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インドネシアのジョコ大統領は、今回の一連のASEAN首脳会議で、独自の「インド太平洋構想」を提案しました。

インドネシア政府はこの構想について「インド太平洋地域での国際法に基づく透明性が確保された包括的な協力を各国に提案するものだ」と説明しています。

ジョコ大統領は、ことし4月のASEAN首脳会議に引き続き、今回の一連の首脳会議でこの構想について提案し、ASEAN各国が団結する必要があると強調しました。

背景にはアメリカや中国をはじめとする大国がこの地域への関与を強めようとするなか、ASEAN各国が大国の争いに巻き込まれ、分断されるのではないかという懸念があります。

インドネシアとしてはASEANが独自の構想を示すことで存在感を示し、アメリカや中国それに日本などがこの地域に関与する際にはASEANの意向を取り入れるよう求める狙いがあるとみられます。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/15/200230(米副大統領 ASEANとの経済関係強化を表明 中国に対抗)

習近平国家主席は17日からAPECの首脳会議が始まるのを前に15日夜、開催国パプアニューギニアの首都ポートモレスビーの空港に到着しました。

習主席は政府の盛大な出迎えを受けて宿泊先のホテルに向かい、一夜明けた16日は中国の支援で国会議事堂の前に建設された幹線道路や貧困地区に新設された学校を訪れたあと、パプアニューギニアのオニール首相と会談します。

パプアニューギニアはAPECの加盟国では最も貧しい国で、習主席はインフラ整備などへのさらなる援助と経済協力の強化を約束し、これらの事業を巨大経済圏構想「一帯一路」の一部として推進していくことを両国の間で確認する見通しです。

また午後にはフィジーなど太平洋島しょ国の首脳との会議を4年ぶりに開き、関係の一層の強化を打ち出すとみられます。

APECの首脳会議は17日からアメリカのペンス副大統領や安倍総理大臣も出席して開催されますが、今回の会議は中国がパプアニューギニアをはじめ太平洋島しょ国への影響力を誇示するなかで開かれる形となりそうです。

パプアニューギニアは、大小およそ600の島々からなる南太平洋の島国で、国土の総面積は日本のおよそ1.25倍です。

およそ800の部族が伝統文化を継承しながら暮らす一方、天然ガスや金、石油などの資源が豊富でここ10年以上にわたって経済成長を続け、都市部の開発も進んでいます。

太平洋戦争中には旧日本軍と連合軍の激戦地となり、戦後は国連の信託に基づきオーストラリアの施政下に置かれたあと1975年に独立しました。

これまでは、オーストラリアを筆頭に日本やニュージーランドが主な支援国となっていましたが、ここ数年は、中国からの投資や援助が増え、その影響力が拡大しています。

パプアニューギニアは、太平洋島しょ国のなかで、唯一、APEC=アジア太平洋経済協力会議に参加している国です。

2013年に、初めて開催国に名乗りをあげ、独立以来、最大のイベントと位置づけて力を入れて準備を進めてきました。

パプアニューギニアとしては、大型の国際会議を開くことで、豊富な資源に支えられて経済成長を続け、力をつけてきていることをアピールするとともに、さらなる投資を呼び込みたい狙いがあります。

ただ、会場となる施設や道路などのインフラが十分に整っていないうえ首都ポートモレスビーなど都市部では貧困に苦しむ人や若者グループによる強盗や強奪が頻発するなど治安もよくありません。

その一方で、軍の兵員規模は2100人ほどにとどまり警備面での課題もあることなどから、開催が実現できるのか懸念されてきました。

こうした中、外国のクルーズ船を主要な会場の近くに停泊させて関係者の宿泊施設として利用するほか、中国の援助で会議場や道路を建設したり、オーストラリア軍に警備の協力を要請したりと、各国の支援に頼りながら初の大舞台を成功させようとしています。

パプアニューギニアは、旧宗主国のオーストラリアが最大の支援国として、経済や安全保障などの面で強い影響力を持ってきました。

しかし、ここ数年は中国がインフラ整備など経済発展の支援を急拡大させてパプアニューギニアとの関係を深めていて、オーストラリアでは警戒する声もあがっていました。

パプアニューギニアはオーストラリアのすぐ北にある一方で、2段階に分かれている米中の攻防ラインのうち、外側にあるいわゆる「第2列島線」の延長線上の近いところにあり、安全保障上、重要な場所に位置しています。

