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イエレン米財務長官は25日、ロシアとウクライナを巡る危機で商品(コモデティティー)価格が上昇しており、来年にかけて世界経済の成長見通しが押し下げられる可能性があるとの見方を示した。

イエレン長官はCNBCのインタビューに対し「ロシアとウクライナの情勢を受け、商品価格に圧力がかかっている」とし、「小麦価格が高騰しており、小麦に大きく依存している国への波及的な影響を懸念している。来年にかけての世界経済の成長見通しが押し下げられる可能性が高いと予想している」と述べた。

その上で、ガソリン価格が一段と上昇する可能性がある中、政府は同盟国と協力して消費者への影響を緩和しようとしていると語った。

また、新型コロナウイルス感染拡大とウクライナ危機で、弾力的な供給網を確保する必要性が浮き彫りになったと指摘。「米企業は効率性を重視し、コスト低減に向け供給網を構築してきたが、弾力性が損なわれた。バイデン政権は回復力のある供給網の構築を優先事項としている。ある程度の再配分につながるだろう」と述べた。

ドイツのハベック経済相は25日、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、ドイツはロシア産のガス・石油・石炭への依存度を大幅に引き下げたと明らかにした。

ロシア産の石油がドイツの石油輸入に占める割合は侵攻前の35%から25%に、ガスは55%から40%に、石炭は50%から25%にそれぞれ低下したと述べた。

エネルギー輸入のロシアへの依存度を下げる最初の重要な水準を達成したと指摘した。夏までにロシア産のガスの割合は24%に低下し、2024年夏までにロシアへの依存からほぼ脱することができるとの見方を示した。

ウクライナへの軍事侵攻を受けてEUは、エネルギーをロシアに依存している現状からできるだけ早く脱却することを目指しています。

25日にはアメリカ政府との間で共同声明を発表し、年内に少なくとも150億立方メートルのLNG液化天然ガスの追加供給を受けることを目指すと明らかにしました。

また、この日、ベルギーのブリュッセルで開いたEUの首脳会議でもエネルギーの安定確保などについて協議を行いました。

この中では、次の冬を見据え、天然ガスの確保が急務だとしたうえで、調達先の多角化にあたって価格交渉力を高めようと、共同購入の実施に向けて取り組むことなどで各国が合意しました。

EU各国は、ロシアから輸入してきたエネルギーをどう補うか、具体的な検討を進めていますが、電源構成やロシアへの依存度が異なるため、脱却できる時期の見通しには違いがあります。

会議のあとの記者会見でフォンデアライエン委員長は「各国の具体的な状況はさまざまだが、ヨーロッパとして各国がともに取り組んでいくべきだ」と強調しました。

ヨーロッパを訪問中のアメリカのバイデン大統領とEUのフォンデアライエン委員長は25日、共同声明を発表しました。

それによりますとアメリカ政府は、エネルギーの分野でのロシア依存からの脱却を目指すEUを支援するため、ほかの生産国とも連携し、今後、年末までに、LNG150億立方メートルの追加供給を目指すとしています。

その後、EU側は少なくとも2030年までは、アメリカから年間およそ500億立方メートルを追加で購入することで、安定的な需給関係の構築を図るとしています。

EUは去年、ロシアから1550億立方メートルの天然ガスを調達していますが、今後アメリカからのLNGで3分の1を置き替えたい考えです。

共同声明を発表したバイデン大統領は、「ロシアからのガスの輸入をやめることは容易ではないが、道徳的な観点から正しいだけでなく、戦略的にも重要だ」と述べました。

また、フォンデアライエン委員長は「来年だけでなく、その先もエネルギーを安定的に供給する必要がある。これはそのための大きな一歩だ」と意義を強調しました。

ロシアのプーチン大統領は25日、西側諸国はチャイコフスキーショスタコービッチといった大作曲家を含むロシア文化全般を拒否しようとしていると批判した。

プーチン大統領はテレビ放映された主要文化人との会合で、西側諸国でロシアに関連する文化イベントの中止が相次いでいることを1930年代にナチスドイツが行ったことになぞらえ、「1000年にわたる(ロシアの)文化を拒否しようとしている」とし、「多くの西側諸国でロシアに関連するもの全てを徐々に差別していく動きが出ている」と述べた。

西側諸国では、ロシアによるウクライナ侵攻に支持を示したロシアの文化人が関与するイベントの中止が相次いでおり、ロシアのサンクトペテルブルクマリインスキー劇場の芸術総監督で著名な指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏はドイツのミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を解任されたほか、イタリアのミラノ・スカラ座で予定されていた同氏の公演もキャンセルされた。

