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「メモリアル」は、旧ソビエト時代の政治弾圧の記録を残す活動や人権擁護の取り組みなどを進めてきましたが、ロシア政府によってスパイを意味する「外国の代理人に指定され、11月には検察当局が法律違反を理由に解散を求めて最高裁判所に提訴していました。

最高裁判所は28日、外国の団体からの資金を得て活動しているという検察側の訴えを全面的に認め、「メモリアル」の解散を命じる判決を言い渡しました。

法廷内や裁判所の前には多くの支持者が集まり、判決が伝えられると「恥を知れ」などと一斉に抗議の声をあげていました。

支持者は「国家が真の市民社会との共存を望んでいないことを示すものだ」とか「まるでソビエト時代を思い起こさせる」などと批判していました。

「メモリアル」をめぐっては、国連人権高等弁務官事務所が11月、強い懸念を示すなど、ソビエトの崩壊から30年がたったロシアで人権や表現の自由に対する抑圧が一層強まっているとして、国内外で懸念が広がっています。

ロシアのプーチン政権はことしに入って、政権に批判的な団体やジャーナリストなどへの抑圧をいっそう強めています。

1月にはプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られる反体制派の指導者ナワリヌイ氏が逮捕され、4月にはナワリヌイ氏が率いる政治団体が検察当局による「過激派組織」認定の動きを受けて解散に追い込まれました。

今回、解散を命じられた団体「メモリアル」は、ソビエト時代末期の1980年代、当時のゴルバチョフ書記長が始めたグラスノスチ=情報公開など、民主化政策が進められる中で設立され、政治弾圧の記録を残す活動や人権擁護の取り組みなどを進めてきました。

かつてノーベル平和賞を受賞した物理学者のサハロフ氏も活動に加わるなど、国際的にも知られています。

しかし2016年、ロシア政府によってスパイを意味する「外国の代理人」に指定されたあと、活動に対する圧力や脅しをたびたび受けてきました。

「外国の代理人」の指定は、当局による監視の強化など事実上の活動の制限につながるもので、2017年にはメディアにも適用された上、去年12月の法改正で、指定される対象がジャーナリストなど個人にまで拡大されました。

ことしのノーベル平和賞を受賞したロシアの新聞の編集長、ドミトリー・ムラートフ氏は12月10日の授賞式のスピーチで「『メモリアル』は国民の敵ではない」と述べ、検察による解散要求を非難し、言論や表現の自由が抑圧されている現状に危機感を強めていました。

これについてアメリ国務省のプライス報道官は28日、記者団に対し「アメリカ政府は、ロシアで最も尊敬を集めている人権団体のひとつ『メモリアル』の解散を命じたロシアの最高裁判所の判決を非難する」と述べました。

そのうえで「われわれは、表現の自由などの権利を行使したことによって抑圧の対象になった人たちに寄り添う人権活動家などへの嫌がらせをやめるよう呼びかける」と述べ、プーチン政権に対し、人権保護団体などへの抑圧を行わないよう求めました。

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで28日、ソビエト崩壊に伴って創設されたCIS=独立国家共同体の非公式首脳会議が開かれ、ベラルーシアルメニアアゼルバイジャン、それに中央アジア各国の首脳が出席しました。

会議の冒頭でプーチン大統領は「国家の安全保障や経済などさまざまな分野で統合は深まっている。ソビエト時代から続く絆が積極的な役割を果たしていると言いたい」と評価したうえで「ロシアは今後もこの関係を維持していく」と述べました。

プーチン大統領としては、ソビエト崩壊から30年という節目に合わせて会議を主催することで、みずからの勢力圏ととらえる旧ソビエト諸国の結束を強調するねらいがあるものとみられます。

しかし、すでに脱退を宣言しているウクライナや、去年欧米寄りの政権が誕生したモルドバの首脳は出席せず、CISの目指した統合の理念とは裏腹に広がる分断を露呈する形となりました。

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