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アメリカ軍によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害から3日がたち、イランでは各地で大規模な葬儀が行われました。

首都テヘランでの葬儀では数百万人が参列したと伝えられ、最高指導者のハメネイ師が国民を前に涙を流しながら追悼の祈りをささげました。

その後も葬儀はソレイマニ氏のひつぎを移しながら夜まで続き、各地で大勢の市民が通りを埋め尽くしました。

ソレイマニ氏の遺体は7日には出身地の南東部ケルマン州に運ばれ埋葬される予定で、ハメネイ師が、国を挙げて3日間、喪に服すと表明してからの追悼の動きは区切りを迎えます。

現地のメディアによりますと、ハメネイ師の外交顧問を務めるベラヤティ氏は6日、「われわれは報復を実行する。アメリカがこの地域を離れるのなら被害は少なくなるが、そうでないならば一帯はベトナムの時よりも泥沼化するだろう」と述べ、改めて報復を宣言しました。

アメリカが大使館を置くイラクの首都バクダッドでは5日夜、大使館のある地区にロケット弾が撃ち込まれ、中東に展開するアメリカ軍や各国のアメリカ大使館は警戒を強めています。

国連のグテーレス事務総長は情勢は緊迫しているとして、名指しを避けながらもアメリカとイランに自制を求めるとともに、各国に緊張の緩和に動くよう訴え、国際社会は衝突を避けるための取り組みを急いでいます。

アメリカ軍によって、イラン精鋭部隊の司令官が殺害されたことで中東情勢の緊張が一層高まる中、安倍総理大臣は6日の記者会見で「深く憂慮している」としたうえで「情報収集態勢を強化するためこの地域に自衛隊を派遣し、日本関係船舶の航行の安全を確保していく」と述べ、中東地域への自衛隊派遣の方針に変わりはないという考えを示しました。

政府内では今回の事態を受けて「情報収集の必要性はより高まっている」などといった意見が出ており、アフリカ東部のジブチを拠点に海賊対策にあたる哨戒機部隊は今月中旬から活動を開始し、来月には護衛艦「たかなみ」が日本を出発して活動に当たる方針です。

安倍総理大臣は今月中旬にも調整しているサウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などの訪問で、日本政府のこうした方針を丁寧に説明するとともに、緊張の緩和に向けた関係国の外交努力を呼びかけることにしています。

一方、外務省は、中東地域で不測の事態が起きるおそれがあるとして現地に滞在する日本人などに注意喚起を行っています。

トランプ大統領は4日、イランが報復に出れば52の目標を対象に激しく反撃するとし、「目標のいくつかはイランの文化にとって非常に重要だ」と警告しました。

ユネスコのアズレ事務局長は6日、ユネスコイラン政府代表部の大使と会談し、アメリカとイランは、武力紛争の際に文化財を保護するための条約と、世界の文化遺産と自然遺産の保護に関する条約を批准していると指摘しました。

そのうえで、条約上、文化財世界遺産を標的としたいかなる攻撃も許されないと強調しました。

トランプ大統領が攻撃の目標に関して「イランの文化にとって重要だ」と言及したことに対しては、アメリカ国内でも国際法違反の疑いがあるという指摘が出ています。

これに対してポンペイ国務長官は5日、「合法な攻撃目標であり、アメリカを守るための目標だ」と述べ、攻撃目標は国際法違反に当たるものではないと説明する一方、トランプ大統領はその直後、「イランは人々を殺害するのに、アメリカはイランの文化的な施設に触れられないというのか。それは通用しない」と述べて、両者の説明が食い違うという批判も出ています。

イスラエルアメリカ大使館は6日夜、イスラエルパレスチナ暫定自治区に暮らすアメリカ市民に向けて「中東情勢が緊迫し、安全上のリスクが高まっている」としたうえで、イラン側によるロケット弾や迫撃砲弾による報復攻撃のおそれがあるとして厳重な警戒を呼びかけました。

イスラエルのメディアは、アメリカ大使館が安全上のリスクとしてロケット弾などを具体的に明示して呼びかけるのは極めて異例だと伝えています。

イスラエルは周囲を、イランの支援を受けて多数のロケット弾を保有するパレスチナレバノン武装組織に囲まれていることから、治安悪化への懸念が広がっています。

グテーレス事務総長は6日、国連本部で声明を読み上げ、「新年は混乱の中で幕を開けた。われわれは危険な時代に生きている」と述べました。

そのうえで、アメリカ軍によるイランの司令官の殺害で両国間の緊張が高まっていることを踏まえ、地政学的な緊張は今世紀で最も高まっている。その混乱はエスカレートしている」と述べて、両国の名指しは避けながらも情勢は極めて緊迫しているという認識を示しました。

