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政府はウクライナからの要請を踏まえ、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、非常用食料など、自衛隊が持つ防衛装備品や物資を提供することにしています。

愛知県にある航空自衛隊小牧基地では8日、防弾チョッキとヘルメットがKC767空中給油・輸送機に積み込まれ、午後11時ごろ、隊員に見送られながら基地を離陸しました。

「防衛装備移転三原則」では「紛争当事国」への武器の提供は認められていませんが、ウクライナは国連安保理の措置の対象になっていないため提供は可能で、政府は殺傷能力の無い装備品に限って提供する方針です。自衛隊の防弾チョッキがほかの国に提供されるのはこれが初めてです。

防衛省はこのほかの装備品や物資についても、準備が整い次第現地に届けることにしています。

防衛大臣は9日午前、防衛省ウクライナのコルスンスキー駐日大使と会談しました。

この中で岸大臣は「ロシアの侵略で多くの方が命を奪われている状況に大きな悲しみと深い憤りを共有する」と述べました。

そして今回のロシアによる軍事侵攻は国際法の深刻な違反だと非難したうえで、日本としてもウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持し、国際秩序の根幹を守るために各国と結束して、きぜんと対応していく考えを重ねて示しました。

そのうえで、要請を踏まえてウクライナを支援するため8日夜、防弾チョッキとヘルメットを載せた自衛隊機を派遣したことを説明するとともに、引き続き日本としてできるかぎりの支援を行う考えを伝えました。

これに対しコルスンスキー大使は「前例のない支援に対しウクライナ国民を代表して心からお礼を申し上げたい」と述べ、謝意を示しました。

コルスンスキー駐日大使は防衛省で岸防衛大臣と会談したあと記者団に対し「ロシアによる、さらなる攻撃の活発化を予想している。おそらくロシア軍はいま予備兵を投入して特に首都キエフを攻撃しようとしている。さまざまな形でウクライナに対する支援が望ましい状態になっている」と述べ、国際社会からの支援を訴えました。

ロシア国内での情報統制をめぐり、外務省は今後海外メディアへの取締りが強化され、最悪の場合、ロシア政府が「不適切な報道」だと主張して拘束したり罰金を科してくる可能性もあるとして、報道機関に対して一連の動きに十分に留意するよう求めています。

そして何らかの懸念が生じた場合は現地の日本大使館などに相談するよう呼びかけています。

これに関連し林外務大臣は8日の記者会見で「ロシアで報道の自由が制約され、外国メディアが活動を停止せざるをえない状況となっていることを強く懸念している」と述べています。

ロシア国内の緊張の高まりをめぐって外務省は7日、ロシア全域で危険情報のレベルを引き上げ、滞在する日本人に出国を促しています。

アメリカのバイデン大統領は8日、ロシア産の原油天然ガス、石炭などのエネルギーの輸入を全面的に禁止する大統領令に署名しました。

またイギリスもロシア産の原油の輸入を段階的に停止する方針を明らかにし、アメリカに歩調を合わせました。

日本は原油のほとんどを輸入に依存していて、JOGMEC石油天然ガス・金属鉱物資源機構」によりますと、ロシアからの輸入量は去年は全体の3.6%だということです。

日本は1970年代に起きたオイルショックによる経済的な打撃を受けて、中東依存度を下げて、エネルギー調達を多角化することを目指していますが、現時点でも中東依存割合は90%を超えています。

ロシア産原油の輸入割合は高くはないものの、エネルギー安全保障上の観点から、すぐに輸入を止めることは難しいのではないかという見方が政府内には広がっています。

ただロシアのウクライナへの軍事侵攻の状況次第では、アメリカなどとの協調を求められる可能性もあり、政府で対応を検討しています。

アメリカのバイデン大統領が、ロシア産の原油などの輸入を禁止する措置をとると発表したことについて、岸田総理大臣は記者団に対し、「アメリカとは緊密にやり取りを行っている。きのうバイデン大統領は会見で『同盟国の多くが参加する立場にないことを理解したうえで、この措置を進めている。アメリカはエネルギーの純輸出国であり、ほかの国々ができないような場合でもこの措置ができる』と表明している」と述べました。

そのうえで、「わが国としてはそうした状況を踏まえつつ、安定供給と安全保障を国益として、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し、しっかり取り組んでいきたい」と述べました。

北方領土をめぐって政府は、安倍政権当時の2019年にはロシアとの平和条約交渉に支障をきたすおそれがあるとして、「固有の領土」かどうかの認識について答えを控えたいとする答弁書を決定しています。

しかしロシアのウクライナへの軍事侵攻が続く中、岸田総理大臣は7日の国会で「私自身用語を使い分けた記憶はないが、いずれにせよわが国の固有の領土だ」と述べ、政府としてこれまで控えていた表現で明確に答弁しました。

外務大臣は8日の会見で「今までは外交的な観点から『わが国が主権を有する島々』との表現を用いてきた」としたうえで「今の状況に鑑みると平和条約交渉の展望を申し上げる状況にはなく、そうしたことも踏まえて申し上げている」と説明し、ウクライナ情勢を踏まえたものだとの認識を示しました。

また「ロシアによる北方領土の占拠は法的根拠を何ら有していないという意味で不法なものだ」と述べ、北方領土をめぐる立場を鮮明にしました。

政府としては北方領土に対する原則的な考え方を訴えるとともに、力による一方的な現状変更の試みを認めない姿勢を国際社会に強く打ち出すねらいもあるものとみられ、ロシアとの平和条約交渉は一層困難な情勢になる見通しです。

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岸田総理大臣は9日午後、自民党の安倍元総理大臣の議員会館の事務所を訪れ、およそ20分会談しました。

この中では、ウクライナ情勢をめぐって、アメリカのバイデン大統領がロシアへの追加の経済制裁としてロシア産の原油などの輸入を禁止する措置をとると発表したことを踏まえ、日本政府の対応について意見が交わされたものとみられます。

また安倍氏は10日から4日間の日程で岸田総理大臣の特使としてマレーシアを訪問することにしていて、現地での日程などについても確認したということです。

会談のあと岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し「いろいろな意見交換をしたが、ウクライナをめぐる情勢が中心だった。ウクライナをめぐる外交・安全保障に関してアドバイスをいただいた」と述べました。

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