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アメリカのトランプ政権は中国との貿易交渉で、歩み寄りが見られなかったとして10日、中国からの2000億ドルの輸入品に課している関税の上乗せを10%から25%に大幅に引き上げました。

これに対して中国も報復措置として、アメリカからの600億ドル分の輸入品に上乗せする関税を来月1日から、最大で25%に引き上げると13日夜、発表しました。

この報復措置にさらに対抗して、アメリカ通商代表部は13日、中国からの輸入品のうち、まだ高い関税をかけていない3805品目、およそ3000億ドル分に最大25%の関税を上乗せする手続きに入ったことを公表しました。

ただ医薬品やレアアースなどは関税上乗せの対象にはしない、としています。

通商代表部は来月17日に公聴会を開いて、産業界などから意見を聞くことにしています。

これが実行されれば、中国からのほぼすべての輸入品が追加関税の対象となり、米中の対立はさらに激しくなります。

最大25%の関税を上乗せする手続きに入った中国からの輸入品はおよそ3000億ドル分、日本円で32兆円余りに上ります。

アメリカ通商代表部はこれまでに関税を課したおよそ2500億ドル分と合わせると、中国からの輸入品のほぼすべてに関税が上乗せされることになるとしています。

ただ医薬品やレアアースなどは関税上乗せの対象にはしない、としています。今回、対象になっているのはまだ高い関税が課されていない3805品目です。

このうちおよそ40%が消費者向けの生活に身近な製品になるとみられ、中には中国で多く生産されているおもちゃやノートパソコン、携帯電話、スポーツシューズ、Tシャツなどの衣類が含まれています。アメリカ経済をけん引する消費への影響もこれまで以上に大きくなるおそれがあります。

トランプ大統領は11日、ツイッターに、「関税を回避することは簡単だ。アメリカで生産することだ。とてもシンプルなことだ」と投稿し、アメリカ企業に対して国内で生産するよう求めています。

アメリカのトランプ政権が中国からの輸入品に対する関税を引き上げた対し、中国も報復措置としてアメリカからの輸入品への関税上乗せを発表するなど、米中両国の貿易をめぐる対立はさらに激しくなっています。

こうした中、トランプ大統領は13日、ホワイトハウスで記者団に対し、「中国の習近平国家主席と直接、会うことにしている」と述べ、来月下旬に開かれるG20大阪サミットに出席するため来日し、習近平国家主席と会談して貿易問題について話し合うことを明らかにしました。

またトランプ大統領北朝鮮ベネズエラ情勢をめぐって立場の違いが浮き彫りとなっているロシアのプーチン大統領とも日本で会談することを明らかにしました。

トランプ大統領は今月25日から28日までの日程で、国賓として来日する予定で、2か月続けて日本を訪れることになります。

アップルは、売り上げの50%余りを占めるiPhoneのデザインや設計は本社のあるカリフォルニア州で行なっていますが、組み立ては中国で行っています。

アメリカの大手金融機関モルガン・スタンレーの試算によりますと、去年秋に発売された、価格が999ドルの「iPhoneXS」の場合、アップルが25%の関税をすべて価格に転嫁すると160ドルの値上がりになるということです。率にして16%の値上げにあたります。

また仮にアップルが価格に転嫁せず関税の負担を自社でかぶれば、利益が圧縮されて大幅な業績悪化が避けられないとしています。

影響を見越して、アップルの株価は13日、大きく値下がりしました。

アップルは、去年9月にアップルウォッチが関税上乗せの対象にあがった際、アメリカ通商代表部に書簡を送り、「アメリカの経済成長や競争力の低迷につながり、消費者には値上げをもたらす」と訴え、対象から外すよう求めました。結果的に、この時は関税の対象から外れました。

アップルによりますと、iPhoneとiPadには日本企業の電子部品などが多く使われ、去年は日本企業900社以上と取り引きしたということです。このため関税が上乗せされれば、日本企業の業績にも打撃となりかねません。

アメリカが10日に行った関税引き上げに対抗して13日夜、中国が来月から報復措置を実施すると発表したのに続いて、トランプ政権は中国からの輸入品のうちまだ関税を上乗せしていないおよそ3000億ドル分に最大25%の関税を上乗せする手続きに入りました。

中国外務省の耿爽報道官は14日の記者会見で「みずからの権益を守ろうという中国の決意をアメリカは低く見積もるべきでない。中国は貿易戦争を戦いたくないが絶対におそれもしない。さらに圧力を強めるのならどこまでもつきあう」と述べ、アメリカに強く反発しました。

