米民主党の自滅でトランプ再選へ https://t.co/p4reFH2OlF 無料記事として配信しました。
— 田中宇 (@tanakanews_com) 2019年12月1日
12月12日に予定されている英国の総選挙で、EUからの離脱を目指すボリス・ジョンソン首相の保守党が大勝して安定多数を確保し、2大政党制のライバルである労働党が議席を大幅に減らして戦後最悪の大敗になりそうだという予測が出ている。大手の選挙予測機関であるユーガブの調査によると、総数650の下院では、保守党が317から359議席に増え、労働党が262から211議席に減る。
英選挙での保守党大勝が重要な意味を持つ点はもうひとつある。英米の政治状況は連動している。2016年6月に英国でEUからの離脱を問う国民投票が行われる前に「もしEU離脱が可決されたら、秋の大統領選でトランプが勝つ可能性が高い」と、権威あるBBCが指摘していた。BBCの指摘どおり、英国でEU離脱が可決されたら、米国でトランプが当選した。この英米の連動関係は、今も続いているはずだ。12月の英国総選挙で離脱派の保守党が大勝すると、来年11月の米大統領選でトランプが再選される。
16年以来の英米の政治的な連動の深奥には、英米の一体化した諜報界の上層部における「米英覇権(軍産)vs多極型」という覇権のデザインをめぐる長年の暗闘がある。米英覇権の黒幕である英国をEU離脱(離脱自体とその前の騒動)で無力化しておき、その間に米国に右派ポピュリスト政権(今はトランプ)を作って覇権放棄を進め、世界を多極型に転換しようとする多極派の謀略が成功しているのが、16年以来の英米政界の流れの本質だ。英国は「ボリスvs議会」、米国は「トランプvs軍産・民主党」が、現在の「多極型vs米英覇権」の闘いの構図であり、16年以来の暗闘構造が今も続いていることがわかる。
英国は、労働党もコービン党首ら今の主流派がEU離脱に賛成なので、12月の選挙でボリスが負けて辞職して労働党政権になったとしても離脱騒動が続き、英国の国際影響力が低下したままだ。英国の選挙は「米国の来年の選挙に連動する」ということ以上の世界的な意味がない。英国の覇権低下は、独仏が米英から自立してEU統合を進める好機であり、EUを対米自立させて世界の極にするのが多極派の狙いだ。
米国も、基本的な闘いの構図は、来年の大統領選挙や再来年1月のトランプ2期目の開始以降まで変わりそうもない。米諜報界上層部の暗闘で、軍産のふりをしたトランプ派が、軍産と民主党に自滅的な策をやらせ、そのおかげでトランプの優勢が続く。そもそも、16年のトランプ当選前後から出てきた「ロシアゲート(トランプはロシアのスパイだという濡れ衣のスキャンダル)」は、根拠となっているのがクリントン陣営の出資で英諜報界MI6が作った、匿名の伝聞ばかりで出来の悪い「スティール報告書」であり、最初から自滅的だった。ロシアゲートは実のところ、民主党のクリントンがトランプを悪者にするためにMI6にインチキな報告書を作らせたスキャンダル(スパイゲート)である。
今年9月には、ロシアゲートの延長として、米議会の民主党がトランプを「ウクライナ大統領に電話で不当に圧力をかけた」という容疑で弾劾する動きを始めたが、これまた米諜報界の「反トランプのふりをした親トランプ」な勢力が民主党のシフやペロシを騙してやらせたとおぼしき自滅策だ。問題の電話の速記録がすぐに発表され、トランプが不当な圧力をかけていなかったことが明らかになり、民主党の弾劾劇はさっそく宙に浮いた。今秋のウクライナ・スキャンダルは実のところトランプの不正でなく、民主党の唯一の有力な軍産系の大統領候補であるバイデンが、息子の役員報酬などの形でウクライナ政府にカネを出させていたという疑惑だ。ロシアゲートもウクライナ電話弾劾劇も、本質はトランプでなく民主党のスキャンダルである。これらは、16年にトランプを当選させた米諜報界の多極派が、民主党を自滅させてトランプを再選させるための策だろう。
今の米民主党は、ほかにも自滅的な構造を抱えている。それは、覇権を維持したい軍産エスタブ系の中道派と、覇権を嫌う反軍産・反エスタブな左派との党内対立が続いていることだ。今後、ウクライナ疑惑のトランプ弾劾劇が米議会上院で審議され、上院の多数派である共和党がトランプでなくバイデンの容疑を追及していく姿勢を見せている。下院では多数派の民主党がバイデンの容疑を審議させなかった。トランプは、自分に対する弾劾なのに「上院で時間をかけて(バイデンの容疑を含む)弾劾問題を審議してほしい」と自信満々な表明をしている。共和党内でこれまでトランプを敵視してきた軍産エスタブ系の生き残り勢力の筆頭であるミット・ロムニー上院議員が、上院での弾劾審議を前に、トランプと何度も会っている。もはや両者は敵どうしでない感じだ。弾劾劇を機に、共和党が「トランプ党」になる傾向が強まりそうだ。
今回の大統領選で、民主党の軍産エスタブ系の有力な候補はバイデンだけだ。バイデンが予備選で勝てないと、民主党の統一候補がサンダースやウォーレンといった左派になってしまう。民主党から軍産エスタブが追放され、民主党が完全な左翼政党になってしまう。共和党はすでに反軍産な「トランプ党」になっているので、米政界から軍産エスタブが完全に追放され、2大政党の右派と左派が結託して覇権放棄のやり放題になる。
