https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

連邦準備制度は、政策担当者の言葉遣いが先週タカ派色を増し、過去40年で最も急ピッチな利上げを実施する構えだ。

  だが、年内さらに合計2.5ポイントの利上げを実施し、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3%に引き上げても、3月時点で前年同月比8.5%という米消費者物価指数(CPI)上昇率を今後10年で2%に沈静化させるには十分でないと債券トレーダーは考えている。

  パウエル米連邦準備制度理事会FRB)議長は21日、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ポイントの利上げを検討することに賛同し、多くの当局者が「1回以上」そうした動きが適切と見なしていると発言した。

  それでも長期のインフレ期待の高まりは続き、今後10年のインフレ期待を反映するブレークイーブンインフレ率(BEI)は3%を上回り、少なくとも1998年以降で最も高くなった。

  長期債に強気のホイジントン・インベストメント・マネジメントは投資家宛ての1-3月(第1四半期)の書簡で、景気下降局面では期間長めの米国債の購入が有利になるはずだが、連邦準備制度がインフレを十分に抑えきれない可能性について「投資家は警戒すべきだ」と注意を促した。

  これら全てが示唆することは、連邦準備制度がインフレを制御できなくなったか、2%の目標に戻そうとするつもりがないか、どちらかだ。

  ブッシュ政権で経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたコロンビア大学のグレン・ハバード教授(経済・金融学)は22日のブルームバーグサーベイランスで、「連邦準備制度が2%のインフレ率に戻したいと望んでいるとすれば、ソフトランディング(軟着陸)が可能と考えるのは難しい」と指摘した。

  金融政策の引き締めを巡り、政策担当者らが景気に打撃を与えることを避け、行き過ぎではなく足りなくて失敗するというトレーダーの見方がBEIに反映されている。

  今になって思い返せば、労働市場の過熱の兆候やインフレ加速にもかかわらず、新型コロナウイルス禍の景気下支えを目的とした債券購入を続け、連邦準備制度は誤りを犯したと思われる。今後のさらなる政策ミスの可能性をトレーダーは否定すべきでないと最近の経験が示唆しよう。

  CPI上昇率が既にピークに達したか、今後数カ月でそうなる多少の兆しが存在するのは確かだ。しかし、コスト上昇を企業が容易に価格転嫁する兆候も見られ、インフレ鈍化のペースが抑えられることもあり得る。

  クレディ・スイス・グループの米株チーフストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏の推計によれば、S&P500種株価指数構成企業の約25%が1-3月決算を発表する中で、全体の77%の企業業績が予想を上回り、平均で8.2%見通しより良い数字だった。

  連邦準備制度当局者らは2000年以来となる0.5ポイントの利上げについて語っているが、まだ思い切った行動に出たわけではない。さらにブルームバーグの集計データによると、バランスシートは今年に入り2000億ドル(約25兆6000億円)程度拡大し、先週時点で8兆9600億ドルに達した。

  インフレストーリーの主導権を連邦準備制度が取り戻したければ、強気の発言に見合う思い切った行動が必要だ。行動までの時間が長くなればなるほど、踏み込んだと受け取ってもらえる条件はますます厳しくなるだろう。

(リサ・アブラモビッチ氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Fed Is Losing Control Over Inflation Narrative: Lisa Abramowicz(抜粋)

#FRB