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「取り調べ以外の時間、ゴーンは、ブラジル、フランス、レバノンといった、国籍を持っている国の大使館関係者との面会を重ねている。また、差し入れられた『ジャパンタイムズ』や翻訳された記事などで、自分が否認していると書かれているのを読み、“誰がこんなことを漏らしているんだ?”と、弁護士に不満を漏らすこともあったようです」

 しかし、最も時間を割いているのは、「コントラクトブリッジ」なるカードゲームの本に目を通すことだという。

「もともと、そのカードゲームの愛好者らしく、関連する本を10冊以上、弁護士に差し入れてもらっていました。ほかには、海外で最近刊行されたばかりのアインシュタインについて書かれた本とレオナルド・ダ・ヴィンチの本も要望。ゴーンは以前から、この2冊を時間ができたら読みたいと思っていたそうです」(同)

 東京地検関係者が続ける。

「ゴーンの元側近2人に、この6月に施行されたばかりで国内2例目となる司法取引が適用されました。うち1人は、マレー系英国人の専務執行役員ロンドン大学出身で、弁護士資格を持ち、中央大学への留学経験がある。1990年に日産に入って以来、ずっと法務部門一筋でした。外国人であっても日産プロパーで、結局、“反ゴーン派”に加わったのです」

 その専務執行役員の右腕が、「ゴーン追放計画」の中核を担ったという。

 それは、グローバル内部監査室の本部長を務める米国人女性のことである。テキサス州国際法律事務所を経て、06年、北米日産に入社し、14年から日産本社の勤務になっている。

 もともと、その本部長は社内の「不正調査チーム」を管轄する立場だった。

「しかし、今回、不正調査チームは蚊帳の外に置かれていました。何をしていたかというと、ゴーン逮捕の翌日、横浜F・マリノス経理担当社員による約3300万円の私的流用が発覚しましたが、その調査などに当たっていたのです」(同)

 つまり、本部長は不正調査チームとは別に、極秘で取り組んでいたのである。

「専務執行役員は、ゴーンとともに逮捕された元代表取締役、グレッグ・ケリーの指示を受け、過少記載を行う“実行役”でした。本部長が、それを金商法違反に問うための法的な裏付けを探し出したと言われている。その結果、彼女がゴーンの不正行為を特捜部に告発する窓口になりました。さらに、もう1人のキーマン、未開示報酬の将来の支払いを示す“覚書”を管理していた元秘書室長も司法取引に応じさせ、ゴーンの不正を丸裸にしたのです」(同)

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/12/24/200430_1(「従軍記者」朝日の“値千金のドキュメント”が描く「検察の孤立化」 (郷原信郎))

日産自動車カルロス・ゴーン前会長とともに、金融商品取引法違反の罪で起訴されたグレッグ・ケリー被告に関して、東京地方裁判所は25日にも保釈を認めるか判断するものとみられます。

こうした中、ケリー前代表取締役の夫人、ドナ・ケリーさんが事件後2回目となる声明を、みずから読み上げる映像を公開する形で発表しました。

ドナさんは最初の声明を発表して以降、アメリカ内外から多くの支援を受けているとし、アメリカのハガティ駐日大使の名前などを挙げて感謝の気持ちを表しました。

そして、改めて「この事件は日産の西川社長たちがたくらんだ陰謀であるのは明らかだ」と述べ、ケリー前代表取締役は無実だと主張しました。

また、「夫の健康状態の悪化が心配だ。医者によれば、すぐに脊椎疾患の手術を受けなければ、症状が一生残ってしまう可能性がある」と述べたうえで、「夫を保釈し、帰宅して手術が受けられるようにしてほしい。それが家族みんなのクリスマスの願いだ」と述べ、25日に保釈されるよう訴えました。

日産自動車の前代表取締役グレッグ・ケリー被告(62)は、会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)の平成26年度までの5年間の報酬を有価証券報告書に少なく記載していたとして、今月10日、金融商品取引法違反の罪で起訴されました。

