【速報 JUST IN 】米トランプ政権 「パリ協定」離脱を正式通告 #nhk_news https://t.co/ZstT62adAs
— NHKニュース (@nhk_news) November 4, 2019
トランプ政権は4日、パリ協定からの離脱を国連に正式に通告したと発表しました。
パリ協定は4年前の2015年に国連の会議で採択され、187の国と地域が締結して、世界の温室効果ガスの排出量を2050年以降に実質的にゼロにすることを目標に掲げています。
トランプ大統領は石炭産業などを意識して就任前から協定からの離脱を公約に掲げていて、4日、支持者を前に演説し「私は、一方的で金がかかり、恐ろしいパリ協定からの離脱を発表した」と述べて公約の実現をアピールしました。
これに対し野党 民主党の大統領選挙の有力候補は相次いでトランプ大統領の決定を厳しく批判しています。
バイデン前副大統領は4日、ツイッターに「気候変動の危機的な状況が日々悪化しているのに、トランプ大統領は科学を放棄し、国際社会でのアメリカの指導力も放棄し続けている。恥ずべきことだ」と投稿し、サンダース上院議員も「世界を気候変動による大惨事に陥れるのは誇るべきことではない」と非難しました。
離脱の通告を受けてアメリカは協定の規定により1年後の来年11月4日に離脱することになりましたが、民主党の主要な候補はいずれもパリ協定への復帰を主張していて、地球温暖化対策も今後、大統領選挙の重要な争点になりそうです。
パリ協定は2015年にパリで開かれた地球温暖化対策をめぐる国連の会議「COP21」で採択された国際的な枠組みです。
187の国と地域が締結し、3年前の2016年11月4日に発効しました。協定では世界の温室効果ガスの排出量を2050年以降、今世紀後半に実質的にゼロにすることを目標に掲げ、各国が削減目標を設定して対策を進めることを義務づけています。
協定をめぐっては、アメリカのオバマ前政権が温暖化対策に消極的だった中国やインドなどに働きかけて多国間の交渉をリードし、主導的な役割を果たしました。
これに対しオバマ前政権を批判するトランプ大統領は、就任前から協定からの離脱に言及し、就任早々、離脱を表明していました。
協定では発効の3年後から文書で離脱を通告できると定めていて、通告の受領から1年後以降に正式に離脱すると規定しています。
トランプ大統領は、大統領に就任する以前から地球温暖化について「でっち上げだ」と主張して否定的な立場をとり、オバマ前政権の成果とされたパリ協定からの離脱を訴えていました。
大統領就任後は、オバマ前政権の温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名し、前政権が認めなかった原油パイプラインの建設計画の推進を指示するなど、環境保護よりも産業や雇用創出を重視する姿勢を鮮明にしました。
そして就任から4か月後のおととし6月、トランプ大統領はヨーロッパなどからの反対を押し切る形でパリ協定から離脱する方針を決めたと発表しました。
この時、トランプ大統領は「協定は中国が温室効果ガスの排出を増やすことを許している。アメリカにとってとても不公平だ」と主張して不満を示していました。
トランプ大統領の決定に対して国内外から反対の声が上がり、トランプ政権に批判的なカリフォルニア州などの一部の自治体や企業の間では、温室効果ガスの排出削減に独自に取り組む動きも広がっています。
しかしトランプ大統領は方針を変えず、先月、東部ペンシルベニア州での演説で「パリ協定は過度な規制でアメリカの企業を倒産に追い込んでいるのに、ほかの国の環境汚染は許している。外国を豊かにしながらアメリカ国民を罰するようなことはしないのがアメリカ第一主義だ」と主張して、パリ協定から離脱する方針を改めて強調していました。
アメリカは協定の規定で、国連がアメリカの通告を受理してから1年後に正式に離脱することになります。
ポンペイオ国務長官は4日、声明を発表して「アメリカは今後も現実的で実用的な対策を続けていく」として、温暖化対策については技術革新や市場原理の重要性を強調するとともに各国と協力して自然災害への備えも進めていくとしています。
一方でトランプ大統領に対抗する野党・民主党の候補はいずれも協定の重要性を訴えていることから、選挙で政権交代が実現すればアメリカが協定に復帰する可能性もあります。
トランプ政権がパリ協定からの離脱を通告したことについて、野党・民主党は、全国委員会のトップを務めるペレス委員長の名前で声明を出し批判しました。
声明では「トランプ大統領は私たちの未来を放棄した。この決定は人類に対する侮辱でありわが国の恥だ。気候変動はわれわれの健康、安全、繁栄、そして地球の未来に対する差し迫った脅威だが、この大統領が気にかけているのは自分のことだけだ」と批判しました。
そのうえで「民主党は気候変動に立ち向かうためには大胆な行動が必要だと考えている。オバマ前大統領がパリ協定に署名したときのように、そして民主党がこれからも取り組んでいくように、トランプ大統領に真のリーダーシップとはどのようなものか示していく」としています。
アメリカのトランプ政権が、パリ協定からの離脱を正式に通告したことについて、温暖化対策の国際交渉に詳しい東京大学の高村ゆかり教授は「実際の離脱は大統領選挙のあとになるので、トランプ大統領が再選されるかどうかでアメリカの方針は変わる可能性もある。今回の通告で、すぐに大きな影響が出るわけではない」と指摘します。
そのうえで「アメリカ以外の大きな排出国である中国やインドは、国内の大気汚染などを背景に再生可能エネルギーを増やすなど対策を進めているので世界的な取り組みの後退にはつながらないだろう」と述べ、温暖化対策への世界的な機運が高まっている現状では、影響は限定的だと分析しています。
