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北朝鮮は30日、射程が中距離以上の弾道ミサイル1発を、通常より高い高度で打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射し、ミサイルは最高高度が2000キロ程度まで達し、およそ800キロ飛しょうしたあと、日本のEEZ排他的経済水域の外側に落下したとみられています。

岸田総理大臣は「国連安保理決議違反であり、強く非難し、抗議した」と述べました。

北朝鮮によるミサイル発射はことし7回目ですが、中距離以上の弾道ミサイルは初めてで、「ロフテッド軌道」による発射で高度が2000キロを超えたのは2017年11月以来で、政府内からは「北朝鮮の脅威はこれまでと異なる次元に達した」という見方が出ています。

政府は、北朝鮮ICBMの発射実験や核実験を再開するなど、さらに脅威を高める軍事行動に踏み切る可能性もあるとみて、警戒監視を強化することにしています。

北朝鮮をめぐっては、日米韓の3か国で外相会談を行うことも検討されていて、政府としては、関係国とのハイレベル協議などを通じて国際社会と連携し、北朝鮮に強く自制を促していく方針です。

31日付けの北朝鮮朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、国防科学院などの計画に従って、中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射実験が30日に行われたと伝えました。

発射は、北西部から日本海に向けて通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で行われ「兵器システムの正確性と安全性、運用の効果性を確認した」としています。

また「火星12型」について「生産、装備されている」として、実戦配備に入っていることも示唆しています。

紙面には、先端がとがったミサイルが移動式発射台から発射されオレンジ色の炎を吹き出しながら上昇していく様子を捉えた写真や、弾頭に設置したカメラで宇宙空間から撮影した地球だとする写真が掲載されています。

北朝鮮が、射程が最大でアメリカ・グアムにも届く5000キロに達するとみられる「火星12型」を発射したのは、北海道の襟裳岬付近の上空を通過させる形で行った2017年9月以来です。

韓国軍は、北朝鮮が30日午前、北部のチャガン道から日本海に向けて中距離弾道ミサイル1発を発射し、高度がおよそ2000キロに達したと明らかにしていて、発表はこのミサイルを指すとみられます。

北朝鮮は、去年1月の党大会で、新型兵器の開発を盛り込んだ「国防5か年計画」を打ち出し、これに従ってミサイルの発射を、ことしに入って7回と極めて高い頻度で繰り返していて、関係国が警戒を強めていました。

「火星12型」は、液体燃料を用いるとみられ、北朝鮮が「アメリカ太平洋軍の司令部があるハワイと、アラスカを射程に収めている」と主張する中距離弾道ミサイルで、防衛省は射程が最大で5000キロに達すると分析しています。

「火星12型」は、2017年4月にピョンヤンで行われた軍事パレードで初めて公開され、翌5月には北西部のピョンアン北道から初めて発射されました。

その際、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、高度が2000キロを超えました。

その3か月後の8月には米韓合同軍事演習のさなかに、「火星12型」1発が、首都ピョンヤン郊外から通常の軌道で発射され、北海道の襟裳岬付近の上空を通過して太平洋上に落下しました。

また、弾道ミサイルの運用を担う戦略軍が声明を発表し、同時に4発発射して日本の島根県広島県高知県の上空を通過させ、アメリカ・グアム周辺の30キロから40キロの海上に落下させるという計画を明らかにしました。

さらに北朝鮮は翌9月、再びピョンヤン郊外からほぼ同じコースで1発を発射し、飛行距離は、前回よりも1000キロほど伸びてグアム島までの距離を上回るおよそ3700キロに達し、キム・ジョンウン総書記は「戦力化が実現した」と評価していました。

バイデン米政権は、北朝鮮と前提条件なしで交渉の用意があるあらためて表明した。北朝鮮は31日、2017年以来となる中距離弾道ミサイルの発射実験を30日に行ったことを確認した。

