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世界経済は「リーマン直前」とまったく似ていない|野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて|ダイヤモンド・オンライン

 今回の下落は、アメリカの利上げが原因だ。それによって、資金が原油投機から引き揚げられているのだ。


 以上で見たように、一見して同じような現象が生じていても、その裏にあるメカニズムはまったく違うことがある。断片的な経済指標をつなぎ合わせるだけでは、経済状況を正しく理解することができない。

リーマンショック後に各国が金融緩和を行ない、バブルが発生した。バブルが発生したのは、アメリカではなく、新興国、とくに中国と資源国である。それがいま崩壊している。これが、現在発生している社会的な経済混乱の本質である。


 中国はリーマンショック後に巨額の財政支出と金融緩和を行ない、不況を回避した。しかし、この政策が、その後中国経済に大きな歪みを与えた。現在の中国経済の減速は、その後遺症である側面が強い。


 世界は、このことから教訓をくみ取るべきだ。つまり、大規模な経済刺激策は、一時的には経済をマイナス成長から救うことができるかもしれないが、しかし大きな後遺症を残すということだ。

リーマンショック直前は、世界経済が異常な状態で膨れ上がり、それが崩壊する間近の状態だったのである。


 リーマン前のバブルはアメリカで生じたのだが、その後、世界の先進国は金融緩和を行ない、バブルは別の形をとって継続した。「投機の時代」が続いたわけである。


 石油価格の高騰や新興国の株価、通貨の高騰がこれによって生じた。


 現在は、アメリカの金融正常化によって、これまでのバブルが終了しつつある状態だ。


 その意味で、世界経済は正常な状況に戻りつつある。リーマンショックが異常な状態を引き起こしたのに比べると、正反対である。

 世界経済が問題を抱えていることは事実だ。


 それは、サミット宣言の基本認識に表れているとおりである。「世界経済の回復は継続しているが、成長は穏やかで、国によって差がある」というものだ。


 重要な点は、「成長率が緩やか」という点と、「国によって差がある」という点だ。

安倍晋三政権が発足して以来直近3年間の日本経済の成長率は、平均0.6%にとどまった。


 それに対して、アメリカ経済は、堅実な成長を続けている。この3年間の実質成長率は、2.1%であり、日本の4倍近い。そして利上げを進めている。


 つまり、問題を抱えているのは、日本なのである。


 だから、本来であれば最も長期的な対応を行なわなければならないのは日本だ。その日本が短期的な財政政策に依存しようとしているのは、極めて異様な姿である。


 安倍首相はこれまで、「消費税増税再延期は、リーマンショック並みの経済危機がない限り行なわない」としていた。選挙対策のために再延期せざるをえなくなったが、従来の説明との整合性から、「現在がリーマンショック直前と同じ」と強弁せざるをえない状態に陥っているわけだ。


 現政権は、誤った政策を採用しようとしているだけでなく、それを説明するロジックについても、誰もがおかしいと思う不思議な論理を持ち出さざるをえない状況に追い込まれている。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160601#1464777939
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160531#1464691106
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160530#1464604711
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160529#1464519100
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160528#1464431726