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大企業を辞めた40代たちはいかに満足いく働き方を見つけたか 『 会社に頼らないで一生働き続ける技術 ─「生涯現役」40歳定年のススメ』|要約の達人 from flier|ダイヤモンド・オンライン

要約者レビュー

 有名企業に勤めていても、いつ職を失うかわからない時代が到来している。日本の経済情勢がこのままならば、やがてさらに公務員の給料も減らされ、年金の受給開始年齢の引き上げや支給額の減額も行われるだろう。政府の「一億総活躍」というスローガンはすなわち、生涯現役で働き続けられるような実力を身につけよということである。


 本書は、著者自身の経験からだけでなく、様々な業界から転職・独立した人たちへのインタビューを踏まえながら、満足のいく働き方を続けるために何をするべきなのかを総括している。実際の体験談を元にしているため、起業をするかしないかにかかわらず一人ひとりが「起業家精神」を持たなければならない、という著者の主張には説得力がある。


 独立・起業できるかどうかを分けるのは経営知識やスキルの有無ではなく、気づきの力であるというのが本書の主張だ。かつて、パナソニックの創業者である松下幸之助が市電の走る姿を見て「これからは電気の時代がくる」と確信したように、ある現象から何を感じ取るかによってその後の歩むべき道は変わる。そのような感覚は一朝一夕で身につくものではないが、先人たちがどのような気づきを得て自らの道を選択したのかを知ることで、将来の指針が見えてくることもあるだろう。本書で紹介されているモデルケースの数々は、将来像を描いていくうえで大きな参考となるはずだ。 (石渡 翔)

本書の要点

・独立した後は小さな実績を積み重ねていくことを優先すべきである。


・転職や独立はあくまで自分の意志で行うべきだ。そうすることで「覚悟」が生まれる。友人やコンサルタントに頼ってしまうと、失敗した時に他人の責任にしてしまう。


・大企業からの転職を成功させるためには、(1)専門性を磨くこと、(2)人脈をつくること、(3)必要なことを積極的に学ぶ姿勢を持つことが肝要である。

 著者はNECに3年余り在籍した後、ジャーナリストになるという夢を叶えるため、朝日新聞社に入社した。そして約13年務めた後に独立した。ちょうど40歳の時だった。


 大新聞社において、40歳頃はちょうどキャリアの曲がり角に当たる。現場の記者が書いた記事の修正や、追加取材の指示が主な業務になってくる頃であり、その後は営業や管理部門で管理職になる人も多い。自分で取材を担当することはほとんどなくなる。


 著者が退職を考えたのは、社内での過剰な出世競争に嫌気が差したからだ。著者の所属していた経済部は、政治部と交代で社長を送り出す部署だったため、そこで頂点に上り詰めれば役員以上になることが保証されていた。実際、読者のために記事を書くというよりも、自分の出世を考えて記事を書く風潮があったという。


 また、記者クラブの存在により、自分で勉強するよりも、権力に媚びて情報をもらうことのほうが重要視される環境にも問題意識を抱いていた。世の中が大きく変わっていく中、勉強しない新聞記者はやがて世間から取り残されると考えた著者は、社内でも勉強会をするべきだと提言したところ、先輩記者からは「君は頭が悪いから勉強したいのか」と嘲笑されてしまった。実際に勉強会を企画しても、集まったのはわずか数名だった。