民主党における左派の台頭、左派と中道派の分裂は、ブッシュ政権がイラク戦争など過激な軍事覇権策をやり、金融バブルを膨張させて貧富格差を拡大したころからのことだ。オバマは左派出身だが、2007年の大統領選に際して中道的な姿勢をとり、民主党内の軍産エスタブを取り込んで党内の支持を結集して当選した。今回、オバマ政権の副大統領だったバイデンが中道エスタブ派の候補として立っており、民主党内の有力な有権者層である黒人はオバマの継承者としてバイデンを支持しているが、バイデンはオバマのような指導者としてのカリスマがない。トランプが左右の草の根の対立を扇動する「中道エスタブ潰し」の策略をやっているのに踊らされて民主党内で左派が強くなり、バイデンはオバマの時のように党内の中道と左派をまとめられず、左派に敵視されている。今回、中道の助っ人として表立った政治活動を再開したオバマは、左派を宥和して取り込むのでなく、左派を批判する姿勢で入ってきた。党内の対立が激化し、もうオバマでも左派を取り込めないのだ。
そこにさらに入ってきたのが、元ニューヨーク市長のブルームバーグだ。彼はかつて共和党支持だったが、その後独立派を経て今回は民主党から立候補する。ブルームバーグは大金持ちだし、金融界との関係が強く、それらがバイデンにない強みだという。しかし、この「強み」は、中道派(金持ち)vs左派(貧乏人)の対立が強まっている今の民主党では、左派からの猛攻撃を煽るだけの「弱み」になってしまう。ブルームバーグとバイデンは支持者が多い州が違っており、両者の決着はなかなかつかず、相互に足を引っ張り合って中道派の得票が分裂し、その間に左派がサンダースもしくはウォーレンで結束して得票を増し、左派が民主党の統一候補になるシナリオが見えてきている。
それで民主党の左派候補とトランプの決戦で左派が勝つかというと、そうはならない。民主党の軍産エスタブや金融界の中には「民主党の左派を大統領にするぐらいなら、トランプが大統領になったほうがマシだ」と考えている勢力が多く、彼らがマスコミの中傷記事やスキャンダル発掘によって民主党の左派の統一候補を弱体化させ、トランプを勝たせてしまう展開がありうる。
民主党の左派自体、新人下院議員のAOC(オカシオコルテス)など、トランプ側が民主党を左傾化して潰すために放った刺客と疑われる勢力に席巻されている。左派の有力候補であるウォーレンも、これまでの上院議員時代は中道派のエスタブだったが、左派の台頭にいち早く気づいて便乗して左傾化し、今や左派の急先鋒みたいに振舞っている。インチキな人々が多い。
AOCは、中央銀行のQE(造幣による債券を買い支え)に代わる米国の金融バブル延命策であるMMT(財政赤字の急増を正当化して煽る策)をさかんに広めている。AOCは、バブル延命に必死な米金融界の手先の疑いもある。ウォーレンら左派の候補たちが競って政策を出している国民皆保険制度も、今の米国でやると財政破綻にしかつながらず、非現実的な頓珍漢だ。左派候補たちは地球温暖化対策でも競っているが、2酸化炭素をいくら減らしても温暖化の抑止にならない上に、国連のCOPが決めた温暖化対策をやると儲かるのは中国を筆頭とする非米諸国であり、これまた(笑)な隠れ多極主義的だ。
d1021.hatenadiary.jp
d1021.hatenadiary.jp
d1021.hatenadiary.jp
d1021.hatenadiary.jp
#多極化
ウクライナ疑惑 公聴会に米大統領側「参加するつもりない」 #nhk_news https://t.co/4YTE5kgoBL
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年12月2日
ウクライナ疑惑をめぐって、アメリカ議会下院の司法委員会は、今月4日に公聴会を開いて弾劾の憲法上の根拠などについて審議する予定で、質問の機会を与えるためトランプ大統領や、その代理人に参加を呼びかけていました。
回答の期限となった1日、ホワイトハウスは民主党のナドラー司法委員長に書簡を送りました。
この中でホワイトハウス側は、トランプ大統領は4日はNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するためイギリスに滞在している予定だったとして「公聴会をわざとこの日に設定したことに疑いの余地はない」として批判しています。
そして、「公平なプロセスが提供されるか疑問だ」としたうえで「参加するつもりはない」と回答しました。
アメリカのメディアによりますと、弾劾に向けては、情報委員会が先月行った公聴会での政府高官など12人の証言をまとめて、近く報告書を承認する見通しだということです。
その報告書を踏まえて、民主党は、司法委員会で具体的な審議を行ったうえで、年内の弾劾訴追を目指していて、双方の駆け引きが激しくなっています。
Trump side will not attend impeachment hearing https://t.co/wmsScgqRTj
— NHK WORLD News (@NHKWORLD_News) 2019年12月2日