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EUはアイルランドの国境問題など離脱の条件を定めた離脱協定案と、離脱後の双方の関係の大枠を定めた政治宣言案でイギリスと合意したことを受けて、25日臨時の首脳会議を開きました。

会議後の記者会見で、EUのトゥスク大統領は各国が合意内容を支持し、EUとして離脱協定案と政治宣言案を正式に承認したと明らかにしました。

またイギリスのメイ首相は、国内で合意への批判が出ていることを念頭に「あらゆる交渉ですべてのものを手にすることはできない。この合意は国益にかなうものだ」と述べ、理解を求めました。

離脱協定案は今後、イギリスとEUの議会に諮られることになりますが、イギリスでは合意の内容に対する不満が根強く、承認されるかどうか依然不透明です。

EUのユンケル委員長は今後、合意の内容についてイギリス側と再交渉をする可能性があるかという質問に対し、「これが、可能なかぎり最善の合意だ」と述べ、再交渉には応じないと明言しました。

首脳会議のあと記者会見したイギリスのメイ首相は、国内で合意への批判が出ていることを念頭に「あらゆる交渉ですべてのものを手にすることはできない」としたうえで、「国民投票で示された民意を実現し、国民が大事に思うことを守ったこの合意は国益にかなうものだ」と述べ、その意義を強調しました。

そして、「これから数週間にわたって国を挙げての議論が始まる。近年にない重要な採決をクリスマス前に実施する」と述べ、年内に議会の承認を求める考えを示しました。

議会では、野党のみならず与党議員からも反対の声が上がっていますが、メイ首相は「国民がともに未来に向けて歩みを進めるのか、それともさらなる分断と混乱を求めるのか。議員にも国民にも全身全霊で訴えていきたい」と述べました。

メイ首相は議会が否決した場合、再び国民投票を行うことや、協定の修正をEU側に求めることについて否定する一方、みずからの進退については「この合意を通すことに集中する」と述べ、言及を避けました。

イギリスとEUは、今回の首脳会議で離脱にあたっての条件を定める離脱協定と、将来の経済関係の青写真を描いた政治宣言について合意しました。

このうち、585ページに上る離脱協定は、イギリスとEUのそれぞれの国で暮らす市民に離脱前と同じ権利を保障することや、イギリスがこれまでに約束していたEU予算の分担金などを清算金としてEUに支払うことが盛り込まれています。

また、急激な変化を避けるために、離脱する来年3月29日から2020年末まで移行期間を設け、この間はこれまでどおり、人やモノの移動の自由を守ることなどを確認しています。

問題を先送りしたアイルランド北アイルランドの国境管理については、移行期間中に厳しい国境管理を避けるための方策が見つからない場合には、イギリス全土が事実上、関税同盟に残るなどとしています。

離脱協定はイギリスとEUのそれぞれの議会の承認を経て法的拘束力を持つことになります。

一方、政治宣言はこれから交渉が行われる政治や経済のさまざまな協定の大枠を定めたもので、法的拘束力はありません。

26ページからなる文書ではイギリスとEUが広範囲な自由貿易圏の創設を目指すとし、治安や安全保障の分野でも協力の維持を目指すことなどが盛り込まれています。

この中で、アイルランド北アイルランドの国境問題については、検問などの設置や国境での関税徴収を避けるため、最新技術の導入を検討するとしています。

また、急激な変化を避けるために設けられる移行期間については、1度だけ、1年、または2年延長することが可能だと記されています。

一方、「イギリスの主権を尊重する」とも明記されていて、イギリス国内の離脱派から激しく批判されているメイ首相への配慮もうかがえます。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/25/200310(EU首脳会議 イギリスの「離脱協定案」正式承認)