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アングル:米企業の設備投資、「軽量小型化」で把握困難に | Reuters

米企業の設備投資が急速な変化を遂げている。ビルや機械といった「記念碑」的投資から、ソフトウエアや小型かつ低コストのハイテク設備へと軸足が移り、従来の公式統計ではその全容が把握できなくなっている。


例えば、これまで自社独自のシステムを購入、維持する必要があった事務処理については、クラウドサービスに切り替える企業が多い。


米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長ら幹部は、設備投資が緩やかな回復にとどまっていると指摘してきたが、公式統計で示されるほど憂慮すべき状況ではないのかもしれない。


米商務省の統計では、ソフトウエアや研究・開発(R&D)投資のほか、書籍や映画、音楽など「芸術関連の原作」に対する支出までカバーされている。しかし新たな機械を使用するための職業訓練コストや、その機械を維持するのに必要な高給の専門家の採用費などは統計から抜け落ちている。価格低下の影響も十分に反映されていない。


エコノミストは過去何十年もの間、雇用は設備投資と足並みをそろえて拡大すると想定してきた。しかし現在、企業は高い利益を上げ、バランスシートが健全であるにもかかわらず過去の景気回復局面ほど設備投資を伸ばしていない一方で、人員の採用は続けている。


ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのエコノミスト、ティム・クィンリン氏によると、現在の設備投資は景気後退前のピークを15%しか上回っていない。これに対し、今回に匹敵するほど長かった過去3回の景気回復局面では、設備投資は前回ピークを平均66%ほど上回っていた。


米政府もこの変化に注目している。ホワイトハウスのファーマン経済諮問委員会(CEA)委員長は先月の講演で、2010年以来、政策担当者やエコノミストを悩ませてきた投資の減速は、大半が設備投資の鈍化だったと説明。しかし知的財産その他の非現物資産への投資は加速していると指摘した。


ファーマン委員長はロイターに対し、機械への投資と異なり、新たなテクノロジーやノウハウに対する投資は、他の事業にも恩恵をもたらすような成果を生む傾向があると述べた。「良い波及効果があることが分かっている」という。


もちろん、だれもが勝ち組になるわけではない。


<小型化>


スタンフォード大のエコノミスト、ニコラス・ブルーム氏は、R&Dやソフトウエアへの投資は熟練労働者に有利で、「生産性を向上させる」効果があるが、「非熟練労働者が解雇されやすくなる可能性もある」と語った。


ブルーム氏によると、昔ながらの設備メーカーの多くは製品を更新したり、製造拠点を海外に移したり、国内の弱い需要を補うために新興国向け輸出を増やすといった対応を迫られている。


ドッグフードやシリアルの工場で使われる産業用乾燥機のメーカー、ビューラー・アエログライドは、スリム化を図った企業の一例だ。アンドルー・シャープ最高経営責任者(CEO)は「顧客は明らかにより小型の機械を求めている」と語り、一部機器のサイズを2割小型化したと説明した。


幅広い産業と地域を代表する製造業にインタビューを行ったところ、多くの企業は古い方法に戻す計画はないと答えた。景気が持ち直せば投資を増やす可能性はあるが、特許や新製品開発など、いわゆる無形資産への投資を増やし続ける方針だという。


価格の下落も変化を後押ししている。濾過設備や医療用設備を製造するマディソン・インダストリーズのラリー・ギースCEOは、「私が購入する物は、ソフトウエアからロボット、機械、その他ありとあらゆる物にわたって単位コストが下がった。だから半分のコストで同じ成果が得られるようになっている」と語った。


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