また「トランプ大統領は石炭産業を後押ししているが、エネルギー政策を担うのは州などの自治体だ。多くの自治体がシェールガスや太陽光発電への転換を進めた結果、温室効果ガスの排出量は、1990年代の水準まで下がっていて、この流れは変わらないだろう」とも述べ、自治体レベルでの危機感の高まりや再生可能エネルギーのコスト減などを背景に、トランプ大統領の意向によらず、アメリカの温暖化対策は進むと分析しています。
そのうえで「アメリカは国内での石炭の使用量が減る一方、輸出を増やしている。とりわけアジア諸国への輸出の増加が顕著だ」と話し、トランプ政権のエネルギー政策によってアジア諸国での温暖化対策が後退する可能性を指摘しています。
US notifies UN of its withdrawal from Paris accord https://t.co/2gTQ51A6dc
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US informs UN of Paris accord withdrawal https://t.co/tdOWnmNwhz
— NHK WORLD News (@NHKWORLD_News) November 5, 2019
「ウクライナ疑惑」で米下院が証言記録を公開 #nhk_news https://t.co/7zAsV7gt4J
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年11月5日
アメリカのトランプ大統領の、いわゆるウクライナ疑惑をめぐり、大統領の弾劾に向けた調査を進めている議会下院の3つの委員会は4日、先月行われた非公開の議会証言記録の一部を公開しました。
公開されたのは、ことし5月に駐ウクライナ大使を解任されたヨバノビッチ氏と、ポンペイオ国務長官の補佐官を務めたマッキンリー氏の2人の証言です。
それによりますと、ヨバノビッチ氏は、トランプ大統領がことし7月のウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、「前の大使だった女性はよくなかった」と述べたことについて、「脅されている」と感じたということです。
また、マッキンリー氏は、ポンペイオ長官に対しヨバノビッチ氏を擁護する声明を出すべきだと主張したものの、受け入れられなかったため辞任したということです。
トランプ大統領は4日、ヨバノビッチ氏について、ホワイトハウスで記者団に「彼女のことは知らない」と述べて、疑惑を否定しました。
今回の公開は、議会下院で先月31日、トランプ大統領の弾劾に向けた調査に関する決議案が可決したことを受けたもので、民主党は今後、証言記録のさらなる開示や公の場で議会証言を行い、弾劾に向けた世論を呼び起こしたい考えです。
ウクライナ疑惑の「内部告発者」はバイデン前副大統領の部下だった https://t.co/ITy9soC6Gt #FNN
— FNN.jpプライムオンライン (@FNN_News) 2019年11月5日
この疑惑の「内部告発者」についてはすでにワシントンの関係者の間では「公然の秘密」として知れ渡っていたが、「内部告発者保護法」の建前からマスコミも公表を控えてきた。
しかし、ネットニュースの大手「リアルクリア」は30日、「国民は現職大統領を解任させる試みの詳細を知る権利がある」としてその氏名や経歴などを明らかにした。
それによると「内部告発者」は中央情報局(CIA)の現職の分析官のエリック・チャラメラ氏33歳で登録された民主党員。名門エール大学出身でロシア語とウクライナ語とアラビア語を話し、オバマ政権時代の2015年バイデン副大統領がウクライナ問題の責任者となった際、CIAからホワイトハウスに派遣され国家安全保障会議で副大統領の部下としてウクライナ問題を担当したと「リアルクリア」は伝えている。
いわゆる「ウクライナ疑惑」は、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領と7月25日に電話会談した際に、来年の大統領選に民主党から出馬表明をしているバイデン氏と息子のウクライナ企業との癒着問題を調べるよう頼んだことが「選挙法違反」とされているが、告発したのがそのバイデン氏の部下だったとなると、告発はバイデン氏を擁護するためではなかったかという疑念を抱かせることにもなる。
チャラメラ氏はまた、トランプ陣営がロシア政府と共謀しているという情報を流していたウクライナ系のアレクサンドラ・チャルーパさんとも近い関係で、彼女をホワイトハウスへ招き入れたことがあるという関係者の証言を「リアルクリア」は紹介している。
チャルーパさんはウクライナの反ロシア派の非公式なロビーストと考えられており、「トランプ陣営がロシア政府の助けでクリントン候補の選挙妨害を計画している」と民主党本部などへ訴えて、いわゆる「ロシア疑惑」捜査のきっかけになった人物として知られる。
チャラメラ氏はトランプ大統領が就任後も国家安全保障会議に留まり2017年中頃にCIA本部へ戻るが、「彼はトランプに逆らっていたし、大統領に不利な情報をマスコミに漏らしていたことが問題にされた」と同会議の関係者は「リアルクリア」に語っている。
今回チャラメラ氏は、国家安全保障会議内の同僚からトランプ大統領の電話会談の内容を聞くと、同会議を辞めた仲間で下院の諜報活動特別委員長のアダム・シフ議員(カリフォルニア州 民主党)のスタッフに相談し「内部告発」の手続きをとった経緯についてはワシントンで周知の事実だった。
こうしたことから告発を受けた情報当局の監察官は、告発者が「政治的に偏向している」として一時取り扱いを保留したが、民主党側から批判されて公開された。
また、野党・民主党の有力候補、バイデン前副大統領については、息子がウクライナのエネルギー関連企業から何百万ドルもの報酬を得ていたと指摘し、「これこそが賄賂だ」と述べて、ウクライナをめぐる疑惑があるのは、むしろバイデン氏の側だと批判しました。