ケリー前代表取締役は、昨年度まで直近3年間の報酬も少なく記載していたとして再逮捕されましたが、裁判所は今月20日、勾留の延長を認めない異例の決定をしました。

弁護士は保釈を請求していましたが、東京地方裁判所はケリー前代表取締役の保釈を認める決定をしました。保釈金は7000万円だということです。

検察は保釈を不服として準抗告の手続きを取るとみられますが、裁判所がこれを退け、保釈金を納めればケリー前代表取締役は、先月19日の最初の逮捕から37日ぶりに保釈される見通しです。

関係者によりますと、ケリー前代表取締役は「報酬は正式には決まっていなかった」などと供述し、一貫して不正を否定しているということで、保釈後は持病の治療のため入院することを検討しているということです。

一方、裁判所が勾留の延長を認めない決定をした翌日に、特別背任の疑いで再逮捕されたゴーン前会長は、1月1日までの勾留が認められていて、保釈の見通しは立っていません。

容疑の1つ目は、巨額の含み損を抱えた私的な為替取引の権利を日産に付け替えた疑いです。

特捜部の調べや関係者によりますと、ゴーン前会長は日本円で受け取っていた日産の報酬を固定のレートでドルに換えるため、「スワップ取引」と呼ばれる為替取引を新生銀行と契約していました。

しかし、10年前のリーマンショックによる円の急騰で含み損が18億円余りに拡大し、銀行側から巨額の追加の担保を求められたということです。

このため、ゴーン前会長は平成20年10月、追加の担保の支払いを免れるため、為替取引の権利をみずからの資産管理会社から信用力のある日産に一時的に付け替え、その後に発生した数千万円の損失も日産の名義で銀行側に支払われていたということです。

特捜部は取引の権利を付け替え、日産に巨額の損失を負担する義務を負わせた時点で、特別背任の罪は成立するとみています。

一方、ゴーン前会長は、権利を付け替えた行為については認めたうえで「日産の信用力を一時的に担保として借りたが、その間に発生した損失は自分が負担して日産の名義で支払った。日産に損害は与えていないし、日産には絶対に損害を与えないという考えだった」などと容疑を否認し、「特別背任にはあたらない」と主張しているということです。

容疑の2つめは、日産の資金16億円余りを知人側に流出させた疑いです。

特捜部の調べや関係者によりますと、日産への付け替えが証券取引等監視委員会から問題視され、平成21年2月、ゴーン前会長は為替取引の権利をみずからの資産管理会社に戻したということです。

しかし、銀行側から再び追加の担保を求められたため、ゴーン前会長は30年来のつきあいがあるサウジアラビア人の資産家に協力を求め、この知人がおよそ30億円の信用保証に協力したということです。

その後、この知人の会社には、平成21年6月から平成24年3月にかけて、UAE=アラブ首長国連邦にある日産の子会社「中東日産会社」から販売促進費などの名目で4回に分けて合わせて16億円余りが送金されたということです。

特捜部は、知人の会社には日産の販売促進などの活動をした実態はなく、ゴーン前会長が信用保証への謝礼などとして日産の資金を不正に支出したとみています。

一方、ゴーン前会長は「知人にはサウジアラビアの販売店と日産のトラブルの解決に尽力してもらったり、王族へのロビー活動などで多大な貢献をしてもらったりしたことは、中東の日産関係者であれば誰でも知っている」としたうえで、「16億円余りの資金は信用保証への謝礼ではなく、日産のための正当な報酬だった。なぜ逮捕されたのか全く理解できない」などと供述しているということで、特捜部とゴーン前会長の主張は真っ向から対立する構図になっています。

フランスでは、警察が容疑者を拘束できるのは最大48時間で、テロ事件の場合、6日間、144時間まで延長できます。

この間、容疑者が希望すれば弁護士との接見ができ、家族とも連絡がとれるほか、禁錮10年以上の重い罪に対する取り調べは、すべて録音・録画することが義務づけられています。

その後、裁判を始めるかどうかを判断する予審では、対象者は、証拠隠滅や逃亡のおそれなど相当な理由がないかぎり勾留されることはありません。
フランスの弁護士によりますと、経済事件で予審の対象者が勾留されるケースはほとんどないということです。

