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リビアでは8年前に民主化運動「アラブの春」でカダフィ政権が崩壊したあと国が分裂した状態が続いていて、国連などが認める西部の暫定政府東部の軍事組織の間で戦闘が続き、ことし4月以降、市民を含む1000人以上が死亡しています。

トルコ議会は21日、政府がリビア西部の暫定政府軍事協定を結ぶことを賛成多数で承認しました。

協定では、トルコ軍が武器の供与や訓練、それに作戦についての助言などを行うことができるとしていて、トルコのエルドアン大統領はリビア暫定政府からの要請があればあらゆる支援を行う用意があると述べています。

一方、国連はリビアへの武器輸出を禁止する措置をとっていて、トルコが西部の暫定政府に軍事支援を行えば東部の軍事組織を支持する周辺国が支援を強化し戦闘が激化していく可能性もあり、トルコの今後の出方が注目されます。

リビア情勢をめぐっては、暫定政府とハフタル氏側、それぞれに対する外国勢力の支援が事態を悪化させていると指摘されてきました。

国連でリビア情勢を担当するサラメ特使は11月、戦闘が続く首都トリポリの南部では、外国の民間軍事会社の戦闘員やよう兵などの数が増え続けていると指摘しています。

また、武器の禁輸を定めた国連安保理の制裁に違反して外国からリビアに武器が流れ込んでおり、攻撃用無人機を使った空爆が市民の犠牲の増加に拍車をかけているとして強い懸念を示しました。

今回、トルコは暫定政府への支援を強化する姿勢を示し軍事協定を結びましたが、リビアの隣国・エジプトはテロ対策などを理由にハフタル氏側への支援姿勢を明確にしています。

トルコによる暫定政府への支援強化が取り沙汰される中、エジプトのシシ大統領は今月、「エジプトの安全保障はリビアで起きていることの直接的な影響を受ける。エジプトは直接介入する能力も持ち合わせているが、実行には移さなかった」などとトルコをけん制するような発言をしていて、リビア情勢をめぐる周辺国の動きも活発になっています。

リビアでは、2011年にアラブ諸国を席けんした民主化運動「アラブの春」で、独裁的なカダフィ政権が崩壊しましたが、その後は各地の武装勢力が互いに衝突しあう状況に陥りました。

現在は、東部のベンガジに拠点を置く軍人のハフタル氏が率いる軍事組織と、西部の首都トリポリに拠点を置き国連が認める暫定政府との間で、国が2つに分裂した状態が続いています。

ことし4月、ハフタル氏が暫定政府の拠点がある首都トリポリ攻略に向けた進軍を宣言し、トリポリ周辺では双方の部隊が衝突して一進一退の状況が続いてきました。

ハフタル氏は今月12日演説し、「軍事行動を始める時が来た」などとして再び首都陥落に向けた攻撃を宣言し、トリポリ周辺で空爆や砲撃が一段と激しさを増しています。

国連は、ことし4月以降、空爆などに巻き込まれて死亡した市民が200人を超えており医療施設なども攻撃の対象となっているとして厳しく非難しています。

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