ルノー ゴーン体制維持を決定 “不正見つかっていない” #nhk_news https://t.co/I7vZQaX1ii
— NHKニュース (@nhk_news) 2018年12月13日
ルノーは13日、定例の取締役会を開き、日産で会長職を解任され、今月10日、東京地検特捜部に金融商品取引法違反の罪で起訴されたゴーン会長兼CEOの処遇を検討しました。
その結果、ゴーン会長兼CEOを今の地位にとどめたうえで、ボロレCOO=最高執行責任者がトップの職務を代行する現在の経営体制を続けることを決めたと発表しました。
理由についてルノーは、先月23日に始めた社内調査で、2015年から2018年までのゴーン会長兼CEOの報酬について調べたところ、これまでに不正は見つかっていないことをあげています。
また、ルノーには日産の内部調査の結果が弁護士を通じて提供されましたが、この内容について「より詳しく調べる必要がある」としています。
ゴーン会長兼CEOは日産、ルノー、三菱自動車工業の3社連合でそれぞれの社のトップを務めてきましたが、日産と三菱自動車からは会長職を解任されていて、今後、グループがどのような形で運営されるかが焦点になっています。
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/12/13/200430(ゴーン被告の支援、仏政府動かず-エリート主義の印象払拭に躍起)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/12/12/200310(G20ホスト国として、通常であればアルゼンチンの副大統領がタラップの下で待機してマクロンを手厚く迎えるはずが、彼を迎えたのは、2本の横線の入った黄色のベストを着用した空港職員でした。)
日産 ゴーン前会長の後任人事 先送りの可能性も #nhk_news https://t.co/TvbdO8aIrR
— NHKニュース (@nhk_news) 2018年12月13日
金融商品取引法違反の罪で起訴されたカルロス・ゴーン前会長の後任の人事について日産自動車は、3人の社外取締役が今の取締役の中から候補者を提案したうえで、来週17日に開く取締役会で選任することを目指していました。
しかし、関係者によりますと、これまでの社外取締役による協議では、新たな経営体制の在り方を第三者の専門家などによる委員会で議論したうえで新会長を選任すべきだという意見が有力になっているということで、新会長の選任の時期を先送りする可能性も出ています。
日産の会長人事をめぐっては、大株主のルノーが、会長などトップクラスの職にはルノー出身者を1人置くという取り決めに基づいて、みずから会長を選ぶことを日産に対して伝えています。
さらにルノーは、13日に開いた取締役会で、これまでにルノー社内では不正が見つかっていないことなどからゴーン会長兼CEOを今の地位にとどめることを決めました。
日産が新会長の選任の時期を先送りする可能性が出てきたのは、こうしたルノー側の姿勢も影響しているものと見られ、今後、両社の調整の行方が注目されます。
「ゴーン前会長に役員報酬一任」 日産取締役会が文書化 https://t.co/pmztnteQTr
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2018年12月13日
ゴーン前会長側は、退任後の支払いにして隠したとされる報酬について、「希望額」で、社内の手続きを経ていないため「確定していない」と反論している。これに対して特捜部は、取締役会での一任によって、ゴーン前会長が正式な権限に基づいて支払いを確定していたと立証できるとみている模様だ。
関係者によると、取締役の任期(2年)に合わせる形で2年に1回、役員の報酬額はゴーン前会長に一任すると取締役会で決定していた。前会長が社長兼最高経営責任者(CEO)だった時期は「CEOに一任」とし、17年に会長に退くと「会長に一任」と変更された。異論はなく、取締役会の内容は決定事項として文書に残されているという。
「西川社長も報酬不確定を認識」 - ゴーン容疑者側近が供述https://t.co/Rav8qTk5aV
— 共同通信公式 (@kyodo_official) December 14, 2018
前代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)が東京地検特捜部の調べに「(ゴーン容疑者の)退任後の報酬額は確定していないとの認識を西川広人社長と共有していた」と供述していることが14日、関係者への取材で分かった。
西川社長を巡っては、ケリー容疑者が退任後の支払い名目を記した「雇用合意書」にサインしていたことが既に判明しており、改めて説明を求められそうだ。日産は「捜査に関わるためコメントは控える」としている。
【ゴーン氏事件、日産「大誤算」の原因は“司法取引仲介弁護士”か】と題する記事を、ヤフーニュースにアップしました。⇒ https://t.co/U37xoGtQ5H
