イスラエル首相続投の公算も難しいかじ取り #nhk_news https://t.co/7t8AGMR05Y
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年4月10日
9日行われたイスラエルの総選挙は開票作業がほぼ終了しました。
選挙は比例代表制で各党はそれぞれの得票率に応じて議席が配分される仕組みで、選挙管理委員会によりますとネタニヤフ首相が党首を務める右派政党「リクード」の得票率が26.2%、イスラエル軍のトップを務めたガンツ氏が率いる中道会派「青と白」が25.9%とその差はわずかで、獲得議席はほぼ互角になる見通しです。
ただ、与党リクードは連立を組んできた極右政党や宗教政党が獲得する議席を合わせると議会での過半数を制すると見込まれていて、ネタニヤフ首相が連立交渉を主導して、続投となる公算が大きくなりました。
連立交渉ではネタニヤフ首相は閣僚ポストをはじめ、各政党の要求の調整を迫られることから協議は難航することが予想されます。
さらに、ネタニヤフ首相はみずからの汚職事件をめぐり、収賄罪などでの起訴に向けた検察による詰めの捜査の対象となっていて、起訴されれば国内で反発が一段と高まるのは必至で、続投の公算が大きくなる中でも引き続き難しいかじ取りを迫られそうです。
ネタニヤフ首相は、10日、ツイッターでアメリカのトランプ大統領から総選挙の勝利を祝う電話があったと明らかにしました。
この中でネタニヤフ首相は、「トランプ大統領が大統領専用機のエアフォース・ワンから電話をかけてきて、私とイスラエル国民に祝意を伝えてくれた」と書き込みました。
そのうえでトランプ政権が選挙前に占領地のゴラン高原におけるイスラエルの主権を認めたことやイランの革命防衛隊をテロ組織に指定するなど援護射撃とも受け取れる決定をしたことに触れ「途方もない支援に感謝する」としています。
そのうえで、「イスラエルとアメリカはこれからも緊密に連携していくことを確認した」として、さらなる関係の強化を図っていく考えを示しました。
中道会派「青と白」の代表ガンツ氏は、10日夜、イスラエル中部のテルアビブで会見を開き、「国民が決めたことを受け入れる」と述べて総選挙での敗北を認めました。
そのうえで、今後、連立政権を組むために大統領が行う組閣の要請について「大統領の決定がどのようなものでも尊重し、受け入れる」として、ネタニヤフ首相が組閣することになっても受け入れる考えを示しました。
一方、選挙結果については、「私たちは政権に対する代替案を示すことができた。ネタニヤフ首相が極右政党と連携したことが私たちが並外れた結果を獲得したことにつながった」と述べました。
イスラエルの総選挙の結果、ネタニヤフ首相が続投する公算が大きくなっていることについてアメリカのトランプ大統領はホワイトハウスで10日、記者団に対し、「まだ少し早いかもしれないがネタニヤフ首相にお祝いを伝えたい。彼はすばらしい盟友だ」と述べ歓迎する考えを示しました。
トランプ大統領はイスラエルとパレスチナの中東和平交渉の仲介に意欲を示していて、トランプ政権はイスラエルの総選挙のあとに、新たな和平案を示すという見方が広がっています。
これについてトランプ大統領は「中東和平の実現はみな無理だと言っていたが、私はチャンスはあるし、ネタニヤフ首相が勝利したことで、その可能性はより高くなったと思う」と述べ、事態の打開に向けて前向きな姿勢を示しました。
トランプ大統領はイスラエルの総選挙を直前に控えた先月下旬にはネタニヤフ首相との首脳会談に合わせてイスラエルが占領するシリア領のゴラン高原について、イスラエルの主権を認めました。
さらに投票日前日の8日にはイスラエルと敵対するイランの精鋭部隊「革命防衛隊」を外国政府の機関として初めてテロ組織に指定すると発表し、イスラエル寄りの姿勢を一層強く打ち出し、いずれも苦戦が伝えられていたネタニヤフ首相への援護射撃だったという見方が広がっています。