このほか、スペインのテアトロ・レアル(王立劇場)はロシアのボリショイ・バレエ団の公演を中止。その他の国でもオーケストラ公演の演目からチャイコフスキーの作品が除外されるなどの動きが出ている。

フランス外務省は25日、在フランスのロシア大使館が欧州を侮辱する風刺画をツイッターに投稿したことを受け、ロシア大使を呼び出し、抗議したと明らかにした。

外務省は、こうしたことは容認できないとロシア大使に明確に示したとし、「ロシアとの対話経路を維持しようとしている中、このような行動は完全に不適切だ」とした。

ロシア大使館は24日に風刺画を投稿。その後、削除された。

ロシア国防省は25日、ウクライナにおける「軍事作戦」の第一段階はほぼ完了したとし、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると表明した。

国防省の発表は、ロシアがウクライナの激しい抵抗に直面する中、より限定された目標に切り替えている可能性を示唆した。

ロシア国営通信社によると、ドンバス地域では現在、親ロシア派がルガンスクの93%、ドネツクの54%を掌握しているという。

国防省はまた、他のウクライナ都市を攻撃する可能性も排除しないとしたほか、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設置するいかなる試みにも直ちに対抗すると言明した。

また、ウクライナの戦闘でこれまでにロシア軍の死者は1351人、負傷者は3825人になったと発表。その上で、プーチン大統領が設定した目標を達成するまで、「作戦」は続けられるとした。

ウクライナ南部マリウポリの劇場に対する16日の爆撃により300人が死亡したと地元当局が発表した。

ウクライナ外務省は16日、数百人の市民が避難しているマリウポリの劇場をロシア軍が爆撃したと発表。その上で、多くの人が劇場に閉じ込められているとし、ロシアが戦争犯罪を起こしていると非難した。これに対し、ロシア側は民間人への攻撃を否定している。

マリウポリ市議会は25日の声明で、劇場への爆撃に伴う死者数を確定することはまだ不可能だが、「目撃者の情報によると、ロシア軍用機による爆撃の結果、マリウポリの劇場で約300人が死亡した」と明かした。

一方、ウクライナの国連人権チーム責任者、マチルダ・ボグナー氏は25日、衛星画像などによると、マリウポリの集団墓地に200体の遺体が埋葬されているもようと発表。ただ遺体が軍人なのか民間人なのかは判別できないとした。

国連人権事務所はロシアがウクライナに侵攻した24日以降の民間人の死者数はこれまでに1081人の上るとしており、ボグナー氏は「民間人の犠牲者数と被害の大きさは深刻な懸念を引き起こし、国際人道法の違反、特に無差別攻撃が実施されたことを強く示唆している」と述べた。

ボグナー氏が率いるチームは人権侵害が疑われる事例について調査しており、ロシア軍が車両で逃走中の民間人を射殺した件やウクライナ当局者およびジャーナリスト数十人の失踪、ロシア支配地域への民間人の強制移動などが報告されているという。

また、ウクライナ東部ドネツクでの無差別砲撃やロシア支持を理由とする民間人の殺害などウクライナ軍による人権侵害の疑いについても報告を受けているとした。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、25日に公開した動画で「この1週間、私たちの勇敢な軍隊は、敵に強力な打撃を与えた。著しい損失だと思う」と述べ、ウクライナ軍がロシア軍に反撃できていると強調しました。

一方、ロシア軍が攻勢を強める東部マリウポリについて「2万6477人の住民が『人道回廊』と呼ばれる避難ルートを使って、南東部のザポリージャになんとか避難できた。ただ依然として、悲劇的な状況が続いている。ロシア軍は私たちに人道的な援助をさせてくれない」と指摘し、ロシア側の対応を批判しました。

そのうえで「私たちは意義がある形でかつ緊急に、そして公平に話さなければならない。それは結果を出すためであり、時間をむだにするためではない」と述べ、ロシア側に対話の必要性を訴えました。

×「未必の故意

ホワイト・ヘルメットと一緒。

#人間の盾

ウクライナに侵攻を続けるロシア軍は、東部の要衝マリウポリの一部を掌握し、市内全域の支配に向け部隊を展開しようとしているとみられます。

一方、ロシア国防省は今回の作戦で兵士1300人以上が死亡したと発表しましたが、欧米側はこれを大幅に上回る人的被害を指摘していて、ロシア側の苦戦も浮き彫りになっています。

ロシア軍は、ウクライナ東部の要衝マリウポリで戦闘を続けていて、ウクライナの地元メディアは、マリウポリの市長がすでに市外に退避したと伝えたほか、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ロシア軍は24日、マリウポリ中心部のキリスト教の教会を占拠し、市の全域の掌握に向けて部隊を展開している」との分析を示しています。