ニューギニア島の北にあるマヌス島にはパプアニューギニア海軍の基地があり、改修工事が計画されています。

この計画をめぐっては中国が関心を示しているとの報道が流れたのに対して、オーストラリアが中国の軍事利用につながりかねないと警戒し先手を打つ形でパプアニューギニアに基地改修の資金援助を申し出て軍事的な連携強化を確認しました。

このようにパプアニューギニアは影響力を強めようとする中国とそれを阻止しようとするオーストラリアの攻防の舞台となっています。

巨大経済圏構想、「一帯一路」を掲げる中国は、アジア太平洋地域で鉄道や港湾など大型のインフラ投資を各国と共同で手がけて、存在感を高めています。

このうち、東南アジアのタイやラオスでは、中国の昆明とを結ぶ高速鉄道の建設が中国から資金や技術の支援を受けて進められています。

カンボジアでは、中国の支援でダムや道路などが次々と整備されていて、2010年に支援額で日本を追い抜いて以降、中国が最大の支援国です。

インドネシアでも3年前に日本との激しい競争の末、中国が高速鉄道の建設を受注するなど、これまで日本が多くの支援を行ってきた東南アジアで中国の存在感が急激に高まっています。

中国によるインフラ支援は、太平洋の島しょ国にも及んでいて、トンガでは政府庁舎や港湾が建設されたほか、パプアニューギニアでは、APEC=アジア太平洋経済協力会議の開催に合わせて、会議場や幹線道路が建設されました。

一方で、中国が手がける巨大プロジェクトをめぐっては、いわゆる「債務のわな」が国際的に問題視されています。

中国がインフラ整備を支援する際、相手国に多額の貸し付けを行い、返済できない場合にはインフラの使用権などを担保として譲り受けるケースがあるからです。

スリランカでは、中国への債務の返済のめどが立たなくなったため、支援を受けて開発された港湾の運営権を、中国に譲渡する事態になりました。

トンガは港湾などの建設支援でGDP=国内総生産の3分の1に相当する110億円余りの債務を中国に対して抱え、返済免除の要請を検討する状況に陥っています。

このため支援を受ける国々では、警戒感も広がっていて、ことし5月に政権交代したマレーシアでは、中国企業が受注していたガスパイプラインやマレー半島を横断する鉄道の建設を停止しました。

さらにミャンマーでも中国企業と進めていた港湾の開発計画について、事業規模を当初の5分の1に縮小することで中国側と合意しています。

こうした中国の動きに対し、アメリカはインド太平洋地域でインフラ整備を支援し関与を強めていくとして、日本などとも連携しながら中国に対抗する姿勢を示しています。

また、太平洋島しょ国への援助を長年続けてきたオーストラリアも島しょ国のインフラ開発を支援するため、1600億円余りの基金を設けることにしています。

中国は、巨大経済圏構想「一帯一路」について、中国の政治的な影響力を拡大しようという意図はなく、支援の対象国の自主性を重んじていると主張しています。

さらに、国際ルールにのっとって構想を進め、支援するプロジェクトの状況に変化が生じた場合は、実態にあわせるよう努力している、としています。

そのうえで国際的に指摘を受けている、いわゆる「債務のわな」については、支援の対象国の過剰な債務と「一帯一路」によるインフラ建設は全く関係はなく、ほかの国や国際機関などからの長期的な借り入れのほうが問題だ、と反論しています。

中国の習近平国家主席は、首都ポートモレスビーの議会議事堂で行われた歓迎式典のあと、中国の援助で議事堂前に建設された幹線道路のしゅんこう式に出席しました。

この中で、習主席は「APECがうまく開催されるよう、中国は良き友人として援助を行ってきた」と述べるとともに、パプアニューギニアをはじめ、途上国の発展のため、今後もインフラ整備などで支援していく考えを示しました。

このあと、習主席はオニール首相と会談し、双方はパプアニューギニアの地下資源の開発を含めた経済協力を一層強化し、巨大経済圏構想「一帯一路」をともに推進していくことで一致しました。

また、習主席は16日午後、滞在先のホテルに、中国と国交のあるフィジーなどの太平洋島しょ国の首脳を招いて4年ぶりとなる首脳会議を開き、一層の関係強化を打ち出すものとみられます。

APECの首脳会議は17日からアメリカのペンス副大統領や安倍総理大臣も出席して開催されますが、中国としては、首脳会議を前にパプアニューギニアをはじめ、南太平洋地域への影響力を誇示するねらいもあるとみられます。

