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アメリカのバイデン大統領は13日、G7サミットの閉幕後に記者会見し「重要な価値観を共有する国々と世界を主導していくためにアメリカは戻ってきた」と述べ、トランプ前政権のときには足並みの乱れも目立ったG7各国との結束を確認できたと強調しました。

そのうえで、焦点となっていた中国への対応については「中国とは真っ正面から向き合っていく。中国そのものとだけ競合しているわけではなく、民主主義国家が専制主義国家と勝負していけるのかを競いあっている」と述べました。

そして、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する、途上国のインフラ整備を支援するための構想の立ち上げにG7が合意したことを受け「世界の国々が必要とするインフラを提供するうえで、より公正なやり方がある」と述べて、中国より優れた選択肢を示せるとアピールしました。

また、記者団から「首脳宣言はアメリカが望んでいたほど中国に厳しい内容にならなかったのではないか」と質問されるとバイデン大統領は「前回のG7サミットでは中国への言及はなかった。今回はウイグルや香港の人権侵害などの問題を明確に指摘している」と述べ、G7が一致して中国に厳しい姿勢を示すことができたとの認識を示しました。

カナダのトルドー首相は会見で「われわれは中国が提起する課題に立ち向かい、緊密に連携しなければならない」と述べました。

また、記者団から「中国は敵なのか競争相手なのか」と質問されたのに対し「気候変動などの分野では中国と協力する必要があるが、経済と貿易では競争相手だ。特に人権の分野では、中国に直接対抗していく必要がある」と述べました。

そのうえで「G7が強く団結したことは、共通の価値観と国際的な権利の尊重に基づいて取り組み続けることが世界にとってよいことだと示している」として成果を強調しました。

フランスのマクロン大統領は記者会見で、中国との関係について「はっきりさせたいのは、G7が中国に敵対するクラブではないということだ。中国とともに世界のあらゆる問題について、取り組もうという民主主義国の集まりであり、中国にもその準備はできている」と述べ、地球温暖化や、国際的な貿易のルール作り、そしてアフリカ各国の債務の問題などについて、中国との協力が必要だという考えを示しました。

また、中国が海洋進出を強めていることについて、マクロン大統領は「日本は明らかにより強い圧力に直面している」と述べ、インド太平洋地域での各国の主権を守るため、オーストラリアやインドも含めた関係国と協力する考えを示しました。

イタリアのドラギ首相は会見で、中国との関係について「われわれが受け入れられないことについては率直に表明しなければならない」と述べ、人権などの問題をめぐって、率直に指摘することが必要だという考えを示しました。

一方で、ドラギ首相は「地球温暖化パンデミック後の世界の復興について、中国と協力していく必要がある」と述べて、地球規模の課題で中国との協力は欠かせないという考えを示しました。

G7サミットの首脳宣言について台湾の外交部は「G7各国の首脳が『台湾海峡の平和と安定を重視する』と具体的な行動で示したことを非常に歓迎し、心から感謝する。台湾海峡の平和と安定が『自由で開かれたインド太平洋地域』を形づくる上で欠くことのできない重要な要素であることをあらわしている」というコメントを発表しました。

G7サミットの首脳宣言について中国政府はまだ公式な反応を示していません。

ただ、宣言の中で、台湾海峡東シナ海南シナ海、それに新疆ウイグル自治区や香港の問題などが明記されたことに、今後、強く反発するものとみられます。

中国への対抗策がサミットの焦点の1つとなることを中国政府は一貫して強く批判してきました。

サミット開幕に先立つ今月10日の記者会見で中国外務省の汪文斌報道官は「『対抗』を唱えることは誤った道を歩むことであり、徒党を組んで集団で政治を行うやり方は人々の支持を得られず、活路を見いだせない」と述べ、G7各国を強くけん制していました。

中国はサミット開幕を前に外交トップと産業政策の担当閣僚がアメリカ側と相次いで電話で会談していました。

今月11日にアメリカのブリンケン国務長官と電話会談した中国の外交を統括する楊潔※チ政治局委員は「小さなグループの利益に基づく集団政治による偽の多国間主義や、多国間主義の名を借りた単独主義はあってはならない」と述べ、G7の動きを強く批判していました。

一方、これを前に今月10日、アメリカのレモンド商務長官と電話会談した中国の王文涛商務相は「貿易や投資の発展を促進して双方の違いを適切に処理することで合意した」としていて、対話の継続を確認したとしています。

中国としては、G7各国の動きを批判しつつも、アメリカ側との電話会談などを通じて対話の窓口を維持することで、決定的な対立は避けたいという思惑もあるものとみられます。

※楊潔※チの「チ」は、「竹」冠に「がんだれ」、その中に「虎」

イギリスで開かれたG7サミットは、中国への対応が焦点の1つとなり、成果をまとめた首脳宣言では、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したほか、新疆ウイグル自治区や香港情勢などで人権や基本的自由を尊重するよう求めるなどとしています。

これについてイギリスにある中国大使館は14日、報道官が記者の質問に答える形で談話を発表し「首脳宣言は事実をわい曲するもので意図的に中国を中傷し内政に干渉している。強い不満を示すとともに断固反対する」として強く反発しました。

そして「アメリカなど一部の国が陰険であくどいことがあらわになった」と指摘し「今回のサミットで露呈したのは『小さなグループ』による強権政治だ。人為的に対立と分裂をつくり出すもので、時代に逆行している」としてG7各国を強く批判しました。

そのうえで「中国は断固として国家の主権と安全、そして発展の利益を守る。アメリカとG7のほかの国々は中国への中傷と内政干渉をやめるよう求める」としています。

中国共産党系のメディア「環球時報」は、14日付けの社説でG7サミットの首脳宣言について「明らかにアメリカ主導で、各国の妥協の産物だ」などと批判しています。

社説では「首脳宣言にはアメリカが中国を攻撃する際のほとんどすべての項目が盛り込まれたがその表現は緩和されている」と指摘しました。

この理由について、社説では「ヨーロッパと中国は経済分野では協力したいという戦略的な需要もある。アメリカとヨーロッパにこの違いは超えられない」としていて、アメリカとヨーロッパの国の間には対中国政策をめぐって温度差があると分析しています。

そのうえで「首脳宣言は明らかにアメリカ主導で、各国の妥協の産物だ」と批判しました。

また社説では「中国はアメリカと他の国を区別して扱わなければならない」として中国に対して最も強硬な姿勢をとるアメリカを孤立させるべきだと主張しました。

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