また予審の取り調べでは原則としてすべてを録音・録画することや弁護士の立ち会いが義務づけられています。

こうした司法制度の違いから、フランスでは、ゴーン前会長の勾留が長期にわたっていることや、弁護士の立ち会いがないことに批判が出ています。

 25日朝、言葉少なに自宅を出た日産自動車の西川社長。一方で、日産の社内では、全従業員に対してカルロス・ゴーン容疑者とケリー被告に接触しないよう指示していたことが、JNNの取材で分かりました。

 「(保釈は)司法の手続きですから」(日産 西川広人 社長)

 「本通知は、日産グローバルの全従業員に、両名やその弁護士あるいは関係者との接触を決して行わないことを指示するものです」(全従業員宛てのメールの内容)

 JNNが入手したメールは24日付けで日産の幹部が全従業員宛てに送ったものです。ゴーン容疑者側から電話がかかってきたら、話をできないと答える、メールには返信しないなど対応を細かく指示。事件への対応を一元化することで、社内の動揺を最小限に抑えたい考えです。

「1999年から始まったゴーン体制は、2013年ぐらいまではうまくいっていた。世界全体での生産、部品の購買、車台の共通化で見事に効率化が進んだ」

「日産が開発したよいものを、ルノーが採用して現地に根付かせてくれている。ルノーのほうが技術を標準化するのがうまいように思う。私どもが作った技術、開発したパーツを標準化して、どこでもグローバルで作りやすくするノウハウとか。ルノーのすごいところは、いい技術は徹底的に取り入れるところ。これが販売につながっている面もある」

「ここ4年くらいでゴーンは、フランス国の一員としての牙を日産に向け始めた。その象徴が技術分野の支配だ。自動車会社の本丸である技術開発の組織まで統合し始めた。これによって起きたのは、日産より技術の劣るルノー勢が日本に大量に来て、これもダメ、あれもダメと言い始めたこと。『俺たちの指示を聞け』『勝手なことをするな』と。日産の開発部隊の人間は大量に辞めていった」

今回の逮捕劇ついて「ようやく日産が“自主権の回復”に向けて動き出した」と興奮した様子で語る幹部もいました。

日産がルノーと提携してから20年がたち、業界では「日産はフランスの企業だ」と揶揄(やゆ)する発言を聞くこともあります。例えば、日産は管理職の年功序列を廃止していて、上司が年下というケースは珍しくはありません。採用面でも、年間の中途採用の人数が新卒を上回り、日本特有の新卒至上主義もみられません。入社には高い英語スキルが欠かせず、帰国子女や外国人社員も多くいます。

こうした中、自主権の回復に向けて、経営陣がまず、手を付けようとしているのが会長人事です。ゴーン前会長を解任したあとのポストに、日本人をあてようとしているのです。

そして、日産の望みは、事業規模に応じた新たな提携関係です。これまでの関係を見直して今度は日産がルノーを引っ張る、せめて対等になりたい。こうした構想は、事件以前から一部の幹部の間で語られてきたことです。

しかし、ルノーが簡単に同意するわけがありません。ルノーとその大株主のフランス政府は今の支配関係を続けたい意向を示し、日産の後任会長の人選を進めているとも言われています。このところ、両社の溝は深まっている印象があります。

今、自動車業界は100年に1度とも言われる大変革期を迎えています。ガソリンエンジンから電気モーターへの移行。コンピューターが自動運転でクルマを走らせる時代。クルマを買わずにシェアする若者たち。変化する業界に攻め込んできた新しいライバルにも対抗していくためには、大規模な連合で、研究開発を進めたり、技術を分け合ったりする提携関係が欠かせない、と日産幹部も指摘します。

「EV、自動運転の分野では日産が先行しているが、ルノーが日産から技術をもらってばかりか、というとそうではない。グローバル競争が激しくなる今、ルノーから学ぶべき事は非常に多い。僕は素直にそう思う。よい車を世界の人に乗ってもらいたいから」