さらに「重大な懸念をもって最近の緊張の高まりを注視している。世界中の指導者たちに常時連絡をとっている」として、各国の高官にこうした懸念を繰り返し伝えていることを明らかにしました。

そして「私のメッセージは簡潔で明瞭だ。事態をエスカレートさせず最大限の自制を発揮せよ。戦争を避けることはわれわれの共通した責務だ」と述べて、アメリカとイランの名指しは避けながらも両国に自制を求め、各国には緊張の緩和に取り組むよう訴えました。

NATO北大西洋条約機構アメリカとイランの緊張が高まっていることを受けて6日、ベルギーのブリュッセルにある本部で緊急の大使級会合を開きました。

会合ではアメリカの大使が、今回のイランの司令官に対する攻撃に至った背景を説明しました。

これに対して各国は、イランが中東のテロリスト集団を支援し地域を不安定化させているという認識で一致し、厳しく対応していくことで一致したということです。

会合のあとストルテンベルグ事務総長は記者会見を開き、「新たな衝突は誰の利益にもならない。イランは暴力と挑発を控えなければならない」と述べて、イランに対し報復の応酬につながる行動に出ないよう強く自制を求めました。

またイランの核合意をめぐって、イランが合意で定められた制限に従わず濃縮活動を強化すると発表したことを受けて、各国はイランが将来的に核兵器を開発することがないよう注視していくことで一致しました。

フランスのマクロン大統領、イギリスのジョンソン首相、ドイツのメルケル首相は5日、共同で声明を発表し、「今は緊張の緩和が急務だ。すべての当事者に対して自制と責任のある行動を呼びかける。特にイランに対しては、暴力的な行動を控え、核合意に矛盾するすべての措置をやめるよう求める」としてアメリカとイランの双方に自制を求めました。

イランの核合意をめぐり、イラン政府は5日、アメリカによる経済制裁に対抗するため、ウランの濃縮度を含めて合意で定められた制限に従わず、濃縮活動を強化すると発表しました。

ただIAEAとの関係はこれまでどおり維持し、アメリカの制裁が解除されイランの利益を確保できるなら再び合意を順守するとしています。

これを受けてイランの核開発を検証しているIAEAは6日、声明を発表し、「イラン政府はIAEAとの関係を維持すると発表した。IAEAの査察官はイランの核開発の検証と監視活動を続けていく」として、核開発の検証活動を継続すると強調しました。

そのうえで「イランのさらなる活動については適宜、関係国に報告していくつもりだ」としています。

イランは今回、IAEAの査察受け入れ停止も検討していたとされ、IAEAとしてはイランとの協力関係を維持して検証と監視を確実にしたい考えがあるとみられます。

アメリカ軍によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害を受け、現場となったイランの隣国イラクは主権の著しい侵害だとして反発しています。

さらに、イラクの準軍事組織の幹部がソレイマニ司令官とともに殺害されたことも反米感情の高まりにつながり、イラク議会は5日、アメリカ軍をはじめ外国部隊の即時撤退を求める決議案を可決しました。

これを受けてアブドルマハディ暫定首相は6日、アメリカのトゥーラ大使をバグダッドの首相府に呼んで会談し、イラク議会の決議に沿って駐留部隊の撤退への協力を要請しました。

また首相府によりますと、アブドルマハディ暫定首相はアメリカとイランがイラクを舞台に対立を深めていることから「極めて危険な状態で、イラクは両者による全面戦争を回避するためあらゆる手立てを講じる」と述べたということです。

イランはアメリカへの報復を繰り返し宣言するとともに、イラクなど周辺地域からのアメリカ軍の撤退を要求していて、イラクとしてはアメリカ側に早期の対応を求めることでイランとの衝突を回避させるねらいもあるとみられます。

ケニアソマリアとの国境に近い南東部で、アメリカ軍の拠点となっている基地が5日、ソマリアイスラム過激派組織、アッシャバーブに攻撃され、基地にいたアメリカ人の兵士1人と民間人2人の合わせて3人が死亡し、国防総省の職員2人がけがをしました。

