トルコで防衛産業の見本市 “AI搭載”攻撃型ドローンなど展示 #nhk_news https://t.co/rjBs62jSmS
— NHKニュース (@nhk_news) 2021年8月20日
トルコの最大都市イスタンブールで今週開かれている防衛産業の国際見本市は、トルコ国防省が主催していて、国内外のおよそ1200社が出展しています。
このうち、トルコの国有企業のブースでは2023年の試作機の公開を目指している初の完全国産戦闘機TF-Xの模型が展示され、訪れた人たちが注目していました。
また、トルコの軍事企業は1キロ余りの爆薬を搭載し、標的に突っ込んで自爆するタイプの攻撃型ドローン「カルグ」を展示しました。
このドローンは人間の指示を受けることなく、AI=人工知能が自律的に判断して攻撃するシステムが組み込まれていた可能性があると国連の安全保障理事会の専門家パネルから指摘されています。
これについて開発担当者は「自律しているのは運航に限られていて、標的の選択や攻撃には常にオペレーターが必要だ」と説明していました。
見本市の開会式でトルコのエルドアン大統領は、防衛産業の対外依存は大幅に減少したと誇ったうえで「トルコは無人機の市場で世界の上位3か国か4か国の中にいる」と述べるなど、見本市を通じ、国内外に軍事技術をアピールした形です。
JUST IN - Israeli jets are flying at a low-altitude over Beirut, Lebanon.pic.twitter.com/1Ysx0VykTD
— Insider Paper (@TheInsiderPaper) 2021年8月19日
イスラエルとイラン なぜ対立しているの? #nhk_news https://t.co/FARZnIqsv1
— NHKニュース (@nhk_news) 2021年8月20日
Q1 イスラエルとイランは、もともと仲が悪かったのですか?
イスラエルとイランは今でこそ敵対関係にありますが、1950年代、60年代には国交があり、20年以上に渡って良好な関係を維持していました。
当時イランでは、親米の国王が国を治めていて、やはりアメリカを後ろ盾としていたイスラエルとの間でも、近しい関係にあったのです。両国の間では直行便も運航され、人々の往来も盛んに行われていました。
Q2 なにがきっかけで関係が悪化したんですか?
状況を一変させたのが、1979年にイランで起きたイスラム革命です。革命によってイランでは親米の王政が倒され、宗教を厳格に解釈したイスラム体制が樹立されました。
新たな体制はイスラエルについて、イスラム教の聖地でもあるエルサレムを奪った「イスラムの敵」と位置づけました。
このため両国は国交を断絶。イランは現在でも、イスラエルを国家として認めておらず、反イスラエルを国是としています。イランで行われる反米デモでは「アメリカに死を」と合わせて「イスラエルに死を」と人々が叫び、敵意を示す光景がみられます。
Q3 両国は戦争をしたことがあるのですか?
イスラエルとイランが過去に直接、戦争したことはありません。
ただイランは、イスラエルに対する武装闘争を続けるイスラム勢力を軍事面で支援していて、両国は間接的な形で衝突を繰り返してきました。
ことし5月にイスラエルと軍事衝突したパレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」や、イスラエルと過去に戦争したことがあるレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」はいずれも、イランと密接な関係にあります。
8月に行われたイランのライシ新大統領の就任の宣誓式では、ハマスのハニーヤ最高幹部(写真左)が出席し、こうした勢力との深いつながりを印象づけました。
アメリカが後ろ盾となっているイスラエルが、最新鋭の兵器を保有しているのに対し、イランは武装勢力を通じてにらみをきかせ、両国は対峙した状態が続いています。
Q4 両国の間で最近は何が、問題となっているのですか?
やはりイランの核開発問題です。
イランでは、2000年代に核兵器の開発疑惑が持ち上がり、イスラエルとの対立が先鋭化する大きな要因となってきました。イランは、核開発は原発などの平和利用が目的だと説明していて、核兵器の開発を否定しています。その上で、イスラエルこそが核兵器を保有していると非難しています。
一方でイスラエルは、イランの核開発を「国の存続に関わる脅威」と位置づけています。イランが所持する弾道ミサイルの射程距離は、2000キロ以上あるとされています。イスラエル全体を射程圏内にとらえており、イスラエルは警戒感をあらわにしています。
Q5 イランの核開発に対してイスラエルの対応は?
イランでは、核施設の機械が破壊されるなどの事件がたびたび起きていて、イスラエルの関与が指摘されています。
特にイランがここ数年、アメリカによる経済制裁への対抗措置として核開発を強化させて以降、不審な事案が頻発しています。
去年7月には、イラン中部ナタンズの核施設で不審な火災が起き、最新鋭の遠心分離機が被害にあったほか、11月には核開発を指揮してきた研究者が首都テヘラン郊外で殺害される事件も起きました。ことしに入っても4月に、やはり核施設で爆発をともなう電気系統のトラブルが起き、サイバー攻撃によるものだと指摘されています。
これに対してイランは、イスラエルによる仕業だと断定し、報復を宣言しています。ことし4月と7月には、オマーン湾でイスラエルの企業や経営者が関わる船舶が相次いで攻撃される事件が起きました。イランによる報復行動と見られています。
イスラエルは過去に、イラクやシリアで原子炉を攻撃し、中東のイスラム諸国の核開発能力を排除しようとしてきた歴史があります。今後、イスラエルがイランの核施設に、より直接的な軍事行動をとれば、後戻りできない衝突につながると懸念されます。
Q6 中東の周辺国の立場は?
一概には言えませんが、これまでイスラエルと対立してきたイスラム諸国の間では最近、イスラエルと接近する動きが進んでいて、イランの孤立化が顕著となっています。
去年には、UAE=アラブ首長国連邦がイスラエルと国交を結んだのを皮切りに、バーレーンやモロッコなどもこれに続きました。
UAEやバーレーンは地理的に、ペルシャ湾を挟んでイランと向かい合う位置にあります。
イスラエルとしてはイランの目と鼻の先に足場を得た形となり、逆にイランにとってはゆゆしき事態といえそうです。
Q7 両国の対立がエスカレートするのを防ぐには何が重要?
現在、アメリカとイランの間で進められている核合意の間接協議を通じて、イランの核開発に歯止めをかけられるかが焦点です。
核合意によって、核開発を抑制することができれば、一定程度、緊張の緩和につなげることができます。
ただイスラエルは核開発だけでなく、イランの弾道ミサイル開発や親イラン勢力への支援を抑え込む仕組みも必要だと、訴えています。
アメリカも同様の主張を展開していますが、イランにとっては到底、応じられない条件です。
間接協議の決着は、容易ではない状況です。
イスラエルでは6月にベネット首相(左)が、イランでも8月にライシ大統領(右)が新たに就任しましたが、いずれも政治的に強硬な立場で、両国の緊張した状況は続く見通しです。
核合意の協議に参加するヨーロッパ各国など、国際社会も協力する形で、イスラエルとイランの対立をコントロールしていくことが、重要となりそうです。
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