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剣豪・塚原卜伝(ぼくでん)に、こんなエピソードがある。卜伝の高弟が往来を歩いていて、馬の後ろを通ったときのことだ。馬がいきなり後ろ足で蹴り上げてきた。

「危ない!」

と通行人たちが叫ぶより早く、高弟はひらりと身をかわしたのである。

「さすが卜伝先生の高弟だ」

と、それを見ていた人たちは称賛したが、この話を聞いた卜伝は、

「未熟者め」

と言って、高弟に免許皆伝を与えなかった。

そして、後日。卜伝が往来を歩いていて馬に出くわす。高弟と同じ状況である。卜伝はどうしたか。馬のそばを避け、遠く迂回して、何事もなく通り過ぎて行ったのだった。それを見て、なぜ卜伝が高弟に免許皆伝を与えなかったか、みんなは納得する。

「君子危うきに近寄らず」

とは、こういうことを言う。

ガラの悪い男にカラまれたからといって、いきなり殴りかかってくることはない。手を出せば、傷害罪で一発アウト。だから恐れることはなく、毅然として対峙すればよい。繰り返しておくが、いきなりポカリということは絶対にないのだ。

では、ガラの悪い男はどうやってインネンをつけるか。意外かもしれないが、論理的に攻め、「おまえが悪い」という図式に持っていく。手を出した場合を想定し、手順を踏んでカラんでいるのだ。

ケンカなれした人やディベートに強い人は、意識して「Answer」を素っ飛ばし、「Catch→Question」にもっていく。話を噛み合わせない。相手の土俵には絶対に乗らないのだ。

噛み合わない難クセは恐喝になることを彼らはよく知っている。だから恫喝に対して堂々と胸を張り、“別の土俵”で紳士的に対応すれば相手は攻め手がなくなり、捨てゼリフを吐いて立ち去ることになるのだ。

反作用が起きないようにいなすのだ。








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