これを受けてアメリカ軍は6日、声明で、攻撃された基地の防衛を強化するためとして、ケニアに新たにアメリカ軍の部隊を派遣したことを明らかにしました。

現地では150人近いアメリカ人がケニア軍の兵士の訓練などのために駐留していて、ロイター通信は、今回およそ50人が追加で派遣されたと伝えています。

今回のアッシャバーブの攻撃についてアメリカ軍は、司令官殺害への報復を宣言するイランは関与していないと分析していますが、アメリカはアフリカでも対応を迫られる形となっています。

アメリカのニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは、ポンペイ国務長官が6日、議会上院の共和党トップ、マコネル院内総務に会い、ことし11月にアメリカ大統領選挙と同時に行われる上院議員選挙には、立候補しないことを伝えたと一斉に報じました。

ポンペイオ長官をめぐっては、かつて下院議員に選出された地元のカンザスから上院議員選挙への立候補が取り沙汰され、地元を頻繁に公務で訪れたり、ツイッターに個人のアカウントを新たに開設したりしたことが、そうした見方に拍車をかけていました。

上院議員選挙への立候補の見送りについて一部のメディアは、ポンペイオ長官に近い人物の話として「長官は、イラン情勢などがあまりに不安定だと感じ、国務長官でいるのが最適だと考えた」と伝えています。

ポンペイオ長官は対イラン強硬派として知られ、中国や北朝鮮に対しても人権状況の改善などを繰り返し求めており、引き続き、こうした立場をとりながら、緊張が続くイラン情勢や北朝鮮の問題に専念するとみられます。

アメリカ軍がイラクの首都バグダッドイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害してから6日で3日がたちました。イランでは各地で大規模な葬儀が行われ、7日には司令官の遺体が埋葬される予定で、追悼の動きは区切りを迎えると見られます。

一方で、イランは繰り返し報復を警告し、これに対しアメリカのトランプ大統領は反撃を明言していて、報復の応酬への懸念が強まっています。

こうしたなか国連のグテーレス事務総長は6日、国連本部で声明を読み上げ、「重大な懸念をもって注視している。メッセージは簡潔で明瞭だ。事態をエスカレートさせず最大限の自制を発揮せよ。戦争を避けることはわれわれの共通の責務だ」と述べて、名指しは避けながらもアメリカ、イラン双方に自制を強く求めました。

またNATO北大西洋条約機構は6日、緊急の会合を開き、ストルテンベルグ事務総長は「新たな衝突は誰の利益にもならない。イランは暴力と挑発を控えなければならない」と述べて、報復に強い懸念を示しました。

イギリスのジョンソン首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相も5日の共同声明で、「すべての当事者に自制と責任ある行動を呼びかける」と訴えていて、国際社会は衝突を回避させるための働きかけを強めています。

アメリカの複数のメディアは6日、アメリカ軍がイランの隣国のイラクに宛てて、イラク国内に展開する部隊の撤退の準備を進めると伝えたとする書簡の内容を伝えました。

書簡ではイラクの議会が5日に、アメリカ軍などの即時撤退を求める決議を可決したことを踏まえイラクの主権者の決断に敬意を表する」としたうえで、国外に安全に退去するため、今後数日から数週間をかけて軍を再配置するとして、撤退を強く示唆しています。

これを受けてエスパー国防長官は急きょ記者会見し「撤退という決定は何もしていない」と述べて、書簡の内容を強く否定しました。

さらに、アメリカ軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は、書簡は下書きだとしたうえで「稚拙な文章だが、撤退は計画していない」と釈明しました。

そのうえで「実際は中東への部隊の増派でイラク国内での移動が活発化することを伝えようとした」としています。

ただ、イラクのアブドルマハディ暫定首相は6日、アメリカに対しイランとの衝突の回避に向けて、部隊の撤退への協力を要請していて、イランも周辺地域からのアメリカ軍の撤退を要求しています。

イランのメディアは最高指導者ハメネイ師の外交顧問が6日、アメリカがこの地域を離れるなら被害は少なくなるが、そうでなければ一帯はベトナムの時よりも泥沼化するだろう」と述べたと伝えていて、今後のアメリカ軍の動向も焦点となりそうです。

トランプ大統領の指示にもとづいてイラクの首都バグダッドで殺害されたイランの精鋭部隊、革命防衛隊のソレイマニ司令官の遺体は7日、出身地の南東部ケルマン州に到着し、大勢の市民が街を埋め尽くす中で大規模な葬儀が行われました。