北朝鮮、30日に「火星12型」弾道ミサイル試射と確認-朝鮮中央通信

  米高官は北朝鮮の最近の相次ぐミサイル発射について、不安定化をもたらし、北朝鮮の近隣国および域内の駐留米軍への脅威であるほか、国連安保理決議にも違反していると指摘。米国は北朝鮮に関し外交に引き続きコミットしているが、対話の提案に対する回答を北朝鮮から受け取っていないと高官は説明した。

  高官は外交が失敗した場合、米国がどう行動する可能性があるかについては説明しなかった。解決には朝鮮半島の非核化を巡る直接的な関与と外交が必要になるとした上で、米国は北朝鮮との直接の協議を求めており、前提条件なしでいつでもどこでも会う用意があると付け加えた。

  ただ、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党総書記とバイデン大統領の会談の機は熟していない。大統領は会談には明確な目的が必要だと述べており、こうした状況は整っていないと高官は説明した。

原題:U.S. Seeks North Korea Talks After Biggest Missile Test in Years(抜粋)

31日付けの北朝鮮朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射実験を、30日、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で行い「兵器システムの正確性と安全性、運用の効果性を確認した」と伝えました。

これについて、韓国の通信社、連合ニュースは、通常の角度で発射されれば、飛行距離は4500キロから5000キロ程度と推定されるとして、アメリカのグアムまで届くと伝えています。

また、韓国の専門家は、北朝鮮が「火星12型」について「生産、装備されている」などと発表したことから、すでに実戦配備されているという見方を示したうえで、グアムを攻撃できる軍事力を誇示することでアメリカに圧力をかけていると分析しています。

さらに北朝鮮は、2018年に表明したICBM大陸間弾道ミサイルの発射実験の中止について見直しの検討を示唆していることを踏まえ、来月16日のキム・ジョンイル金正日)総書記の生誕80年や、4月15日のキム・イルソン(金日成)主席の生誕110年などの節目に合わせて、さらに射程の長いミサイルを発射する可能性もあると指摘しています。

31日付けの北朝鮮朝鮮労働党機関紙「労働新聞」では、30日行った中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射に関する記事の扱いが、2017年の3回の発射に比べると、かなり小さくなっています。

2017年5月の「火星12型」の初めての発射では「労働新聞」の1面から3面にかけて、キム・ジョンウン金正恩)総書記が関係者と喜び合う姿などを捉えた36枚の写真とともに大々的に報じられました。

また、3か月後の2回目の発射では、1面から2面にかけて23枚の写真が、翌月の3回目の発射でも、1面から3面にかけて32枚の写真が掲載され、いずれもキム総書記が立ち会ったことが大きく伝えられました。

これに対して、およそ4年4か月ぶりとなる今回の「火星12型」の発射では、キム総書記の立ち会いが伝えられていないうえ、3面の左上に写真4枚とともに短い記事が掲載されているだけです。

射程が最大でアメリカのグアムにも届く5000キロに達するとみられる「火星12型」をめぐっては、キム総書記が前回の発射に際し「戦力化が実現した」と評価していて「生産、装備されている」とした今回は、抑制的な発表にとどめることで、すでに実戦配備に入っていると印象づけたい思惑もありそうです。

ロイター通信によりますと、アメリカのバイデン政権の高官は30日、北朝鮮による今回の発射について「今月に入って数多くの発射実験を繰り返す中で行われたものであり、当然、懸念している」と述べました。

そのうえで「外交による解決を改めて求める。われわれは真剣に話し合いを始める用意がある」と述べて、北朝鮮に直接対話に応じるよう重ねて呼びかけました。

また、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は30日、ABCテレビのインタビューで「前提条件なしで北朝鮮との外交的対話に応じる用意がある」と強調する一方「国連の安全保障理事会北朝鮮に対する制裁を求めているが、同盟国の日本や韓国とともにほかの対抗措置の可能性についても話し合っていくつもりだ」と述べました。

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