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インド政府は今月6日、実効支配するカシミール地方のジャム・カシミール州について「パキスタンに利用され治安が悪化した」などとして、1949年以来、認めてきた自治権を撤廃しました。

これを受けて、カシミール地方の領有権をインドと争うパキスタン政府は声明を発表し、「インド政府による一方的な行動は、カシミール地方の人々の人権を侵害するだけでなく国際社会の平和と安定に脅威を与える」と強く非難しました。そのうえで、インド側に自治権の撤廃を速やかに取り消すよう求めるとともに国連の安全保障理事会に対し、問題の解決に向け緊急の会合を開くよう要請しました。

国連のグテーレス事務総長は、今月8日、カシミール地方の最終的な地位については、当事者が選ぶ平和的な手段で解決することを定めた両国の合意がある」としてインド政府の決定は、一方的だという認識を示すと共に双方に自制を求めています。

国際社会の仲介を期待するパキスタン政府はインドとの貿易関係を当面停止する対抗措置などを相次いで打ち出しており、両国の緊張が高まる中、今後、国連で議論が行われるのか焦点となります。

インドのモディ首相は、独立記念日の15日、演説し、パキスタンと領有権を争うカシミール地方の州の自治権を撤廃したことについて、「住民に恩恵をもたらすものだ」と述べて、改めて正当性を主張しました。

一方で、反発を強めるパキスタンには直接言及せず、事態のエスカレートを避けるための配慮もにじませました。

インドがイギリスから独立して72年になる15日、モディ首相は、首都ニューデリーで行われた式典で国民向けの演説を行いました。

この中でモディ首相は、パキスタンと領有権を争うカシミール地方のインド側の州、ジャム・カシミール州で70年にわたって認めてきた自治権を撤廃し、中央政府が直接統治を行うことについて、「州に住む人たちに恩恵をもたらすものだ。人々は中央政府に直接、要望を届けることができる」と述べ、生活向上につながるとして改めて正当性を主張しました。

今回の措置を巡って、パキスタンは貿易を停止するなど反発を強めていますが、モディ首相はこれらについて直接言及せず、事態のエスカレートを避けるための配慮もにじませました。

ことし5月の総選挙で圧勝し、2期目をスタートさせたばかりのモディ首相にとって15日の演説は、今後5年間の政権運営の方針を示す場でもあり、経済をさらに発展させて世界で最も強力なマーケットを作ると述べて国民の協力を呼びかけました。

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