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メイ首相は、24日午前10時すぎ(日本時間 24日午後6時すぎ)、ロンドンの首相官邸前で声明を読み上げ、来月7日に与党・保守党の党首を辞任することを明らかにしました。

そして、翌週から後任を選ぶ党首選挙を開始し、次の党首が決まりしだい首相も辞任するとしています。

メイ首相は、EU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐる交渉を振り返り、「民主主義では国民に選択を与えた以上、その意思を実現する義務があると信じてきた。全力を尽くしてEUと交渉し、議会の説得を試みたが成し遂げられなかった。残念だが新しい首相がこの役目を担うのが国益にかなうと思う」と述べ、離脱を成し遂げられなかったことへの無念の思いをにじませました。

そして、「保守党は政治の混乱を乗り越えられる。私はこの国で2人目の女性の首相だったが、必ず後に続く人がでるだろう。愛する国のために仕事ができたことを本当に感謝している」と涙で声を詰まらせながら締めくくりました。

メイ首相は、離脱をめぐるこう着状態を打開しようと、2度目の国民投票に道をひらく方針を示しましたが、主要閣僚が辞任するなど急速に反発が強まり、孤立を深めていました。

党首選挙の日程が決まったことで保守党では、後任選びが一気に加速することになります。

すでにボリス・ジョンソン前外相、エスター・マクベイ前雇用・年金相、ローリー・スチュアート国際開発相が立候補を表明しているほか、ハント外相や、ジャビド内相などが立候補に意欲を示していると伝えられています。

テリーザ・メイ首相は62歳。

イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行での勤務などを経て、1997年に下院議員に初当選しました。

保守党で初めての女性幹事長に就任するなど党内の要職を歴任し、2010年からはキャメロン政権で6年にわたって内相を務め、テロ対策や移民問題などに取り組みました。

そして2016年、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の是非を問う国民投票の結果を受けて辞任したキャメロン前首相の後任として、イギリスでは、サッチャー氏以来2人目となる女性の首相に就任しました。

メイ首相は、国民投票まではEUへの残留を支持していましたが、首相に就任したあとは、国民投票で示された民意を尊重するとして、離脱を実現させる姿勢を示してきました。

メイ首相はおととし6月、強く安定した政権基盤を確保しようという思惑から総選挙に踏み切りますが、与党・保守党は過半数に届かず、北アイルランド地域政党から閣外協力を得るという厳しい政権運営を強いられることになりました。

また、おととし3月に始まったEUとの離脱交渉も難航し、離脱後のEUとの関係をめぐる政権の方針に反発した主要閣僚が相次いで辞任するなど求心力は一段と低下しました。

去年11月、EUに譲歩する形で、円滑に離脱するための条件をまとめた合意案に対しては野党だけでなく、保守党内や閣外協力を得ている北アイルランド地域政党からも反発を招きました。

メイ首相はそれでも「合意案」の議会承認を目指しますが、3回続けて否決され、当初3月に予定していた離脱は、10月末まで半年延期することを余儀なくされました。

そして、今月21日、こう着する事態を打開しようと、これまでかたくなに反対してきた離脱をめぐる国民投票に道をひらく姿勢に転じましたが、離脱を求める議員を中心に猛烈な反発が広がり、辞任を求める声が高まっていました。

3年前の国民投票で決まった離脱に向けてイギリス政府はEUとの交渉を進め、去年11月、円滑に離脱する条件をまとめた離脱協定案に合意しました。

発効にはイギリス議会での承認が必要ですが、アイルランドとの国境管理の取り決めをめぐって野党からだけでなく、与党・保守党の離脱強硬派からも激しい反発が起きました。

ことし1月、議会で行われた採決では歴史的な大差で否決され、3月の2回目の採決でも再び、大差で否決されます。

当初の離脱の期日である3月29日が迫ったことからメイ首相はEUに離脱の延期を求めました。

そのうえでみずからの職と引き換えに協定案への支持を訴えて議会で3回目の採決に臨みましたが、みたび、否決されました。

議会の承認が得られる案をまとめようとメイ首相は先月はじめ、対立してきた最大野党・労働党に協議を呼びかけます。

離脱の期日が再び延期されてことし10月末となる中、離脱を成し遂げたら退任するとして、退路を断って協議を続けてきました。

しかし、意見の隔たりが埋まらずに今月17日、6週間続けてきた協議は打ち切られ、野党と協力する道も暗礁に乗り上げました。

混乱を収拾しようとメイ首相は21日、今度は2度目の国民投票の是非を議会で採決することなどを含む新たな提案を示しました。

ところが与党内では国民投票に道をひらく姿勢に転じたことへの猛烈な反発が広がりました。

議会下院の運営を担うレッドサム院内総務が辞任し、メイ首相への辞任圧力はかつてないほど強まっていました。

保守党では、議員の2人から推薦があれば党首選挙に立候補することができます。

複数の立候補があった場合には下院議員による投票が行われ最も票の少なかった候補が脱落していく形で投票を繰り返し、最終的に候補者を2人に絞り込みます。

この2人は全国を遊説するなどして選挙活動を展開し、およそ12万とも言われる党員の郵送による投票を経て新たな党首が決まります。

メイ首相の後継を選ぶ党首選にはこれまでのところボリス・ジョンソン前外相、エスター・マクベイ前雇用・年金相、ローリー・スチュアート国際開発相が立候補を表明しています。

このほか、ジェレミー・ハント外相、サジド・ジャビド内相、マイケル・ゴーブ環境相、ラッド雇用・年金相、モーダント国防相、レッドサム前下院院内総務、ラーブ前離脱担当相などが立候補に意欲を示していると伝えられています。

通常は、党首が決まるまでに、数週間以上かかりますが、今回は10月に、EU=ヨーロッパ連合からの離脱を控えているだけに、手続きの見直しを求める声も出ています。

イギリスのメイ首相が首相を辞任する考えを示したことで、ことし10月に迫ったEU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐる情勢がさらに混乱するのは避けられない情勢です。

メイ首相がおよそ2年を費やしてEUと取りまとめた合意は野党のみならず与党の議員の反対で3回、議会で否決されています。

新しい首相は、こうした経緯を踏まえたうえで離脱にむけた道筋を示し議会の承認を取り付けなければなりません。

もし、新しい首相が、EUに合意の見直しなどを求める強気の姿勢を示せば、再交渉に否定的なEUとの話し合いは暗礁に乗り上げかねません。

離脱の期限が10月末に迫る中、時間切れとなって「合意なき離脱」に陥る危険性があるという見方も出ています。

イギリスのメイ首相が辞任することを明らかにしたについて、EU=ヨーロッパ連合の報道官は、24日の定例記者会見で「ユンケル委員長は、メイ首相が勇気に満ちあふれた女性だと敬意を払っていた」と述べ、離脱協議を担ってきたメイ首相をたたえました。

一方で、「次のイギリス首相が誰であれユンケル委員長は同じように関係を築いていくが、すでに合意した内容に変更はない」と述べ、離脱の条件を定めた「離脱協定案」の再交渉には応じないとの姿勢を改めて強調し、イギリス側をけん制しました。

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