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核兵器禁止条約は、核兵器の開発や保有、使用などを国際法で禁止し核兵器の廃絶につなげようというもので、ことし7月、国連加盟国の6割を超える122の国と地域が賛成して採択されました。


しかしアメリカやロシアなどの核兵器保有国や、日本などアメリカの核の傘で守られた国々は、「現実的な核軍縮にはつながらない」として、条約に反対しています。20日、ニューヨークの国連本部で条約の署名式が行われ、国連のグテーレス事務総長は、「条約は核兵器のない世界に向けた重要な一歩となる。世界と子どもたちの未来を危険にさらすことはできない」として、条約の意義を強調しました。


また条約交渉で議長国を務めたコスタリカのソリス大統領は、「いまだに核兵器を安全保障政策の中に据えている国は、人類と地球を危険に陥れている。すべての国が核廃絶に向けた歩みを進めるよう求める」と述べ、核兵器保有国にも条約への参加を促しました。


このあと42の国と地域の代表が順番に署名し、会場から大きな拍手が上がっていました。条約は50か国が批准の手続きを終えた90日後に発効することになっていますが、署名式の後も署名する国は増え、20日夕方の段階で50の国と地域に達しました。


ただ、ことしの国連総会では、核・ミサイル開発を加速する北朝鮮に対して、アメリカのトランプ大統領が軍事力の行使も辞さない姿勢を示すなど、核軍縮の機運はしぼんでいるのが実情で、新たな条約にいかに実効性を持たせるかかが、引き続き課題となっています。

核兵器禁止条約の署名式では、広島や長崎の被爆者が条約の採択までに大きく貢献したことがたびたび指摘されました。国連のグテーレス事務総長は、スピーチの中で「被爆者は核による破滅的な被害について何度も気付かせてくれ、交渉を進める精神的な原動力となった」と、貢献をたたえました。

国連総会で核兵器の開発や保有などを法的に禁止する核兵器禁止条約の署名が行われたことを受けて、NATO北大西洋条約機構は20日、声明を発表し、「北朝鮮による核開発など勢いを増す脅威に対して国際社会が一致しなければならないときに安全保障上の緊急の課題を考慮していない」として、条約に反対する立場を表明しました。


そのうえで「核兵器禁止条約は、50年近くにわたる核不拡散や軍縮の枠組みとは相いれないもので、国際社会の分断につながりかねない」として、核兵器禁止条約について慎重に対応するよう各国に求めました。さらに「NATOが持つ核能力の基本的な目的は平和の維持と攻撃の阻止であり、核兵器が存在するかぎりNATOは核同盟であり続ける」として核戦略を堅持する姿勢を強調しました。

核兵器禁止条約は、ことし7月、国連加盟国の6割を超える122の国と地域が賛成し採択されましたが、各国のメディアは、アメリカが条約に賛成した国に対して署名を行わないよう圧力をかけていると伝えています。


このうちNATO北大西洋条約機構が主導する軍事演習に参加し、アメリカと軍事面で関係が強い北欧のスウェーデンについては、アメリカのマティス国防長官がフルトクビスト国防相に書簡を送り、条約に署名すれば2国間の防衛協力に悪影響を及ぼすと警告したと伝えられています。


またスリランカについては、複数の政府関係者の話として、アメリカの圧力によって条約に署名するのが難しくなっていると伝えられています。


このほか、条約の交渉で活発に発言してきたスイスやマーシャル諸島なども、さまざまな圧力を受け署名できないのではないかという見方も出ており、最終的に何か国が条約に加盟するのか、見通せない状況です。