葬儀に出席した革命防衛隊のサラミ総司令官は「卑劣な殺害行為は、アメリカのこの地域における存在を終えんさせるだろう」と述べてアメリカを強く非難しました。

司令官はこのあと、埋葬される予定でしたが、現地には多くの人が殺到し、イランの当局者によりますと、人々が折り重なるようにして倒れて、32人が死亡、190人がケガをしたということで、この影響で、遺体の埋葬は延期されることになりました。

葬儀の責任者は、イランのメディアに対して、人々が死亡したのは、ソレイマニ司令官に対する殉死ではなく、多くの人が殺到したことによって起きた事故だと説明してます。

イランで英雄視されているソレイマニ司令官の葬儀には、数百万人が参列していると伝えられていて、現地からの映像では、街中を人々が埋め尽くしている様子が見られていました。

イランでは、司令官の殺害を受けて、反米感情が高まっているほか殺害現場となった隣国イラクでも、アメリカ軍の撤退を求める動きが出ています。

これを受けイランでは、革命防衛隊の航空司令官がアメリカ軍がこの地域から出て行くことは、アメリカ軍基地を攻撃することよりも価値がある」と述べるなど敵対するアメリカ軍を中東地域から追い出すことが重要だという意見も出始めていて、イランとしては、アメリカの司令官殺害に対する周辺国の反応を見極めながら報復の具体的な内容を判断していくものとみられます。

一方、イラン議会は7日、アメリカ国防総省をテロ組織に、アメリカ軍関係者のすべてをテロリストに指定するとした法案を可決しました。

またソレイマニ司令官が率いていた特殊部隊に対して、新たに日本円で250億円ほどの予算を追加することを決めアメリカとの対決姿勢を強めています。

アメリカ軍によるイランの司令官の殺害で両国間の緊張が高まる中、過激派組織IS=イスラミックステートの掃討作戦を行っているアメリカ軍主導の有志連合は5日、イラクの部隊の訓練や、作戦を支援する活動を一時中断すると発表しました。

有志連合は、発表した声明の中で中断する理由について、部隊が駐留する、イラク軍の基地に対しシーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」によるロケット弾の攻撃が続き、訓練や作戦が制限されているためだと説明しています。

今後の対応について有志連合は、イラク政府とイラク国民のため、駐留を続ける意思は固いとしていて、活動をやめる考えはないと強調しています。

イラクでの活動をめぐっては、NATO北大西洋条約機構も4日、イラクの治安部隊を訓練する任務を一時中断したことを明らかにしました。

NATOのストルテンベルグ事務総長は6日、「状況が許すならば、訓練を継続し、能力を強化する準備ができている」と述べ、治安が改善すれば、再開する考えを示しました。

国営メディアなどによりますと、イランで国の最重要政策を決めている最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は「これまでに報復として13のシナリオを検討した。いずれのシナリオもアメリカにとって悪夢のようなものだ」と述べ、報復措置の具体的な検討が進んでいることを強調しました。

そのうえで「われわれの報復は、アメリカの軍隊に焦点をあてている」としたうえで「彼らは、イランがおそらく中長距離ミサイルを使って報復することを知っている」と述べ、ミサイルを使った攻撃でアメリカ軍関係者を標的にすることを示唆しました。

そのうえで「詳細はお伝えできないが、報復行為は単体のオペレーションにとどまらないと」として、複数回にわたって報復する可能性も示唆しています。

またアメリカ軍が、この地域からみずからの足で出て行かないのならば、横たわった状態で出て行ってもらう措置に出る」と述べ、アメリカ軍は中東地域から撤退すべきだという考えを示しました。

イランの隣国イラクではソレイマニ司令官とともにアメリカ軍に殺害されたイラクの正規軍に次ぐ準軍事組織「人民動員隊」のアブマハディ・ムハンディス副代表を追悼する、大規模な葬儀が行われています。

ムハンディス副代表の出身地、イラク南部のバスラでは葬儀に合わせて7日を休日に指定し、数千人が参加してイラク国旗や写真を掲げ、ムハンディス副代表の死を追悼しました。

ムハンディス副代表はイラク政府が過激派組織IS=イスラミックステートを掃討するため立ち上げた正規軍に次ぐ準軍事組織「人民動員隊」を率いていた一方、アメリカ政府はイランの支援を受けてアメリカ軍への攻撃を繰り返してきたテロの容疑者として扱ってきました。

