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トランプ大統領は13日午後(日本時間の14日未明)、トルコのエルドアン大統領とホワイトハウスで会談しました。

トランプ大統領がシリア北部からアメリカ軍を撤退させる判断をしたことをめぐっては、シリアでの対テロ作戦でアメリカ軍と連携してきたクルド人勢力に対しトルコが攻撃を加えることを事実上、黙認したと批判されてきました。

これに関連してトランプ大統領は、「シリア北部の停戦は維持されており、国境周辺の情勢も安定している。クルド人勢力とも協議しているが、彼らも満足しているようだ」とシリア北部の現状を評価し、アメリカ軍を撤退させたことの正当性を訴えました。

またトランプ大統領は、「S400やF35の問題についても話す」とも述べ、トルコがロシアの最新鋭ミサイルシステムS400の導入を計画していることについても議論する考えを示しました。

アメリカ政府は、トルコがS400を導入すれば、アメリカ製の最新鋭ステルス戦闘機、F35の機密情報がロシア側に漏れる可能性があるとしてF35の引き渡しを凍結しています。

ホワイトハウスの前では、首脳会談の時間に合わせて、アメリカで暮らすクルド人の団体などが呼びかけてトルコによる軍事作戦に抗議するデモを行い、シリアやイラクから難民として逃れてきた人など、およそ150人が参加しました。

参加者はクルドの旗やエルドアン大統領を批判するプラカードを掲げ、「トルコはシリアから出て行け」とか、「トルコは侵攻をやめよ」と叫びながらホワイトハウスの前を練り歩きました。

20年ほど前にシリアから来たというクルド人の男性は、「シリア北部には何度も行ったことがあるが、クルドだけでなくアラブやヤジディなど多くの人が平和に暮らしていた。しかし今は大混乱で、多くの人が家を失い、殺害された。トルコの軍事作戦にはクルドだけでなく、多くの人が反対していることを示すことが大事だ」と話し、国際社会にもクルド人を支援してほしいと訴えました。

また抗議活動に参加するため1700キロ離れた中西部ネブラスカ州から来たという男性は、「トランプ大統領がトルコの軍事作戦を黙認したのは悪い決定で、そのせいで多くの人が殺害された。クルド人アメリカ軍と協力して戦い、1万1000人が死亡し、過激派組織ISを倒したのもクルド人だ。トランプ大統領エルドアン大統領に兵を引くよう求めるべきだ」と述べ、トルコの軍事作戦を招いたのはトランプ大統領だと批判しました。

アメリカのトランプ大統領とトルコのエルドアン大統領は13日午後、ホワイトハウスで会談し、終了後、共同で記者会見しました。

トルコは先月9日、敵対するクルド人勢力を排除するとしてシリア北部に侵攻し、軍事作戦に乗り出しましたが、先月17日にアメリカとの間で、クルド人勢力の撤退を条件に作戦を停止することで合意しました。

会談後、両首脳はトルコが引き続き軍事作戦を行わない方針を確認したことを明らかにしました。

一方で、焦点のクルド人勢力をめぐっては、トランプ大統領「われわれは今、クルド人とともにあり、うまくやっている」と述べて支援を続ける姿勢を示したのに対し、エルドアン大統領はクルド人と、テロリストのクルド人武装勢力とは区別すべきだ」と批判し、立場の違いが改めて浮き彫りとなりました。

両国関係をめぐっては、クルド人勢力に対する軍事作戦をめぐり、アメリカ国内でトルコに対する反発が強まり、ぎくしゃくした状態が続いてきましたが、両首脳は会談を開催して良好な関係を前面に打ち出しました。

トランプ大統領としてはシリア北部からの軍撤退の正当性を維持するねらいが、また、エルドアン大統領としてはアメリカとの良好な関係を維持することで、経済制裁を科されることを回避したいという思惑があるとみられます。