マリウポリは、ロシアが一方的に併合した南部クリミアと、親ロシア派の武装勢力が事実上支配する東部地域を結ぶ拠点としてロシアが重視していて、市内全域の掌握を目指しているとみられます。

一方、首都キエフ周辺の戦況についてアメリカやイギリスの国防当局は、ロシア軍の一部の部隊が後退していると指摘し、ウクライナ側の激しい抵抗でこう着している模様です。

こうした中、軍事侵攻から1か月が過ぎた25日、ロシア国防省は戦況分析を発表し「軍事作戦の第1段階の主要目的は達成された」と強調しました。

そのうえでウクライナ軍の戦闘能力が大幅に低下したため、われわれは東部ドンバス地域の解放という主要な目標の達成に力を注ぐことができる」と主張し、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ地域を中心に軍事作戦が強化されるとの認識を示しました。

一方、国防省は、これまでのロシア軍の兵士の死者数が1351人、負傷者数が3825人だと発表しました。

また、ウクライナ軍の兵士の死者は1万4000人以上になるとみられるとしています。

ロシア軍の被害について国防省は、今月2日には兵士498人が死亡し、1597人が負傷したと発表していて、大幅に増えています。

ただイギリス国防省は「ロシア軍には、ほぼ確実に数千人の犠牲者が出ている」と分析しているほか、NATO北大西洋条約機構も7000人から最大で1万5000人のロシア軍兵士が死亡したと推定していると伝えられていて、ロシア側の発表を大きく上回る被害が出ている可能性があり、ロシア側の苦戦も浮き彫りになっています。

ロシアの安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治 政策研究部長は、ウクライナに侵攻を続けるロシア軍について「全体的にウクライナ軍が反転攻勢をかけていて、必ずしもロシア軍が優勢とは言い切れなくなっている。首都キエフ周辺ではロシア軍が防御態勢に追い込まれ、一部の部隊の後退を余儀なくされている」と述べ、ロシア軍が当初の見通しよりも苦戦していると見ています。

その背景について「そもそも、2週間程度の短期決戦を見込んでいたため、ロシア軍の補給が追いついておらず、ロシア軍部隊の士気が大幅に下がっている」と指摘しています。

さらに、ウクライナ側が欧米から最新式の武器の供与を受けているとしたうえで「ロシア側は旧式の無線や通常の携帯電話など秘匿性が低い通信手段を使っているとみられる」と述べ、ロシア軍の通信を傍受したり、米軍から情報を得たりして、ウクライナ軍が効果的な攻撃をすることができていると分析しています。

そのうえで「ロシア側の当初の目的であったキエフの制圧が難しくなり、南東部の軍事的掌握に作戦目標を変更する可能性がある」と述べ、ロシアが当初の目標を変更し、2014年に一方的に併合した南部のクリミアと独立承認した東部地域をつなぐマリウポリなどの地域の支配を、新たな目標にするのではないか、という見通しを示しました。

また、ロシア軍による生物・化学兵器の使用の可能性について「使用した場合はNATOが厳しい措置をとるとみられ、ロシアとしては使用に踏み切るには一定のハードルがある。ロシアは、ウクライナ側を戦意喪失させ、有利な停戦条件を引き出すために意図的に使用を示唆しているようにみえる」と話しています。

ロシア軍が苦戦している要因の1つとして、アメリカメディアは、通信手段を十分確保できず作戦を遂行するうえでの機密情報もウクライナ軍に傍受されている可能性を指摘しています。

アメリカの外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は22日「ロシア軍の無線はウクライナに傍受されている」というタイトルの記事を掲載しました。

記事では、アメリカの当局者や専門家の話として、ロシア軍は、ゼレンスキー政権を短期間で崩壊させることを想定していたため、長期間の侵攻の準備ができておらず、広大なウクライナの領域をカバーできるほどの通信環境を整えていなかったと伝えています。

さらに、ロシア軍がハリコフ周辺などで通信塔を破壊したため、みずからの通信手段も失うケースがあったということです。

こうしたことからロシア軍は、作戦を遂行するうえでの機密情報も専用の無線システムではなく、一般のシステムを使わざるをえなくなり、ウクライナ軍は、通信を妨害したり傍受したりしているということです。

さらにウクライナ側は、ロシア軍の兵士が戦闘の状況について母親に電話で伝えているとする内容などをSNSで次々に発信していて、戦地では情報戦も有利に進めていると強調するねらいがあるとみられます。

ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部マリウポリの市民の被害について、現地の人権状況を監視する国連の代表は25日に開いた会見で、衛星写真の分析から複数の集団墓地が確認されたとしたうえで「このうちの1つにはおよそ200人が埋葬されているとみられる」と述べました。

ただ埋葬されているのが兵士なのか民間人なのかは判別できないということです。

国連は今月24日までに、ウクライナで少なくとも1081人の市民が死亡したと発表していますが、激しい戦闘が続くマリウポリなどでは確認が取れておらず、実際の犠牲者の数はこれよりはるかに多いとしています。

この代表は「民間人の犠牲者数と被害の大きさは深刻な懸念を引き起こし、国連人道法の違反、無差別攻撃が行われたことを強く示唆している」と述べて、ロシア側の攻撃を非難しました。

またWFP=世界食糧計画は同じ会見で、マリウポリはロシア軍が包囲しているため支援物資が届けられず、食料や水が底をつきつつあると強い懸念を示しました。

アメリカのバイデン大統領は25日、ウクライナとの国境からおよそ70キロにあるポーランド南東部の都市ジェシュフを訪れました。

ポーランドには、ヨーロッパ東部の防衛態勢を強化するためアメリカ軍の兵士およそ1万人が派遣されていて、このうちジェシュフは軍事や人道支援など、戦略上の要衝となっています。

バイデン大統領は、アメリカ陸軍の第82空てい師団の兵士を前に「重要なのはウクライナの人々を助け、虐殺が続くのを食い止めることだけではない。将来、子どもや孫たちが自由を享受できるようになれるかも問われている」と述べて激励しました。

またポーランドは、ウクライナからこれまでに200万人以上の避難者を受け入れていることから、バイデン大統領はポーランドのドゥダ大統領とともに人道支援にあたっている団体などから支援状況の説明を受けました。

今回の訪問は、NATO北大西洋条約機構による防衛やウクライナへの支援をアピールするとともに、ロシアをけん制するねらいがあるものとみられます。

バイデン大統領は、26日には首都ワルシャワでドゥダ大統領と会談するほか、避難者を保護している施設を訪れることにしています。

ロシアとウクライナの和平交渉でロシア側を代表するメジンスキー大統領補佐官は25日、二次的な問題については双方に歩み寄りが見られる一方、重要な問題での進展は限られているという見解を示した。

インターファクス通信によると、メジンスキー氏は「交渉が月曜から金曜までビデオ会議形式で行われており、あすも続けられる」とした上で、「二次的な問題では双方の立場がまとまりつつある。しかし、主要な政治的問題については事実上、足踏みの状態だ」と述べた。

ロシアはウクライナとの協議において、あらゆる問題を網羅した包括的な合意を求めており、それなしには合意に至る可能性は低いと表明。また、ウクライナは交渉を引き延ばすつもりだと指摘した。

こうした中、ウクライナのクレバ外相はフェイスブックへの投稿で、ロシアとの和平交渉は困難であるとし、6件の重要課題のうち4件で解決に向け進展があったとの報道を否定。「ウクライナの代表団は強硬な立場をとっており、要求を諦めない。われわれはまず停戦、安全保障、ウクライナの領土保全について主張する」とした。

アメリカ国防総省の高官は25日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について、首都キエフに向けて前進する兆候が見られないとしたうえで、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部地域で軍事作戦を強化しているとの見方を示しました。

それによりますと、首都キエフに迫っていたロシア軍の地上部隊はいずれも前進が見られず、最も近い部隊は北西方向におよそ15キロから20キロの位置にとどまっているとしています。

また、北東方向におよそ55キロの位置にまで後退した部隊もその後、動きがみられないということです。

この高官は、ロシア軍がキエフに対して遠距離からの砲撃や空爆などを続けているものの、地上部隊が前進しようとしている兆候がなく「率直に言って、少なくとも今の時点ではキエフ制圧を求めるつもりがないようだ」と指摘しました。

一方この高官は、ロシア軍が親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部地域での軍事作戦をより優先して、攻撃を強化しているとの認識を示しました。

この地域では、地上での激しい戦闘や集中的な空爆が行われていて、この高官はウクライナ側との停戦交渉で、より実質的な利益を確保できるようにすることなどがねらいだと指摘しました。

そのうえで「ロシア軍はキエフなどの制圧に向けた自分たちの能力を過大評価し、ウクライナ側の抵抗を過小評価していたのは明らかで、情報分析の失敗に直面しているのは間違いない」と述べました。

