駐日ロシア大使が池上彰に答えた“北方領土問題”「交渉しているのは島々の問題ではないのです」
— 文春オンライン (@bunshun_online) 2020年8月16日
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2020年、『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(大木毅著、岩波新書)という書籍が新書大賞を受賞した。このニュースを見て、「独ソ戦」に初めて関心を持った人も多いだろう。日本では、第二次世界大戦というと米英軍とナチス・ドイツが戦った印象が強いが、米英軍が戦ったのは、ソ連に深く攻め込み、スターリングラードなど東部戦線で疲弊しきった後のドイツ軍だったことはあまり知られていない。
池上 先日、大使が執筆した「大祖国戦争勝利の歴史的意義」という文書を拝見しました。この中で大使は、「この出来事の意義と結果を認識することなく、今日のロシアという国およびその国民を完全に理解することはできない」と記しています。
池上 プーチン大統領は、アメリカの雑誌「ナショナル・インタレスト」に、6月に論文を寄稿しました。「第二次大戦75周年の本当の教訓」という、その論文の中で、「多くの国々は、様々な協定にナチと西側の政治家の署名が並んでいることは、思い出したくもないようだ」と痛烈に批判していますね。
ガルージン そう、皆さんはとても大事なことを忘れていらっしゃる。「独ソ戦」の「ソ」という字は確かに正しいです。しかし、ソ連が戦ったのは「独」だけでなく「欧州」でした。ヒトラーと一緒に、イタリア、スペイン、ハンガリー、ルーマニアなどの欧州諸国がソ連に侵攻したのです。
大量の死者を出したソ連の都市の一つが、レニングラード(現・サンクトペテルブルグ)だ。1941年9月にドイツ軍に包囲されたレニングラードは、兵糧攻めに遭い、約900日の包囲で100万人以上が犠牲になったとされている。
プーチン大統領の兄も、レニングラード包囲時にジフテリアで亡くなっている。大統領が生まれる十数年前のことだ。池上さんは、レニングラード攻防戦で兄を失った悲劇が、プーチン大統領の性格形成に影響を与え、西欧諸国への警戒心が刻み込まれたのではと考えている。
池上 甚大な被害を受けて、プーチン大統領は、二度とよその国から侵略されない強い国にするために、大統領である自分がより強い権力を持たなければと考えた。それで7月2日の憲法改正に踏み切ったと私は見ています。
ガルージン 今、日ロ両国が何を交渉の指針にしているかというと、2018年11月にプーチン大統領と安倍総理の間で結ばれた「シンガポール合意」です。この合意では、1956年の日ソ共同宣言を基礎にして平和条約交渉を加速させることを確認しました。日ソ共同宣言文には、まず平和条約が結ばれるべきだと書いてあります。それ以外の問題が片付けられるのは、平和条約締結後です。ですからロシアは、まず平和条約を作らなければならないと主張しています。日本はそれに同意すべきです。
ガルージン 申し上げたことの1つ目は、ロシアの修正憲法は領土割譲を許さないということ。2つ目は、ロシア側として、日本と交渉しているのは島々の問題ではなく、平和条約だということです。
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Trump requesting meeting with Putin before November election: report https://t.co/C4MgU7WWW9 pic.twitter.com/LlV6Ju1vQR
— The Hill (@thehill) 2020年8月17日