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冬の北京オリンピックは、来月4日から開かれ、これを前に習近平国家主席は新年の祝辞で「世界は中国に期待しているし、中国は準備ができている」と述べ、欧米を中心に変異ウイルスのオミクロン株の感染が急速に広がる中でも、大会の安心・安全な開催に自信を示しました。

大会をめぐっては、アメリカやイギリス、オーストラリアなどが中国の人権問題などを理由に政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明していますが、関係を深めるロシアのプーチン大統領をはじめ、友好国の首脳らの出席によって大会の成功をアピールし、みずからの権威を高めたいねらいがあるとみられます。

そして、ことし後半に予定されている5年に1度の共産党大会では、最高指導部を含む重要人事が行われます。

これまでに習主席の後継者につながる人事は明確に示されておらず、去年11月に40年ぶりに採択された「歴史決議」でも習主席を「建国の父」毛沢東と肩を並べる存在と印象づけるなど、共産党トップの総書記として異例の続投に向けた動きを加速させるものとみられます。

一方、習近平指導部が主導してきた中国国内での愛国主義の高まりを背景に、対外的には強硬な姿勢をとりながら、アメリカとの間で台湾や人権問題、貿易などをめぐって、厳しい対立が続くものとみられます。

こうした中、日中両国はことし9月、国交正常化50年の節目を迎えますが、沖縄県尖閣諸島や台湾をめぐる情勢、それに新型コロナウイルスの影響による人的交流の減少などを背景に祝賀ムードは高まっておらず、経済面でのつながりがますます深まる中、安定した関係をどう構築するかが課題となります。

中国では、冬の北京オリンピックの開幕まで、4日でちょうど1か月となります。

北京オリンピックは、中国で開かれる初めての冬のオリンピックで、首都・北京と、隣接する河北省の張家口で、来月4日から20日まで17日間にわたり開かれます。

習近平国家主席は、新年の祝辞で、北京オリンピックについて「世界は中国に期待しているし、中国は準備ができている」と述べ、大会の成功に自信を示しました。

中国政府は大会について、新型コロナウイルスの感染拡大で、国内経済への影響が長引く中、国威発揚に向けた重要イベントと位置づけていて、習主席としても大会を成功させることで、権威を高めたい狙いがあるとみられます。

しかし、アメリカやイギリス、オーストラリアなどは、中国の人権問題などを理由に、政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明し、日本も政府関係者の派遣を見送ることを決めました。

これに対し、王毅外相は先月、国営メディアを通じて「オリンピックの政治問題化は、オリンピック精神を冒とくするものだ」と厳しく批判するなど、「外交的ボイコット」の動きが広がらないよう神経をとがらせています。

一方、中国との関係を深めているロシアは、プーチン大統領が開会式への出席を表明するなど、各国の間でも対応が分かれています。

中国ではことし後半、5年に1度の共産党大会が開かれ、習近平指導部が2期10年を締めくくります。

党大会にあわせて、最高指導部の人事が行われますが、これまでに習近平国家主席の後継につながる人事は明確に示されていないことなどから、共産党トップの総書記として異例の3期目入りに向けた動きが今後、加速するものとみられます。

習主席は指導部の発足当初から汚職撲滅キャンペーンを大々的に展開しながら、最高指導部のメンバーだった周永康氏などの政治的ライバルを次々と排除し、指導者としての地位を固めていきました。

また、5年前の党大会では、党の最高規則にあたる「党規約」が改正され、習主席の名前を冠した指導思想が盛り込まれたほか、翌年(18年)には憲法が改正され、国家主席の任期が撤廃されるなど、習主席への権力集中が進められてきました。

さらに去年、40年ぶりに採択された党の歴史を総括する「歴史決議」は、習主席を「建国の父」、毛沢東と肩を並べる存在と印象づけるなど、権威をいっそう高める内容となっています。

習主席としては、国内で経済成長が減速し、対外的にはアメリカとの対立が厳しさを増す中、共産党がこれからも安定して中国を統治するためには、党トップとして続投し、長期政権を打ち立てることが不可欠だとアピールする狙いがあるとみられます。

習近平国家主席の権威を高める動きは、習主席の父親の功績を強調する形でも進められています。

中国南部の広東省深センの中心部には、改革開放を打ち出したトウ小平氏の大きな壁画が飾られ、シンボルとなってきました。

ここで、地元政府が今、大々的に宣伝しているのが習主席の父親、習仲勲氏です。

習仲勲氏は、改革開放が打ち出された1978年に広東省共産党幹部として赴任し、のちに経済成長をけん引する役割を担う「経済特区」のアイデアを提案したとされています。

地元で開かれている改革開放について学ぶ常設の展示会では、習仲勲氏が今の発展の礎を築いたなどとして大きく宣伝しています。

習仲勲氏の生涯をふりかえる番組や、引退後のインタビュー映像などが数多く展示される一方、トウ小平氏に関する展示はわずかにとどまるなど対照的な扱いです。

訪れた男性は、習主席の父親について「われわれのために貢献してくれた人だ。とても尊敬している」と話していました。

習主席の父親をたたえる動きは地元の書店でも見られ、その伝記は習主席の関連書籍とともにメインコーナーに陳列されています。

こうした動きには、ことし後半の党大会で、異例の3期目入りをうかがう習主席の権威をいっそう際立たせる狙いもありそうです。

習近平国家主席が、課題の1つとして取り組んできたのが、経済成長に取り残された農村部の貧困対策です。

去年7月に開かれた共産党創立100年の式典では「絶対的貧困の問題を解決した」と大々的にアピールしました。

農村を度々、視察に訪れては、支援する姿勢を示していて、貧困問題に取り組む指導者だと国民に印象づける狙いがあるとみられます。

このうち内陸部・重慶のある農村では、習主席が3年前に視察に訪れたことを示す、大きな看板が掲げられていました。

少数民族が多いこの地域は、長年、貧困に苦しんできましたが、農村部の貧困人口をゼロにすることを掲げた習近平指導部の発足以降、地元政府の支援によって、漢方薬に使われる植物の栽培が進み、住民の所得向上につながったということです。

