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イラン核合意をめぐっては、一方的に離脱したアメリカがイランへの経済制裁を再開させたことで、イランは合意で約束された経済的利益が守られていないとして、ことし5月以降、3回にわたって核合意の制限を段階的に破る対抗措置をとっています。

こうした中、イラン国営通信は大統領府のラビー報道官が4日、「ロウハニ大統領が次なる措置を2日以内に発表する」と述べたと伝えました。

対抗措置の詳細については明らかにしていませんが、ラビー報道官はアメリカの脅しと、ヨーロッパの無抵抗がもたらした結果だ」として、アメリカによる制裁のもと、イランとのビジネスが停滞するヨーロッパ各国も批判しました。

イラン原子力庁はこれまでの対抗措置に基づいて、核合意で使用が認められている旧型の遠心分離機よりも50倍の速度でウラン濃縮が可能な新たな遠心分離機の開発を進めていることを4日明らかにし、成果を強調しています。

イランとしては核合意の崩壊は避けたい考えですが、アメリカの意向を無視することができないヨーロッパ各国がイランへの支援策に踏み切れないなか、今後、核合意の形骸化が一層進みそうです。

アメリ財務省は4日、イランの最高指導者ハメネイ師の息子や司法当局のトップなど側近ら9人経済制裁の対象に加えると発表しました。

声明の中でムニューシン財務長官は「これらの人物はイランの体制による多岐にわたる有害な行動に関わってきた」と非難し、制裁によりアメリカ国内の資産などが凍結されるとしています。
ハメネイ師自身は、ことし6月にアメリカの制裁対象に指定されています。

4日は、アメリカとイランの国交断絶のきっかけとなった、テヘランアメリカ大使館の占拠事件から40年にあたり、制裁の発表に先立ってホワイトハウスは声明を出し、「40年前のきょう、イランの武装勢力テヘランにあるアメリカ大使館を襲撃し444日間にわたり50人以上のアメリカ人を人質にした」として、事件を非難しました。

アメリカ大使館の占拠事件は、当時、アメリカ国民に強い衝撃を与え、今でも人々の記憶に残っていて、トランプ政権としてはその節目にイランに対し、厳しい姿勢で臨むことを強調するねらいがあるとみられます。

イランのロウハニ大統領は5日、演説し、この中で中部フォルドゥにある核関連施設で6日以降、遠心分離機を稼働させウラン濃縮活動を再開すると発表しました。

フォルドゥの核関連施設は地下に設置された重要施設で、核合意ではウラン濃縮活動を行うことが禁止されてきたことから、欧米諸国の強い反発が予想されます。

一方、ロウハニ大統領は演説でIAEA国際原子力機関の査察を引き続き受け入れるとしたほか、「各国が約束を果たすなら、私たちはこの作業を止める」とも述べ、ヨーロッパ各国などが、イランの求めている経済支援策を実施すれば、再び合意を順守するとしています。

イランは核合意で約束された経済的利益が守られていないとして、ことし5月以降、核合意の制限を段階的に破る対抗措置をとっていて、今回が4回目です。

イランとしては核合意の完全な崩壊は避けつつ脅威を高め、各国から経済支援策を引き出したい考えですが、アメリカが制裁を科す中で、こうした支援策の実施は難航していて、イランの核開発を制限してきた合意の形骸化が一層進むことになりそうです。


イラクでは、高い失業率やまん延する汚職などへの不満を背景に、政治の刷新を求める大規模な反政府デモが、首都バグダッド中南部の都市で続いていて、治安部隊との衝突などによる死者の数は、先月初め以降、250人以上にのぼっています。

このうち、中部のカルバラでは3日夜に、デモ隊の一部がイラン総領事館を襲撃し、外壁の周りでタイヤを燃やしたり壁をよじ登ってイラクの国旗を振ったりしたため、制止しようとした治安部隊と衝突しました。
イラク人権委員会によりますと、この衝突でデモ隊の3人が死亡し、12人がけがをしたということです。

イラクでは、多数派のイスラムシーア派の勢力の内部でシーア派のイランとの距離感をめぐって路線対立があり、デモ隊の一部は国内でイランの影響力が増すことに強く反発していて、今回の総領事館の襲撃につながったものとみられます。

イラクサレハ大統領は先月末、アブドルマハディ首相が辞任する意向だとして、選挙制度の改革を進めて早期に議会選挙を行う方針を明らかにしましたが、デモが収まる兆しは見られず、むしろ混乱が広がっています。

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