一方、トランプ大統領が、来月下旬のG20大阪サミットに合わせて、習近平国家主席と首脳会談を開く考えを明らかにしたことについては、「両国の首脳はさまざまな方法を通じて連絡を続けている」と述べるにとどめ、今後の交渉の見通しについては明らかにしませんでした。

トランプ大統領が首脳会談に強い意欲を示す一方で中国側が応じるかどうかは見通せない状況で、激しくなる一方の両国の貿易摩擦をどう打開するのか、先行きは一層不透明な情勢になっています。

アメリカのトランプ政権が中国からのほぼすべての輸入品に高い関税をかける手続きに入るなど、米中の貿易摩擦が激しくなっていることについて、中国共産党系の新聞環球時報は、14日付けの社説でアメリカは傲慢にも中国を低く見て、アメリカが市場を提供しないと中国は繁栄できないと考えている」などとしてトランプ政権を批判しました。

そして、「中国の対抗措置は断固とした決心を示している。今後も一層の対抗措置を打ち出すだろう」としたうえで、「速戦即決を狙うアメリカとは違い、中国は持久戦の準備があり、対抗措置はより強烈で、狙いも正確だ」と述べて、中国の対抗措置の影響はアメリカにとって厳しいものになると主張しました。

さらに、社説はアメリカはある人物とその取り巻きが、貿易戦争に自国の民衆を巻き込もうとしている。中国は国家そのものと人民全体がおどされており、まさに本当の人民戦争だ」として、「人民戦争」という言葉を使って徹底して対抗していく姿勢を強調しました。

自動車関連では「パナソニック」がカーステレオなどを中国の工場で生産し、アメリカにある自動車メーカーの工場向けに輸出してきましたが、生産の一部を一時的にタイやマレーシアなどに切り替えています。

クラリオン」もカーナビとカーオーディオの生産の一部を中国から日本に移しています。

東芝機械」は、アメリカにある自動車部品メーカー向けに輸出していたプラスチック部品を作る機械を静岡県沼津市とタイの工場での生産に切り替えました。

家電製品関連では「ダイキン工業」がエアコン部品のコンプレッサーを中国で生産し、アメリカにあるグループ会社のエアコンの工場に輸出してきましたが、タイでの生産に移管するため、ことしに入って生産設備の移設などの準備を進めています。

富士通ゼネラル」も、アメリカ向けに輸出してきたエアコンの生産の一部を中国からタイに切り替えています。

日本電産」は、アメリカに輸出してきた自動車用とエアコン用のモーターの生産の一部をメキシコでの生産に切り替えています。

富士フイルム」は、デジタルカメラ用のアクセサリーなどを中国で調達し、アメリカに輸出していますが、調達先を中国から切り替えることも含めて検討しています。

三菱電機」は、アメリカに輸出していた半導体製品と産業用機械の生産の一部を中国から日本に切り替えています。

世界1位と2位の経済大国であるアメリカと中国の間の貿易摩擦が激化していることで、世界経済全体に悪影響が及ぶことが懸念されています。

民間のシンクタンク大和総研」の試算によりますと、アメリカが中国からのすべての輸入品に25%の関税を上乗せした場合、GDP=国内総生産アメリカで0.57%、中国で0.37%、それぞれ押し下げられるとしています。

上乗せの対象に、アップルの「アイフォーン」などのスマートフォンやスポーツシューズ、おもちゃなど、身近な消費財が多く含まれていることから、関税の引き上げで小売価格が上昇すれば、アメリカの個人消費を押し下げると見込まれるためです。

一方、中国ではアメリカ向けの輸出が減少し、企業収益の悪化などにつながるとしています。

また、日本のGDPへの影響は0.03%の押し下げと、直接的な影響は限られるとしていますが、中国からアメリカへの輸出が減少すれば日本の電子部品や産業機械など、中国向けの輸出がさらに落ち込むことも懸念され、日本経済にも影響が広がることは避けられないと指摘しています。

アメリカのトランプ政権が中国からのほぼすべての輸入品に高い関税をかける手続きを始めたことについて、大和総研の小林俊介エコノミストは「仮にすべての品目に高い関税がかけられた場合、関税額の規模はこれまでの2倍以上となるうえ、スマホなど消費者に身近な製品に影響が及ぶため、家計を直撃してしまう。米中経済に大きな打撃となり、世界経済全体への影響も無視できない」と指摘しました。

そのうえで、今後の日本経済の影響について、小林エコノミストは「日本から中国に輸出していた電子部品や産業用機械が売れなくなるといった悪影響が想定される。さらに、関税の影響で中国での生産コストが上昇するため、日本企業は工場を消費地に近い場所に移転するなど、中国ビジネスの見直しを迫られていくだろう」と述べました。

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