日銀の21年ETF購入額、アベノミクス前に戻る-「事実上停止」の声 https://t.co/bkp3iuq30J
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) 2021年12月29日
日本銀行のことしの上場投資信託(ETF)買い入れ額がアベノミクス以前の水準に大幅に減少する見通しだ。3月に買い入れ方針を弾力化してから購入回数が急減したためで、市場では事実上の停止を示唆するとの受け止め方まで出ている。
ブルームバーグの集計によると、日銀がことし発表した12月27日時点のETFの買い入れ額は合計8734億円。現状のまま推移すれば過去最高(7兆1366億円)だった昨年から一転、アベノミクスの本格化で黒田東彦総裁が「量的・質的金融緩和」を導入する前年の2012年(6397億円)以来の低水準となる見込み。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「事実上買い入れを一時停止したに等しい」と指摘する。日銀自身が政策効果の小ささや副作用の大きさを認めたと解釈できるとして、今後は約50兆円の保有ETFの扱いについて市場の焦点が移ると述べた。
日本の株式市場は20年末にかけて、新型コロナウイルス感染前の株価水準を回復した。日銀はことし3月会合で、ETFの買い入れ表現について従来の「積極的に」から「必要に応じて」へと変更。ことし1月から3月までETFの買い入れは5930億円だったのに対し、4月以降は2804億円と半分以下に急減した。
三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジストは「日銀がETFを買い始めたときと現在は株価水準がおのずと違う。買う必要がないから買っていない」と語る。ETF買い入れを止めると表明した際の株価への影響や相場が将来不安定となって再度買い入れを開始する際の手続きの問題などを考慮すると、現状は「買い入れ枠を持っているだけの話」とみていた。
一方、日銀の黒田総裁は17日の金融政策決定会合後の記者会見で、ETFなどの購入が減少していることについて、緩和縮小や正常化プロセスに入ったという状況では「全くありません」と言明。今後もリスクプレミアム上昇局面では大規模にETFを購入するとの意向を改めて示した。
2010年の白川方明総裁当時に4500億円規模で始まったETF買い入れ政策は2013年4月の黒田総裁時に年間買い入れ枠は約1兆円となり、14年に3兆円、16年に6兆円、20年には新型コロナによる株価急落を受けて上限を12兆円まで拡大した。10年末のTOPIXは898.80(28日終値2005.02)、日経平均株価は1万0228円(同2万9069円)。ニッセイ基礎研によると、11月末での日銀の推定保有ETF残高は約50兆円で、東証1部時価総額の約7%に相当する。
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