https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

 衝撃の「ゴーン会長逮捕」は、プライベートジェット機が到着し、タラップがかけられた機内に、検察庁の係官と思える数名の男が機内に乗り込んでいく映像から始まった。しかし、それは、「ゴーン会長逮捕」とは無関係の映像だった。フェイク映像から始まった「会長追放クーデター」は日産に何をもたらしたのか。新型コロナ危機に直面する日産は、今、経営の軸も定まらず、重大な危機に直面している。

 2018年11月19日、ゴーン氏がプライベートジェット機羽田空港に到着直後、逮捕に至るまで、どういう状況だったのか。朝日新聞(電子版)は、「日産ゴーン会長、逮捕へ」とスクープし、プライベートジェット機が到着し、タラップがかけられた機内に、検察庁の係官と思える数名の男が機内に乗り込んでいく映像を配信した。この映像は、内外のマスコミに提供され、「カリスマ経営者カルロス・ゴーンの逮捕」のイメージ映像となって、全世界に広まった。ゴーン氏が専用ジェット機羽田空港に帰国するのを待ち構え、逮捕の決定的瞬間をとらえたかのように見えた。

 しかし、インタビューでゴーン氏が話したところによると、逮捕されたのは、以下のような経過だった。

 プライベートジェット機に乗って、19日の午後4時頃に羽田空港に到着したゴーン氏は、飛行機から降りてハンドラーと一緒にターミナルに入った。パスポートコントロールで入国審査を受けた際、係官が、パスポートを見て、パスポートに何か問題があるようなふりをして、パスポートを持ったまま事務室に入っていった。係官は戻ってきて、「パスポートに異常があるので、オフィスに入ってもらえますか。問題を解決します。」と言い、近くの部屋に連れていかれた。
 部屋にはテーブルがあり、その後ろに関検事が座っていた。
 関検事が私のところに来て、「検察です。質問があります。同行してください。」と言ってきたので、驚いた。
「娘が出口で待っている。娘に電話をかけたい。」と言ったが、「もう電話は使えません。」と言われた。そこに他の人がたくさん集まってきた。
 別の扉から建物の外に出た。車に乗せられ、左右に人が座った。カーテンで外は見えなかった。

 ゴーン氏は、プライベートジェット機で到着後、飛行機から降りて、通常どおりに入国審査に臨み、その際に任意同行を求められ、検察庁で逮捕されたものだった。

「プライベートジェット機に乗り込んでいく検察の係官」は、「ゴーン氏逮捕」と無関係の映像だった。

 プライベートジェット機に入っていく男達は、何者であったのか、何のために入っていったのかは不明だ。この映像を、朝日新聞は、「ゴーン氏逮捕」のイメージ映像として、国内外のマスコミに提供した。しかし、それは、「ゴーン氏逮捕」の場面とは無関係の「フェイク映像」だったのである。このフェイク映像は、その直後から「ゴーン会長逮捕」が国内外のメディアで大々的に報道され、バッシング報道が盛り上がることに影響したのは間違いない。

 西川氏ら日産経営陣による「ゴーン会長追放」は“成功”したように見える。しかし、それが、日産という企業にいかなる結果をもたらしたのか。

「ゴーン会長追放」の中心人物だった西川氏は、2020年9月に別の報酬不正で社長辞任に追い込まれ、内田誠CEO、アシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)、関潤副COOの「3頭体制」による新経営体制が12月1日に発足したが、約3週間後にはナンバー3の関氏が辞任を表明し、「3頭体制」は崩壊した。日産の株価はゴーン会長追放直後から下落を続け、業績も崩落状態となっている。日産経営陣は、業績悪化の原因を、ゴーン氏による拡大路線にあると主張しているが、新型コロナウイルスによる経営危機に直面している日産にとって、3社のアライアンスをゴーン会長が掌握していた体制と、経営の軸すら定まらず、求心力なく迷走している現在の経営体制と、危機を克服する上でどちらが良かったのか、誰の目にも明らかであろう。

 日産は、ゴーン氏によるV字回復前の1999年以来、20年ぶりに倒産の危機に直面することになりかねない。「ゴーン会長追放クーデター」がよって日産の株主や、社員にもたらしされた損害はあまりに大きい。

d1021.hatenadiary.jp