中国が南太平洋地域で影響力を強めていることについて、オーストラリアでは警戒感が広がっています。

南太平洋地域の島しょ国の情勢に詳しいオーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所のジョナサン・プライクさんは「中国の関与は、経済だけでなく、戦略的な意味もあると言われている。太平洋地域に中国が何らかの軍事拠点を設けようとしているとみられることは、オーストラリアにとって大きな懸念材料だ」と述べ、中国による巨額の支援は軍事的な影響力の拡大につながるおそれがあると分析しています。

そのうえで、「島しょ国の側も、それぞれの国内に中国が軍事拠点を設けることは避けようとするはずだが、中国の軍事拠点構築を確実に阻止するためには、オーストラリアや他の国々も、もっと島しょ国に関与すべきだ」と訴え、島しょ国との連携や協力を深める必要があると強調しました。

そして、島しょ国との関係を深める方法については「オーストラリアは、中国と対抗しようとしても、中国のほうがずっと資金も多く、張り合うことはできない。この地域の一員としての利点をいかすべきだ」と述べ、地域的な近さやつながりを生かして島しょ国側のニーズを把握し、人材育成など長期的な支援を行っていくことが重要だと指摘しています。

米中両国は、互いに関税を上乗せし合う制裁措置を発動して激しく対立していますが、今月下旬のG20サミットに合わせて、トランプ大統領習近平国家主席が首脳会談を行う見通しで、一部で摩擦が解消に向かうのではないかという観測が出ています。

しかし、ロス商務長官は15日、アメリカのメディア、ブルームバーグに対し、「うまくいけば、今後の協議の枠組みについて一致するものの、完全な合意に達することはない。それは無理な話だ」と述べ、一部の観測を否定し、貿易摩擦の解消には時間がかかるという認識を示しました。

また、ロス商務長官は、来年1月に中国からの2000億ドルの輸入品にかける関税を、今の10%から25%に引き上げる方針は変わっていないと述べ、中国への圧力は緩めないと強調しました。

米中の貿易摩擦が長期化すれば、アメリカ経済をはじめ、世界経済全体に悪影響を及ぼすおそれが強まるだけに、トランプ政権の出方が注目されています。

ASEAN東南アジア諸国連合関連の首脳会議など、シンガポールでの一連の日程を終えた安倍総理大臣は、日本時間の午後1時半すぎ、オーストラリア北部のダーウィンに到着しました。

このあと安倍総理大臣は、ダーウィン市内の公園を訪れ、ことし8月に就任したモリソン首相とともに、第2次世界大戦中の旧日本軍による空爆で犠牲となった地元の人たちの戦没者慰霊碑に献花し、黙とうをささげました。

続いて安倍総理大臣は、モリソン首相との初めての首脳会談に臨み、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現などに向けて、緊密な連携を確認したものとみられます。

安倍総理大臣は17日、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席するため、オーストラリアを離れ、最後の訪問国、南太平洋のパプアニューギニアを訪れることにしています。

オーストラリア北部のダーウィンに到着した安倍総理大臣は、日本時間の16日午後、モリソン首相との初めての首脳会談を行ったあと、共同の記者発表に臨みました。

モリソン首相は「近代的国家として開かれた自由貿易を行い、民主主義を支持し、保護主義には反対している。われわれの成功には貿易投資に開かれた姿勢を取ることが重要で、この地域の繁栄に不可欠だ」と述べました。

安倍総理大臣は「ダーウィンは、インド太平洋地域全体の安定と繁栄にとっての要だ。自由で開かれたインド太平洋というわれわれの共通のビジョンを実現するため、日豪の特別な戦略的パートナーシップをさらに深化させていくことを確認した」と述べました。

また北朝鮮情勢について、安倍総理大臣は「すべての大量破壊兵器、および、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄の実現、および安保理決議の完全な履行の重要性について一致した。瀬取り対策へのオーストラリアの航空機・艦船派遣に謝意を表し、引き続き日豪で協力することを確認した」と述べました。

さらに、日本やオーストラリアなど11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定の年内の発効が確定したことを歓迎したうえで、年内の実質妥結が見送られたRCEP=東アジア地域包括的経済連携の早期妥結を含め、自由で開かれたルールに基づく、多角的貿易体制の維持・強化のための連携を確認したことを明らかにしました。