一方、ロシア軍が戦力を強化するため、ジョージアの一部地域に駐留するロシア軍部隊をウクライナに投入する兆候が見られると明らかにしました。

ジョージアには、一方的に独立を宣言している親ロシア勢力の地域があり、ロシア軍が部隊を駐留させています。

アメリカ国防総省の分析では、ロシア軍はウクライナ側との戦闘による損失などで、当初の戦力の85%から90%程度になっていて、ウクライナ国外から戦力を補充するねらいがあるものとみられます。

マリウポリをめぐって、フランスのマクロン大統領は25日、市民の避難を支援する人道的な作戦をトルコ、ギリシャとともに行う方針を明らかにし、近くロシアのプーチン大統領とも会談して詳細を詰めたいとしています。

また、ウクライナの隣国ポーランドを訪れているアメリカのバイデン大統領は25日、国境からおよそ70キロの都市ジェシュフでアメリカ陸軍の兵士らを激励するとともに、ウクライナの人道危機の現状について支援団体などから説明を受けました。

バイデン大統領は、26日には首都ワルシャワでドゥダ大統領と会談するほか、避難者を保護している施設を訪れることにしていて、NATO北大西洋条約機構による防衛やウクライナへの支援をアピールするとともに、ロシアをけん制するねらいがあるものと見られます。

ウクライナのベレシチュク副首相は24日に行った記者会見で、南東部ザポリージャ州のドニプロルドネの市長や、南部ヘルソン州のベリスラフの市長、それに別の都市の副市長や地方議員ら合わせて14人がロシア軍に拉致されていると発表しました。

ロシア軍が侵攻した地域では、これまで各地の市長らがロシア軍に連れ去られたという報告が相次いでいて今回、ベレシチュク副首相が全体状況をまとめて発表した形です。

ベレシチュク副首相は「拉致されて無事に逃げ出した人からは『ロシア軍が拷問を行っていた』という報告を受けている」と述べてロシア軍を強く非難しました。

・・・と、ここまで書いたところで最新情報を見ると、露軍が3月2日以来初めて自軍のウクライナでの犠牲者数を3月25日に発表していた。それによると、1351人の戦死と3835人の負傷、合計5千人強だという。露軍の死者数が、ウクライナ市民の死者数をやや上回る水準だ。上記の私の推測よりさらに少ない。米国防総省NATOによる概算は、実数を5-8倍誇張していたことになる。露軍の犠牲者はとても少ない。市民の犠牲を少なくする露軍の策が、露軍自身の犠牲者数も少なくしていると考えると、露軍の発表数は現実的だ。ウクライナでの軍事作戦はほぼ予定通りに進んでいるという露政府の発表が正しいと感じられる。 (Moscow offers update on casualties from Ukraine conflict) (Russia Signals It Will Limit Scope To "Complete Liberation Of Donbas" - Says "No Progress" In Talks)

ウクライナにおける露軍の進行がのろいのは、米欧がロシアを思い切り敵視してロシアからの石油ガス鉱物の輸出を止める状態が長引くほど米欧経済が自滅してロシア側(露中非米諸国)が地政学的に優勢になるので、プーチンが露軍にゆっくり進めと命じているからだ。 (Putin Misunderstands History. So, Unfortunately, Does the U.S.)

現実のロシアは今回の開戦とともに、米国の覇権や、米英中心の債券金融システムやグローバリゼーションの体制をすべて拒否して、米国覇権に全く依拠しない非米型・多極型の国内・国際的な経済システムを作り始めている。中国やインドや中東諸国の多く、アフリカと中南米の大多数など、意外に多くの国々が、ロシアがやりだした非米型の国際システムに、既存の米国側とのつながりを保持したまま乗ってきている。特に中国は、ロシアの試みの隠然とした後ろ盾になっている。サウジやUAEは、ロシアに配慮し、米英から石油の増産を頼まれても断っている。サウジは米国よりロシアを重視するようになっている。 ( OPEC's Best Kept Secret Will Soon Be Revealed)

このロシア(露中)主導の新世界秩序作りは、成功すると決まったわけでないが、石油ガス鉱物の多くをロシア・非米側が握っていること、米国の最大の優位点だった債券金融システムがQEによって崩壊寸前になっていることから考えて、米国側が潰れ、ロシア側が優勢になっていく可能性が高い。これは、今後数十年の世界の流れを支配するのだが、米欧日のマスコミ権威筋はほとんどそれを理解しておらず、むしろ逆の「ロシアは間もなく敗退・崩壊する」という妄想が席巻している。メドベージェフらロシア中枢が発する、ロシアが潰されそうだという示唆は、米欧側の妄想を扇動して、その後の米欧の崩壊に拍車をかけるためのニセ情報作戦だと考えられる。

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