【速報 JUST IN 】野村証券に業務改善命令 投資家に不適切に情報伝える #nhk_news https://t.co/ELwmnjOthN
— NHKニュース (@nhk_news) May 28, 2019
野村証券は、企業の株価にも影響しかねない東証の市場区分の見直しをめぐる情報を不適切に機関投資家に伝えていたとして、先週、経営トップらの処分を発表しました。
これについて金融庁は、特定の顧客のみに情報を提供しており、市場の公正性、公平性に対する信頼を著しく損ねかねない行為だとして野村証券に業務改善命令を出しました。
また、親会社の野村ホールディングスについてもグループ一体で取り組むべき情報管理体制の強化が不十分だったとして、合わせて業務改善命令を出しました。
責任を明確にしたうえで再発防止策を着実に実行し、定期的に報告するよう求めています。
野村は、社員が企業の増資に関する情報を漏らしインサイダー取引が行われた問題で7年前にも業務改善命令を受けています。
今回、金融庁は過去の行政処分を受けた改善策が不十分だったことも厳しく指摘しており、信頼回復に向けた抜本的な取り組みが今度こそできるか問われます。
市場再編の議論をめぐる「不適切な情報の伝達」。野村ホールディングスが犯した過ちとは…https://t.co/aG8Rk3ljTt
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現在、東証には「1部」「2部」「マザーズ」「ジャスダック」の4つの一般向け市場があります。6年前、東証が大阪証券取引所と統合して以来、この形です。
しかし、老舗企業が「2部」と「ジャスダック」に分散していたり、ベンチャー企業が「マザーズ」と「ジャスダック」に上場していたりと、4つの市場の役割は必ずしも明確ではありません。
さらに、東証1部は、その数の多さも課題になっています。
1部上場企業は、現在、2100社余り。最上位の東証1部が全体の6割弱を占めるという、いわば“逆ピラミッド”の構造になっているのです。
原因の1つが、他の市場から昇格する際の基準の緩さです。
例えば時価総額の基準だけで見ると、東証1部に直接上場するには250億円以上が必要ですが、東証2部やマザーズから1部に昇格する場合は40億円以上と、条件が大幅に緩和されています。昇格基準が緩くても、企業が着実に成長していけばよいのでしょうが、1部上場という目標を達成したあと、成長が伸び悩む企業もあります。
“内部昇格組”が甘い基準となっていることで、東証1部のプレミアム感を失わせているのではないかと指摘されているのです。
市場に階層を設けている海外の取引所を見ても、最上位の市場に上場する企業の数は、東証がぬきんでて多いのが実情です。
こうした課題の解決に向けて、東証は有識者懇談会を設けて3月にかけて再編のあり方を議論してきました。
そして、今の4市場を「国際的な投資を意識した代表的な市場」、「それに準ずる一般的な市場」、「ベンチャー企業向け市場」の3つに再編し、「代表的な市場」は上場基準を見直すことを打ち出します。実質的に企業数を絞り込もうというのです。
各市場の役割がよりシンプルかつ明確になれば、海外から投資をさらに呼び込む上でもプラスになります。
しかし、この「絞り込む」方向性が大きな問題を引き起こすことになります。
絞り込む基準をめぐって、「時価総額で250億円以上」「時価総額で500億円以上」といったさまざまな観測・憶測が議論の過程で生じたのです。
“新東証1部”に残れるかどうかは、上場企業にとって、その後の信用力や資金集めに関わる死活問題。当然、個別企業の株価に大きな影響を及ぼすことになります。
野村ホールディングスは、この極めて重大な情報の取り扱いで、過ちを犯しました。
3月、東証の有識者懇談会の委員だった野村総合研究所の研究員が「(絞り込み基準が)時価総額250億円に落ち着く可能性が高くなっているように感じます」という所見を、野村証券のストラテジストにメールで伝えたのです。
そのストラテジストは「250億円という目線が急浮上」とコメントしたメールを国内外の機関投資家に送りました。さらに、別の営業担当の社員は「すでに500億円という(より厳しい基準になるとの)目線で売られているとしたら、買い戻される可能性があるかもしれません」などと、個別企業の株価への影響を十分に意識した文言で、顧客の投資家に情報を提供しました。
野村ホールディングスは、市場の公正性の確保に対する社員の意識が不十分だったとし、経営トップをはじめ、関係者を処分しました。
ただ、この件が報じられたことを受け、東証は、その後も開催する予定だった有識者懇談会を中止に。基準の見直しについて、より慎重に議論する姿勢に転じました。
市場再編の行方に及ぼした影響は重いものになったと思います。
5月、有識者懇談会の議論を引き継ぐ形で、金融庁で市場再編の議論が始まりました。取引所や機関投資家、学識経験者ら、さまざまな立場の人を集めて意見交換を重ね、ことしの秋ごろまでに意見を取りまとめる予定です。
それを受けて、東証が上場基準などの詳しい内容を最終的に決めることになりますが、東証幹部は「数年の移行期間を設ける必要がある」としていて、基準が決まっても実際に導入されるまでには時間をおくことになりそうです。