ムハンディス副代表が創設した「カタイブ・ヒズボラなどイラクシーア派武装組織は報復としてアメリカの関連施設への攻撃を警告しています。

5日にはバグダッドにあるアメリカ大使館を狙ったとみられるロケット弾攻撃が起きていてイラク国内は緊張が高まっています。

アメリカの安全保障政策に詳しい笹川平和財団渡部恒雄上席研究員は、アメリカ軍によるソレイマニ司令官の殺害について「司令官の殺害は、むしろイラン人の団結力を高め、比較的リベラルなロウハニ政権を強硬にさせてしまう」と述べて、イランで反米勢力が勢いを増すことになると指摘しました。

また「ソレイマニ司令官は、イスラム国の掃討作戦で功績を挙げ尊敬されてきた人物。イラク国内におけるシーア派の影響力を高め、イランの影響力を高めることになると思う。中東におけるアメリカの影響力は、ドミノのようにどんどん下がっていく」と述べて、イラクでもシーア派住民の間で尊敬を集めてきた司令官の殺害が、かえってイランの影響力を強める結果になるとしています。

一方、イラクに展開するアメリカ軍の撤退を示唆する書簡が流出した問題については「サインがされていない紙が、どういう状況で出たかわからないが、おそらく混乱した状況にあったのだろう。トランプ大統領は、短期間で違う方向の決定をするので、その下にいる人たちはどっちを向いているのか分からない。そういう混乱が、特に中東におけるアメリカ軍にはつきものだ」と指摘し、政権内の混乱ぶりが露呈した形だという見方を示しました。

そのうえで「国防総省が言っているとおり、あくまでもオプションの一つであり、一方的に、ここで撤退するとイランに対して弱さを見せることになる。その方向には、いかないのではないか」と述べて、即座にアメリカ軍のイラクからの撤退には結び付かないという見解を示しました。

自民党の役員会で、安倍総理大臣は今月中旬にサウジアラビア、UAE=アラブ首長国連邦オマーンの3か国を訪問することを明らかにしました。

そのうえで「中東情勢の緊迫化を深く憂慮している。緊張緩和に向けた外交努力を通じて地域の平和と安定に尽くしたい」と述べました。

また、日米の新たな貿易協定が今月1日に発効したことを受けて「攻めるべきは攻め、守るべきは守るという考え方のもと、農林水産業の所得を上げるべく、力を入れていきたい」と強調しました。

1月3日、イラク駐留米軍がトランプ米大統領の命令を受け、イラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を無人機を使って殺害した。スレイマニは軍人だが、彼のこの数年の活動の多くは、イラクやシリア、レバノンなどに対するイランの影響力を拡大したり、サウジやクウェートなどとの関係を改善するなど、外交官としての任務だった。スレイマニは頻繁にイラクを訪れており、今回はレバノンを訪問した後、定期便の民間航空機でバグダッドに到着し、外交旅券での入国審査を経て空港からバグダッド市内に向かおうとした時に空爆され殺された。スレイマニは、テロリストでなく外交官だった。イラクが仲裁する、イランとサウジの和解交渉をやりに来て殺されたという説もある。

トランプは19年4月に、スレイマニが率いていたイラン革命防衛隊(国軍よりずっと強いイラン軍)を「テロ組織」に指定しており、トランプ流の理屈としてはいつでもスレイマニを殺す可能性があった。しかし、さらに一歩踏み込んで考えると、イラン革命防衛隊の任務はシーア派を殺戮してきたISアルカイダと戦うことであり、防衛隊はテロ組織どころか逆に「テロ組織と戦う組織」だ。防衛隊のテロ指定自体がトランプ特有のお門違い策の一つだった。米国は覇権国だから、イラン防衛隊をテロ組織指定するお門違いな不正な策が世界的に黙認されてきた。スレイマニはイランの防衛相に相当する閣僚であり、しかも外交活動のためにイラクに来ていた。スレイマニ殺害は米国による戦争行為だと言っているイラン政府は正しい。トランプの側近たちは、トランプか本気でスレイマニを殺そうとしているのを見て仰天したという。

トランプは、スレイマニ殺害の前に、12月29日に米軍にイラク民兵団(PMU。イラン系)の拠点を空爆させている。米軍がイラクで、ISISでなく民兵団を攻撃したのは2014年に米軍がイラクに戻って以来初めてであり、これ自体が、米国がイラクを敵視し始めたこととして画期的だった。空爆された側の民兵団は激怒して大晦日からバグダッドの米国大使館を占拠・破壊しており、それへのトランプからの再報復が1月3日のスレイマニ殺害だった。12月29日の米軍による民兵空爆は、その前の12月27日に何者かがイラクキルクーク近郊の米軍基地を砲撃したことへの報復で、米軍は「砲撃してきた犯人はPMU民兵団に違いない」と決めつけて民兵団の基地を攻撃したが、実のところ27日の攻撃の犯人は民兵団でなくISISだった可能性が高い。キルクーク近郊の米軍基地はISISと戦うイラク国軍を訓練していたからだ。トランプ側は、民兵団に濡れ衣をかけて攻撃し、民兵団との対立を意図的に激化した疑いがある。

