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イランでは1979年、親米の王政が打倒されて反米のイスラム体制が樹立され、この年の11月に、学生グループが首都テヘランアメリカ大使館を占拠して400日以上にわたって外交官らを人質に取る事件が起き、両国が国交を断絶するきっかけになりました。

イランでは毎年、事件が起きた11月に抗議デモが行われていますが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大規模な集会は中止になり、3日、かつてのアメリカ大使館前に自主的に集まったおよそ50人の市民が反米デモを行いました。

参加者は「アメリカに死を」とシュプレヒコールをあげたほか、アメリカの国旗を燃やすなどしてイランに対して敵視政策を続けるアメリカを非難しました。

イランでは、トランプ政権がおととし、核合意から一方的に離脱しイランに対する経済制裁を再開させたことで、経済を支える原油が輸出できなくなったほか、通貨の暴落で物価の高騰が続いています。

デモに参加した52歳の男性は「アメリカはイランの原油を標的にしたり資金を凍結したりしている。断じて許すことはできない」と話していました。

アメリカの対イラン政策をめぐっては、民主党のバイデン氏が核合意に復帰する姿勢を示していることから、大統領選挙の結果はイラン情勢にも影響を与えることになりそうです。

中東のイランは、トランプ政権による敵視政策で経済が悪化するなど大きな影響を受けており、国内ではアメリカ大統領選挙の結果に重大な関心が寄せられています。

イランでは、トランプ政権がおととし、イラン核合意から一方的に離脱しイランへの制裁を再開させたことで、経済は過去最悪とも言われるほどに悪化しています。

経済制裁によってイランの歳入の3割を占めていた原油が輸出できなくなったほか海外との資金のやり取りができなくなったことによりビジネスは大幅に停滞し、マイナス成長が続いています。

また現地通貨はトランプ政権発足時と比べ、その価値が8分の1程度に暴落し、これにより物価の高騰が続いていて、市民の暮らしも厳しさを増しています。

さらにことし1月、国内で英雄視されていた革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカ軍に殺害されたことで、トランプ政権への不信感はかつてないほど高まりました。

一方、民主党のバイデン氏は核合意への復帰に前向きな姿勢を示すなど、トランプ大統領の敵視政策とは一線を画した対イラン政策を訴えています。

このため、制裁の影響を受ける経済界を中心にバイデン氏の勝利を望む声も上がっていて一部の新聞は社説でバイデン氏が大統領になれば、制裁が解除され経済が上向くという見方を伝えています。

一方のロウハニ大統領は「誰が大統領になろうが、アメリカはイラン国民の抵抗に屈服する以外に選択肢はない」と述べ、表向きは強気の発言を繰り返しています。

ただ、選挙の結果次第では、制裁の緩和や機能不全に陥っている核合意の進展につながる可能性もあるだけに、政府関係者も重大な関心を持ってその行方を見守っているものとみられます。

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