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大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた50代の女性は、正規の職員の秘書と仕事の内容が同じなのにボーナスなどが支給されないのは不当だとして大学側に賠償を求めました。

1審は女性の訴えを退けた一方、2審の大阪高等裁判所は不合理な格差で違法だと判断し、正規の職員のボーナスの60%にあたる金額を賠償するよう命じ、大学側と女性の双方が上告していました。

13日の判決で、最高裁判所第3小法廷の宮崎裕子裁判長は「大学では正規の職員は業務内容の難易度が高く、人材の育成や活用のために人事異動も行われ、正職員としての職務を遂行できる人材を確保し定着する目的でボーナスが支給されている。一方、アルバイトの業務内容は易しいとうかがわれる」と指摘しました。

そのうえで「ボーナスが支給されないことは不合理な格差とまではいえない」として、2審の判決を変更し、原告側の訴えのうち有給休暇についての訴え以外は退けました。

一方で判決では、ボーナスについても不合理な格差と認められる場合には、違法と判断することもありうるとし、ケースごとに検討すべきだとしました。

判決のあと大阪医科大学、現在の大阪医科薬科大学を訴えた原告の50代の女性と弁護団は東京都内で記者会見を開きました。

この中で、女性は「4割が非正規と言われる中で少しでも格差を無くそうと法律はできたはずです。同一労働同一賃金のもと、少しずつですが、非正規にもボーナスを払うという流れにある中で、裁判所がどうしてブレーキをかけるのか理解ができません。本当に悔しいし残念でことばがみつかりません」と話していました。

また、弁護団の鎌田幸夫弁護士は「パートタイム・有期雇用労働法や同一労働同一賃金ガイドラインの考え方からしても明らかにおかしい。時代の要請、実態、政策の流れに対して、ある意味では大きく遮る、流れに反するような判決だと思う」と話していました。

大阪医科薬科大学は「最高裁で取り上げられた争点について、大学の人事制度を適正に評価していただいたと受け止めています。今後も適法な労働条件の維持に努めていきます」というコメントを出しました。

東京メトロの子会社「メトロコマース」の契約社員らは、駅の売店で正社員と同じ業務をしていたのに退職金などが支給されないのは違法だと訴えました。

2審の東京高等裁判所は去年、退職金を支給しないのは不合理な格差で違法と判断し、正社員の退職金の4分の1の支払いを命じ、契約社員と会社の双方が上告していました。

13日の判決で、最高裁判所第3小法廷の林景一裁判長は「退職金は労務の対価の後払いや続けて勤務したことに対する功労の性質もある。正社員は複数の売店を統括し、サポートやトラブル処理などに従事することがあるが、契約社員売店業務に専従し、一定の違いがあったことは否定できず、配置転換も命じられない」と指摘しました。

そのうえで、退職金を支給しないことは不合理な格差に当たらないとする判断を示し、2審の判決を変更し、一部の手当てについての訴えは認めましたが、退職金についての訴えは退けました。

一方で、判決では退職金についても不合理な格差と認められる場合には、違法と判断することもありうるとし、ケースごとに検討すべきだとしました。

判決のあと、東京メトロの子会社「メトロコマース」で働いていた原告らは記者会見を開きました。

この中で、原告の加納一美さん(71)は最高裁判所は人権の最後の砦と言われているが、そんなことはみじんも感じなかったです。判決がこれでは働く意欲がそがれてしまう。裁判官は経営者をみていて私たち非正規で働く人たちをみていない。憤りを感じています」と話していました。

また、原告の疋田節子さん(70)は「非正規も、正社員もごちゃまぜになって同じ仕事をしたのに、すべて格差をつけられました。『10年勤めてご苦労さん』というお金さえ非正規は認められないのは、本当に悲しいし、何と言ったらいいかわからないです。新型コロナウイルスの影響で非正規は家も無くす人がいる中で司法がこんなひどい判決を出すなんてと思いました」と話していました。

メトロコマースは「判決の内容を確認したうえで適切に対応していきたい」というコメントを出しました。

#法律