米 イラン産原油全面禁輸へ 中東の不安定化に懸念 #nhk_news https://t.co/7zGwxxzz4U
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年5月1日
トランプ政権は、イラン核合意から離脱したうえで去年11月イラン産の原油の輸入を禁止することで、イランに打撃を与える制裁を発動させましたが、日本や中国など8つの国と地域は180日間、適用から外し、輸入を認める措置をとっていました。
しかし先月、適用除外の措置を延長しない方針を発表し、現地の2日、日本時間の2日午後に措置を打ち切って制裁を強化します。
トランプ政権は今後、各国の企業などがイランから原油を輸入すれば、経済制裁の対象になるとして、輸入をゼロにするよう迫っています。
日本はすでに輸入を停止していますが、中国やトルコは反対していて、輸入を直ちに全面的に停止する可能性は低いとみられています。
アメリカは制裁を強化する一方、サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などの産油国と協力し、市場に原油が適切に供給されるよう努めるとしています。
国際市場でイラン産の原油の供給が減れば原油価格の上昇につながるおそれもあります。
アメリカは、イランの生命線とされる原油の輸出を全面的に断ち切ることでイスラム体制の弱体化につなげるねらいですが、イランが強く反発するのは確実で、中東の一層の不安定化につながることが懸念されます。
日本は、これまで原油の輸入量全体の5%程度をイランから調達しており、重要な調達先の1つと位置づけてきました。
ところが、去年11月にアメリカのトランプ政権がイランへの経済制裁を発動するのを前に、「JXTGホールディングス」や「昭和シェル石油」など石油元売り各社は、制裁対象になるのを避けようとイランからの輸入を停止しました。
その後、アメリカは、日本などを制裁の適用から除外するとしたため、ことしに入り、各社は輸入を再開していました。
しかし除外期間は180日間とされ、延長されるめども立たないことから、各社は先月から再度、イラン産原油の輸入を停止し、アメリカの政策で調達戦略の変更を余儀なくされています。
また今回、アメリカが全面的に禁止することで輸入停止が長期化するおそれもあります。ただ各社は、他の国からの調達で補えるため、国内のガソリンなどの供給に影響は出ないとしています。
一方、国際的な原油価格はアメリカ政府が禁輸措置を発表したことをきっかけに一時上昇しており、今後ガソリン価格などへの影響も懸念されています。
アメリカがイラン制裁を強化することで今後、原油の供給が不足するのではないかという懸念が高まり、原油価格が一段と値上がりして日本国内のガソリン価格にも影響を与える可能性があります。
先月22日、アメリカがイラン制裁の強化を発表すると、ニューヨーク原油市場では、国際的な原油取り引きの指標の1つであるWTIの先物価格は、急激に値上がりし、一時、1バレル=66ドル台後半と、半年ぶりの高値水準に上昇しました。
ロンドン原油市場でも北海産の先物価格が、同じくおよそ半年ぶりとなる1バレル=75ドル台まで値上がりしました。これはイラン産原油を最も多く輸入する中国が、禁輸によってイラン以外からの調達が必要になれば国際的な原油供給が不足すると懸念されたためで、その後も高値水準の取り引きが続いています。
今後の原油価格の見通しについては見方が分かれていますが、原油価格の動向に影響を与えるOPEC=石油輸出国機構やロシアなど、産油国がアメリカの制裁強化にどう対応するかが焦点です。
OPECは、原油の価格が下がりすぎないように協調して減産を行っています。アメリカのトランプ大統領はイラン制裁を強化しながらも原油価格の上昇に不満を持って、サウジアラビアなどに対して原油の供給を増やして「価格の上昇を抑える」よう再三求めています。
OPECは、ことし6月に総会や非加盟国との会合を開き、協調減産を継続するかどうかを判断する見通しです。
またアメリカの制裁にイランが強く反発して中東地域の原油輸出の要所、ホルムズ海峡の封鎖といった強硬策に踏み切るような事態が起きれば原油価格が大幅に上昇する可能性があります。
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— NHKニュース (@nhk_news) 2019年5月2日
イラン核合意から離脱したアメリカのトランプ政権は去年11月、各国に対してイラン産の原油の輸入を禁止する、イランに対する制裁を発動させましたが、イラン産原油に依存してきた日本や中国など8つの国と地域については180日間適用から外し、輸入を認める措置を取ってきました。
しかし先月、適用除外の措置を延長しない方針を発表し、現地時間の2日午前0時(日本時間2日午後1時)をもって除外措置を打ち切り、制裁を強化しました。
トランプ政権は今後、各国の企業などがイランから原油を輸入すれば経済制裁の対象になるとして、輸入を完全に止めるよう迫っています。
アメリカとしては、イランの生命線とされる原油の輸出を断ち切ることで、イスラム体制の弱体化につなげるねらいですが、イランが強く反発するのは必至で、中東の一層の不安定化につながることが懸念されます。
除外措置が打ち切られるのに先立ち、イランのザンギャネ石油相は1日、「アメリカの試みは実現不可能な幻想にすぎない。原油を政治の道具にしようとする者は、その影響を覚悟すべきだ」と述べ、アメリカを強くけん制しています。