トランプのスレイマニ殺害は、このようなイラクにおける米国とイランの均衡状態を破壊した。スレイマニはイランでもイラクシーア派の間でも英雄視されてきたので、殺害はシーア派の琴線に触れる「英雄の殉教」として扱われ、イランとイラクシーア派が一気に結束し、米国に復讐する姿勢になった。マスコミは、イラン側が急先鋒な軍事的に米国に報復するかのように喧伝するがそれは間違いで、イラン側は時間をかけて政治的に報復し、米国を中東全域から追い出す策をこれから何年もかけて展開していく。

トランプは、この手の流れが起きることを予測した上でスレイマニを殺したのだろう。スレイマニ殺害はイラン敵視に見えるが、実のところ、イラクの米国敵視・イランを許す国民感情、米国よりイランの方がマシだという感情を思い切り扇動し、米軍や米国がイラクから追い出される状況を作っている。イラク政府が正式に米軍に撤退を要求しても、しばらくトランプは撤退を拒否する演技をするかもしれないが、それをやるほど同盟諸国が米国に愛想をつかして離反していき、米国の覇権が低下する。トランプは米国の覇権を弱め、イランを強化している。彼は「隠れ親イラン」である。これは、覇権放棄屋・隠れ多極主義のトランプの意図的な策略である。

スレイマニは、イランの中東支配戦略を立案実行していた責任者で、イランの体外戦略において、最高指導者のハメネイ師に次ぐ権力を持っていた。イラクやシリア、レバノン、イエメンなどのシーア派民兵団がスレイマニの傘下にいた。スレイマニは、内戦後のシリアでアサド政権を軍事的にテコ入れしたり、イラクに駐留する米軍をシーア派議員らが追い出す動きを支援したり、レバノンシーア派ヒズボラが政権をとり続けることを助けたり、イエメンのシーア派武装勢力フーシ派を支援してサウジを停戦に追い込んだりしてきた。スレイマニの死は、これらのイランの中東支配戦略にとってかなりの打撃だ。しかしそれは短期的な悪影響だ。長期的には、イラク反米感情が扇動され、米軍が追い出されていき、イランが再び漁夫の利を得る。WSJなどマスコミもそう書いている。

「米軍が撤退したらISアルカイダが復活し、イラク自身が混乱して損するぞ」とマスコミが書いているが、軍産マスゴミプロパガンダはいい加減にしろだ。ISアルカイダは、米軍など軍産にこっそり支援されてイラクなどで人殺ししてきた。米軍など米国勢力がイラクから撤退させられると、中長期的にISカイダはイラク民兵団などに潰されて雲散霧消していく。軍産マスコミは世界最大のテロ組織である。ISカイダと同時にマスコミも潰れた方が世界が平和になる。多くの軽信者たちからの反論誹謗を恐れずに書くと、欧米流のジャーナリズム自体が撲滅されるべき存在だ。

米軍を完全に撤退させたら、イラク政府は米軍の代わりにロシア軍から空爆支援を受けられる。安定しつつあるシリアから、イラクのISISの残党を退治しに、ロシア空軍やレバノンヒズボラがが支援しに来てくれる。シリアが安定したら、アサドのシリア政府軍も恩返しのためにイラクのIS退治に参加してくれるだろう。非米的なISカイダ退治はシリアの成功で先例がある。もう米軍は要らない。

CFRのハース会長は、米国とイランが世界を巻き込んで戦争するかもしれないと、おどろおどろしい警告を発している。私から見ると、まったくのプロパガンダである。これからしばらく、ハースの警告に象徴されるような、今にも戦争になりそうな感じの仮想現実の醸成が続くかもしれない。多くの人が、戦争になりそうだと思い込むほど、反戦運動が拡大し、米国の戦争権限が大統領から議会に戻り、軍産が濡れ衣戦争をやりにくくなり、軍産が米国の覇権を牛耳ってきた状況が終わりになる。CFRも隠れ何とかである。

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