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去年1月、イランの革命防衛隊のソレイマニ司令官が、隣国イラクアメリカ軍に殺害され、これに対し、イランがアメリカ軍の拠点を弾道ミサイルで攻撃し、一時は全面的な軍事衝突が懸念されました。

殺害から1年となるのに合わせ、イランでは2日、司令官の出身地の南東部ケルマン州にある墓の前で追悼集会が開かれ、大勢の市民が墓石に額をつけてその死を悼んだり、祈りをささげたりしました。

訪れた人たちからは「司令官は私の心にいる。遺志を継いでいきたい」とか「アメリカへの憎しみは確実に深くなった。いずれ激しい報復が行われるだろう」といった声が聞かれました。

また、革命防衛隊のレザイ元総司令官は墓参りのあと、報道陣に対してアメリカの行為を許すことはない。われわれの報復は、アメリカをこの地域から追い出すことだ」と述べ、アメリカ軍を中東地域からの撤退に追い込むべきだと主張しました。

ただ、イラン国民の間ではアメリカに対する根強い不信感がある一方で、アメリカの制裁による厳しい経済事情から、関係改善や制裁解除を望む声も聞かれ、イラン核合意に復帰する考えを示しているバイデン政権が今月発足したあと、両国関係がどのように変化するかが焦点です。

アメリカのトランプ政権は、就任以来、一貫して敵対するイランへの圧力を強化してきました。

イランの核開発を制限することを目的にオバマ前政権がフランスや中国などとともに結んだ「核合意」について、トランプ政権は内容に欠陥があると批判し2018年に一方的に離脱しました。

その後、イランへの見返りとして解除されていた経済制裁を再開させ、イラン産原油の全面的な禁輸措置を科すなど経済的に孤立させる政策をとりました。

アメリカの制裁をおそれてヨーロッパなどの企業もイランとのビジネスを控えるようになり、イラン経済はかつてない苦境に直面しています。

このためイランは対抗措置として、核合意の約束を破る形でウラン濃縮活動を強化させ、合意は機能不全に陥っています。

こうした中、アメリカは去年1月、保守派の国民を中心にイランで英雄視されていた革命防衛隊のソレイマニ司令官を隣国のイラクで殺害しました。

これに対して、イランは報復としてイラクにあるアメリカの軍事拠点を弾道ミサイルで攻撃し、一時は全面的な軍事衝突の懸念が高まりました。

先月には、イラクの首都バグダッドにあるアメリカ大使館がロケット弾による攻撃を受け、トランプ大統領がイランの関与を主張するなど、両国は現在も緊張した関係が続いています。

イラン経済は、2018年に、アメリカが核合意から離脱し、経済制裁を再開させて以降、悪化し、最近では新型コロナウイルスの感染拡大で一層深刻化しています。

IMF国際通貨基金によりますと、イランの経済成長率は、アメリカの合意離脱前の2017年は3.7%でしたが、よくとし以降はマイナス成長に転じ2020年もマイナス5%と予測されています。

アメリカの制裁によりイランでは、国の歳入の3割を占めていた原油の輸出がほとんどできなくなったほか、外国との銀行間の送金が禁じられました。

こうした中で現地通貨リアルは暴落を続け、トランプ政権が発足した4年前と比べ、ドルに対する価値は、6分の1以下になっています。

これにともない、物価上昇率は30%を超え輸入品を中心にあらゆる商品が値上がりしているほか、首都テヘランでは家賃が数年で3、4倍に高騰するなど市民生活を苦しめています。

イラン国民の間では、制裁を続けるアメリカに対する根強い不満がある一方で、困窮する経済を回復させるために関係改善を模索すべきだという声も聞かれます。

テヘラン市内でスーパーマーケットを営む男性は「ここ数年で店の経営は悪くなった。物価は上がったのに収入は増えておらず、支払いの猶予を求める人もいる。制裁の問題が解決され、コロナの影響も軽減されることを望んでいる」と話していました。

また、貿易会社を営む男性は、「この4年間で、送金ができないため、何度もプロジェクトがキャンセルになった。半分の従業員の契約を切った。制裁の解除を望んでいる」と話していました。

バイデン次期大統領は、トランプ政権の強硬な対イラン政策について、去年9月のCNNへの寄稿文で、イランはアメリカの圧力政策に対抗して核開発を強化させており、事態の悪化を招いたと批判しています。

そのうえで「イランが再び核合意を順守するなら、その後の交渉の出発点として、アメリカは再び核合意に加わるだろう」として合意への復帰に前向きな姿勢を示し、トランプ政権の対イラン政策を見直す用意があるとしています。

これに対しイランでは、穏健派のロウハニ政権が核合意を維持しアメリカから制裁の緩和を引き出したい考えですが6月には大統領選挙が予定されており、合意に批判的な保守強硬派の候補も立候補する見通しです。

バイデン次期政権としては限られた時間の中で、対イラン政策の重要な判断を迫られることも予想されます。

またイランと敵対するイスラエルは、トランプ政権下で強化されてきたイランに対する包囲網が後退することに警戒感を示していて、バイデン次期政権としては、中東の親米国家の意向を踏まえつつイランとの協議を進めるという、難しいかじ取りを迫られることになりそうです。

オバマ政権の副大統領として核合意の成立に関与したバイデン次期大統領がイランとの緊張関係を和らげ核合意への復帰を果たすのか、国際社会の視線が注がれています。

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