地元の30代の女性は「習主席はわたしたちにとても良くしてくれました。よりよい暮らしを勝ち取れるように今後も導いてほしい」と話していました。

地元政府の幹部の男性は、「習主席がもたらしたすばらしい変化で私たちは自信をつけました。社会主義の現代化強国を築く建国100年の新たな目標に向けて、今後も私たちを導いてくれると思います」と話していました。

ことしは、1972年9月に日本と中国の国交が正常化されてから50年の節目となります。

両国の間では、経済面でのつながりがますます深まっていて、日本にとって中国は最大の貿易相手です。

中国との貿易額は、おととしは32兆5898億円と日本の貿易全体の23.9%を占め、貿易額全体に占める割合も過去最高となりました。

また、中国にある日系企業の拠点はおよそ3万3000か所に上り、日系企業の拠点の数は国や地域別で最も多くなっています。

中国にとっても日本は、国別では、アメリカに次いで2番目の貿易相手です。

国交正常化50年について、習近平国家主席は、去年10月に行われた岸田総理大臣との電話会談で、新たな展望を切り開く機会とすることに意欲を示しています。

しかし、中国が急速な軍備増強を進める中、両国をとりまく安全保障環境は厳しさを増しています。

沖縄県尖閣諸島周辺では中国海警局の船が領海侵入を繰り返しているほか、中国とアメリカとの対立が続く中、台湾をめぐって緊張が高まることも懸念されています。

一方、北京オリンピックパラリンピックへの対応をめぐり、アメリカなどは新疆ウイグル自治区での人権問題などを理由に「外交的ボイコット」を表明しました。

日本政府も、閣僚など政府関係者の派遣を見送ったものの、「外交的ボイコット」という表現は使わず、中国への一定の配慮もにじませています。

国交正常化50年に向けて、中国に拠点を置く日本の経済団体などは記念行事について検討を進めていますが、コロナ禍で人の往来が難しいこともあり、今のところ、節目の年を大々的に祝う機運は高まっていません。

記念行事をめぐっては35年となった2007年は、北京の繁華街で阿波おどりなどが披露されるイベントが開かれるなど友好ムードが演出された一方、40年となった2012年は、日本政府による尖閣諸島の国有化の影響などから、北京で予定されていた記念式典が中止されるなど、その時々の両国の政治状況が色濃く反映されています。

日中関係について、中国の外交政策に詳しい、中国人民大学の時殷弘教授は、NHKとのインタビューで、台湾や東シナ海をめぐって、中国との戦略的な対立が激しくなっているなどとして「国交正常化50年を祝う雰囲気はほとんどない」と指摘しています。

この中で、時教授は、岸田政権の政策について「基本的には安倍元総理大臣の政策を踏襲している」としたうえで「中国に対抗するための軍事力の構築を加速させている」などと指摘しています。

そして、今の日中関係について「特に台湾問題や東シナ海をめぐる問題で中国との戦略的対立が激しくなっている。また、北京オリンピックパラリンピックに日本が政府関係者の派遣を見送ったことは『外交的ボイコット』にあたるし、岸田政権は、中国に対する『経済安全保障』を強化している」などと述べたうえで「国交正常化50年を祝う雰囲気はほとんどない」と指摘しています。

一方、時教授は、バイデン政権のもとでの米中関係について、気候変動の分野などで協力は見られたものの、非常に限定的なものにとどまる一方、台湾や香港、それに新疆ウイグル自治区などの人権をめぐる問題、南シナ海東シナ海など、さまざまな分野で対立はむしろ厳しくなっていると指摘しています。

そのうえで、低迷するバイデン政権の支持率と、ことし秋に行われる中間選挙を念頭に「弱い民主党政権とバイデン大統領本人が、主要な問題で、中国に譲歩する可能性はほとんどない」として、関係改善は期待できないという見方を示しています。

香港のインターネットメディア、「衆新聞」は、3日記者会見し、4日で運営を停止すると明らかにしました。

「衆新聞」は、2017年に香港の記者協会の元代表などベテランの記者らが設立したメディアで、2019年に相次いだ抗議活動に関する記事や、中国本土の政治や社会問題についての分析などで市民の支持を得てきました。

「衆新聞」の楊健興 主筆はネットメディアの「立場新聞」の元幹部が先週、憎悪をあおる出版物を発行した罪に問われて起訴されたことを受けて決断したとしています。

楊氏は「いまや、何が法律に触れるとされるのかわからず、安心して仕事をしていける状況ではなくなった。このままでは、私たちのやりたい報道を続けていくことはできず、やむをえない選択だ」と述べました。

香港では、去年6月に日刊紙の「リンゴ日報」の幹部らが香港国家安全維持法違反に問われ発行停止に追い込まれていて、「衆新聞」の運営停止で、中国や香港の政府に批判的な民主派寄りのメディアは、一部の小規模なものを除いて、ほぼ姿を消すことになります。

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