アメリカとトルコの首脳会談で、トランプ大統領「停戦は維持されている」と発言したことについて、クルド人勢力主体の部隊「シリア民主軍」のマズルム司令官は、13日自身のツイッター「トルコ軍は会談の最中でもキリスト教徒の町を激しく攻撃し、多くの住民たちが避難せざるを得なくなっている」とコメントし、トルコ軍が停戦合意を守っていないと強く批判しました。

一方、トルコではエルドアン政権による公務員や軍人などの大規模な粛正が大きな問題となっています。発端は3年前に起きたクーデター未遂事件で、エルドアン政権はその後、事件に関与したとして多数の公務員や裁判官、軍人などを公職から追放したり、拘束したりしています。

この実態について、トルコ軍の元将校が匿名でNHKのインタビューに応じました。

この将校は去年逮捕され、仮釈放中にアメリカに亡命したということで、「ある朝、突然、警察が自宅に来て逮捕された。何千人もの人たちが同じように無実の罪で投獄され、職を奪われている」と話しました。

そのうえで13日のトランプ大統領エルドアン大統領の首脳会談についてエルドアン政権は国内のメディアをすべて掌握している。トランプ大統領との会談をエルドアン大統領の大きな成果として伝えている。だがアメリカを含むすべての民主主義国には、このような機会に国民の弾圧を進める非民主的なエルドアン政権の独裁体制を非難してほしい」と訴えました。

またトルコが、ロシアの最新鋭ミサイルシステムS400の導入を計画していることについては、アメリカやNATO諸国との信頼関係を損ねることになる」と指摘しました。

そして「背景には、トルコ軍でアメリカやNATOと関係のある将校が大量に粛正された結果、軍全体がロシアやイランとの関係を偏重する組織になってきているという事情がある」と話し、エルドアン政権による粛正でアメリカやNATO北大西洋条約機構の同盟国に近い将校が大量に追放されたり、逮捕されたりした結果、ロシアやイランに近い将校が残ったことが、ロシアのミサイル導入の決定に影響しているという分析を示しました。

トルコの元国会議員で、現在は、ワシントンのシンクタンクで研究員を務めるアイカン・エルデミル氏がNHKのインタビューに応じ、今回の首脳会談について「トルコのシリア北東部への攻撃をめぐってトランプ大統領からほとんど言及がないどころか、トルコに対して謝意すら示していた。これはNATO諸国の立場とは相いれず、この会談によってアメリカとEU、そしてトルコとEUの溝がより深まる方向に発展しかねない」と分析しました。

一方で、エルデミル氏は、アメリカの議会上院でトルコへの制裁決議が検討されていることを踏まえエルドアン大統領の権力の支えは国内経済であり、アメリカの制裁が発動されてトルコの銀行や軍、それに省庁が対象になれば、非常に難しい立場に置かれることになる。エルドアン大統領にとって今回の会談の真のねらいは、議会で制裁決議が可決されないように働きかけることだった」と指摘し、エルドアン大統領としては、一定の成果を果たせたという見方を示しました。

イスラエル軍は12日、パレスチナ暫定自治区ガザ地区で、敵対するイランとつながりの深い武装組織「イスラム聖戦」の幹部を殺害しました。

これをきっかけにイスラム聖戦は、ロケット弾360発をイスラエル領内に向けて発射し、南部アシュケロンでは13日、住宅にロケット弾が命中し、中にいた70歳の女性が割れた窓ガラスでけがをするなどこれまでに34人がけがをしました。

これに対し、イスラエル軍イスラム聖戦の戦闘員を狙った空爆を繰り返していますが、13日ガザ市の近郊では8歳の男の子を含む一家3人がバイクで農作業に向かおうとしたところ、ドローンによると見られる攻撃を受けて全員が死亡するなど市民が巻き添えになるケースが相次いでいて、市民9人を含む24人が死亡しています。

こうした状況を受けて、国連や隣国エジプトが戦闘の停止に向けて調停に乗り出していますが、今のところ事態が収束する見通しは立っておらず、さらなる衝突の激化が懸念されます。

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