— 郷原信郎 (@nobuogohara) 2018年12月14日
西川社長が、恐れていたのは、ゴーン氏の起訴が逮捕容疑の「退任後の報酬の不記載」にとどまることで、ゴーン氏の「私物化」を世の中に認識させることができず、ゴーン氏を代表取締役会長から引きずり下ろしたことの正当性が問われることであろう。
その懸念は、同日のフランスでのルノーの取締役会で、「不正が確認できない」との理由で、ゴーン氏の代表取締役会長解任が見送られた、と報じられたことで現実化し、日産経営陣はさらなる窮地に追い込まれることになった。
西川氏らは、「検察の捜査権限」という武器を使って、ゴーン氏を日産の代表取締役会長の座から引きずり下ろし、それに伴って日産の子会社の三菱自動車の代表取締役会長の座を奪うことまではできた。しかし、その捜査の根拠とされた「犯罪事実」が、「退任後の報酬の不記載」という「あまりに薄弱な容疑」でしかなかったため、ゴーン氏を、親会社のルノーの代表取締役会長の座から追うことすらできなかった。その事実だけで、検察捜査が終結してしまった場合、西川氏ら日産経営陣には、ゴーン氏が日産の約44%の株式を持つルノーの会長にとどまり、逆襲してくるという「地獄絵図」が待ち受けることになる。
検察幹部がいくら、自信をもって「有報の虚偽記載は重大だ」と強調しても、相手にされなくなりつつある。朝日と同様に「ゴーン叩き」を続けてきた日経新聞ですら、町田祥弘青山学院大学大学院教授の「投資家の判断に大きな影響を与える重要事項とは言えず、虚偽記載といえる水準にない」との見解を紹介するなど(12月12日日経朝刊)、「退任後の別の契約による支払の合意」では虚偽記載罪に当たるのか否かも疑問という認識が、マスコミにも世の中にも確実に広がりつつある。
検察の「刑事立件の見通し」が日産側に伝えられないのであれば、司法取引を仲介した弁護士(おそらく「ヤメ検弁護士」)が、検察実務の観点から、その見通しを自ら正確に予測して、日産側に伝えなければならなかった。
しかし、その仲介弁護士の見通しが誤っていたため、結局、「司法取引」の段階では、日産は「特別背任等の実質犯の立件を予想」、一方で、検察は、「有報虚偽記載で十分と考え特別背任の立件は予定しない」、という「同床異夢」の状況で、「クーデター」に至ったということではなかろうか。
そうだとすると、日産側の致命的な「誤算」は、「司法取引を仲介した弁護士」の判断の誤りによるものということになる。
このようなことが起きるのは、米国では一般的な「自己負罪型」を導入せず、「他人負罪型」のみ導入した「日本版司法取引」の構造的な問題だと言える。
アメリカの「自己負罪型」であれば、司法取引が成立すれば、有罪答弁によって、裁判も経ることなく事件は決着するので、それはただちに表に出ることになる。しかし「他人負罪型」は、その「他人」の刑事事件の捜査を経たのちに、検察の判断としてどのような刑事処分が行われるのかが明らかになる。それまでは、司法取引で捜査に協力した側は、「司法取引仲介弁護士」の見解・見通しによって、検察の刑事処分を予想するしか方法がないのである。その見通しが誤っていた場合、今回の日産経営陣のような悲惨な結果になる。
結局、「他人負罪型司法取引」の場合、司法取引を利用しようとする企業等が、「他人」の犯罪の行方に重大な利害関係を持つ場合、「他人」についての検察の捜査・処分の予測は、介在する弁護士の見解・見通しに依存せざるを得ないことが、最大のリスクになる。
それが、今回の日産の事件の最大の教訓と言うべきであろう。
検察の誤算は、「退任後の報酬の不記載」の事実についての、有価証券報告書虚偽記載罪の成否という法的判断の問題だけではない。そのような事実が、日産、ルノー、三菱自動車という国際的企業3社の会長を務めるゴーン氏を突然逮捕することを正当化する根拠になり得るか、という社会的、経済的評価が全くできていなかったことにある。
その根本的な原因は、検察という組織が、社会に対して説明責任も情報開示責任も負わず、組織内だけですべての判断ができるという意味で、「組織内で正義が自己完結する」閉鎖的かつ独善的な組織であることにある。
そして、唯一、社会との接点になるべき司法マスコミは、検察から捜査情報のリークを受け、その情報で「有罪視報道」をして捜査を応援するという「利益共同体」的な関係にあるため、検察の「独善」に疑問を投げかけたり、批判する機能をほとんど果たして来なかった(【検察が危ない】ベスト新書)。
今回のゴーン氏の事件でも、早くから検察の捜査方針を知り得る立場だったはずの朝日新聞が、「退任後の報酬の不記載」でゴーン氏を逮捕するという、社会的常識を逸脱した検察の暴走を止める役割を果たすことはなかった。
そのような検察組織をめぐる構造的な問題と司法マスコミとの関係が、検察の誤った判断につながり、日本の国と社会に対する国際的な信頼にも重大な影響を生じさせたのが、今回の事件なのである。