉱工業生産は前月比プラス0.8%となったが、4─6月期は前期比マイナス1.5%と3期ぶりの落ち込みとなった。


さらに7─9月期についても、懸念が広がり出している。バークレイズ証券はプラス2%成長からプラス1.5%に引き下げ、ニッセイ基礎健はゼロ成長に近い横ばいの可能性もありえるとしている。


BNPパリバ証券は、外需の回復が期待しにくいとし、1%台にとどまるとみている。


他方、7─9月期には、春闘での賃上げや夏のボーナス増加を背景に夏場の個人消費は回復するとの見方や、米国経済の回復で輸出が持ち直し、GDPは回復を実感できる水準に持ち直すとの見通しを出している民間調査機関も複数ある。


しかし、シンクタンクのマクロ予測とは別に、ビジネスの現場からは、厳しい見通しも出ている。


三越伊勢丹ホールディングス(3099.T)の石塚邦雄・代表取締役会長は、ロイターの取材に対し「夏場以降の消費もそれほど強くならない」と語った。


所得増加の恩恵はごく一部の家計にとどまり、地方を中心に長期のデフレマインドから抜け出せていないとの見解を示した。


海外需要に関しても、中国経済の停滞を懸念する企業からの声が多い。


7月ロイター企業調査では、4月からの事業計画が下ぶれた企業は国内需要については3割弱、海外事業では2割強にのぼり、計画上振れ企業を大きく上回った。「中国株の乱高下にみられるように、中国景気に陰りが見える」(化学)といった声が目立っている。


第一生命経済研究所の主席研究員・新家義貴氏はこうした状況について「今後の展開如何では、景気後退局面と判定される可能性があることに注意が必要」だとみている。


<17年の消費増税への影響>


消費税引き上げから1年がたっても、景気立ち直りの力が弱いことについて、学者やエコノミストからは、人口減少や構造問題に伴う長期停滞論も浮上。17年4月に予定されている10%への消費税引き上げに関する政府の判断にも、影響が出かねない状況になりつつある。


ニッセイ基礎研究所・経済調査室長の斉藤太郎氏は「昨年から景気回復見通しは、誤算続きだ。金融市場が明るかったので実体経済の悪さが目立っていなかったが、構造的な長期停滞を意識せざるをえない」と語る。


さらに日本だけでなく、中国、アジアの成長鈍化も指摘されている。日本経済研究センターの予測では、中国の成長率は生産年齢人口の減少や地方債務問題から、17年以降大きく減速し、2025年に4%程度まで低下。


それに伴いASEAN東南アジア諸国連合)域内の各国も、16年の5.3%をピークに25年に4%程度まで低下していく見通しとなっている。海外の高成長を取り込むという成長戦略も、従来ほどの勢いは見込めそうにない。


政府・日銀は景気回復シナリオを前提に物価や成長、財政再建の道筋を描くが、早くも実体経済には黄信号が点灯しつつある。新家氏は「景気はまさに正念場を迎えている」とみている。


#アベノミクス