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韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)次期大統領の就任式に出席するため、岸田総理大臣の特使として韓国を訪れている林外務大臣は9日夜、ユン新政権の外相候補のパク・チン氏と夕食をとりながら、およそ2時間会談しました。

会談で林大臣とパク氏は、ルールに基づく国際秩序が脅かされている現下の国際情勢で、日韓両国やアメリカを含めた日米韓3か国の戦略的連携がこれほど必要な時はないとして、関係改善は待ったなしだという認識を共有しました。

そのうえで林大臣は、両国関係の発展には太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題や慰安婦問題など、日韓間の懸案の解決が必要だと伝えました。

そして悪化した日韓関係をこれ以上放置してはならないとして、日韓間の懸案の早期解決に向け、ハイレベルなものも含め、両政府間でスピード感をもって協議していくことで一致しました。

ことし3月の韓国大統領選挙で当選したユン・ソンニョル氏は、10日午前0時をもって第20代大統領に就任し、ソウル中心部では大統領の交代を告げる鐘つきが行われました。

ユン大統領は、午前11時から国会前の広場で行われる就任式に臨み、およそ4万人の出席者を前に宣誓をしたあと、就任演説を行って今後の政権運営の方針を示すことになっています。

ユン大統領は、大統領府を「帝王的権力の象徴」ともされてきた青瓦台から国防省だった建物に移して執務を行うことを決めていて、午後には、就任式に出席するため韓国を訪れている、日本の林外務大臣をはじめ各国の要人と会談する予定です。

5年ぶりの保守政権を率いるユン大統領は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、アメリカとの同盟関係を基盤に抑止力を強化するとしています。

また、日米韓3か国の連携を重視する立場から、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題などで冷え込んだ日韓関係の改善にも意欲を示していて、検察官出身で政治経験が乏しい中、どれだけリーダーシップを発揮できるのか、その手腕が問われることになります。

ユン・ソンニョル大統領は、首都ソウル出身の61歳。

両親が大学教授という家庭で育ち、名門のソウル大学で学んだユン氏は、司法試験にたび重なる挑戦の末に合格して検察官となりました。

保守系のパク・クネ(朴槿恵)元大統領や、イ・ミョンバク(李明博)元大統領をめぐる贈収賄事件などを徹底捜査した手腕が、革新系のムン・ジェイン文在寅)前大統領に評価され、2019年に検察トップの検事総長に抜てきされました。

するとユン氏は、ムン前大統領の側近で法相に起用されたチョ・グク氏の疑惑を追及するなどした結果、政権との対立が深まり、去年3月に検事総長を辞任しました。

政権と真っ向から対じした姿が支持されて政界入りへの待望論が高まり、去年7月、当時の保守系最大野党「国民の力」に入党し、大統領選挙の公認候補に選出されました。

ユン氏は、ムン政権を厳しく批判し「無能な政権を政権交代によって審判する。真の公正な社会をつくる」として、5年ぶりの政権交代の実現を訴え、ことし3月の大統領選挙で、当時の与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏にわずか0.73ポイントの差で勝利しました。

当選後、大統領府を「帝王的権力の象徴」ともされてきた青瓦台から国防省だった建物に移して執務を行うことを決めました。

また、外交と安全保障の司令塔となる大統領府の国家安保室長には「アメリカ通」として知られる大学教授を起用するなど、アメリカとの同盟関係を強化する姿勢を鮮明にしていて、今月21日にはソウルで、バイデン大統領と初めての首脳会談を行う予定です。

さらにユン氏は、日米韓3か国の連携を重視する立場から、冷え込んだ日本との関係の改善にも意欲を見せていて、先月には、アメリカに続いて日本に派遣した代表団を通じて、岸田総理大臣にみずからの親書を手渡しました。

北朝鮮は、韓国で5年ぶりの保守政権を率いるユン・ソンニョル大統領について9日、韓国との窓口機関である祖国平和統一委員会が運営するウェブサイトで「倒れゆく経済に見向きもせず『超豪華な就任式』の準備に狂奔している」などと名指しで非難しました。

これに先立って、先月には、ユン大統領が就任を前に、日本やアメリカへ代表団を派遣したことについても「朝鮮半島の平和を完全に台なしにして、民族に災難だけをもたらす逆賊にほかならない」と指摘し、米韓同盟や日米韓3か国の連携を重視する新政権をけん制していました。

このほか、キム・ジョンウン金正恩)総書記の妹のキム・ヨジョン(金与正)氏は、先月の談話で、ユン大統領が、北朝鮮からの攻撃が差し迫った場合に備えて先制攻撃を含む抑止力を強化する考えを鮮明にしていることも念頭に「南が軍事的対決を選択する状況が来るならば、われわれの核戦闘武力は任務を遂行しなければならなくなる」として、状況によっては核兵器の使用も辞さない構えを示しています。

北朝鮮は、前の保守政権を率いたパク・クネ元大統領の就任式のおよそ2週間前に3回目の核実験を強行し、政権発足のおよそ1か月後には、ニョンビョン(寧辺)の原子炉の再稼働を表明した経緯があります。

今回も、同じ保守系のユン政権の発足を前にして、今月7日に日本海で、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルと推定される短距離弾道ミサイルを発射したほか、北東部の核実験場で新たな動きが確認されています。

キム総書記は、先月の軍事パレードでの演説で「核武力を最大限の速度で、さらに強化するための措置を取っていく」と強調していて、今月21日にユン大統領とアメリカのバイデン大統領の初めての首脳会談を控える中、関係国は、北朝鮮によるさらなる弾道ミサイルの発射や7回目の核実験への警戒を続けています。

新政権の日本に対する姿勢について、先月、日本に派遣された代表団のメンバーで、次期駐日大使の候補として有力視されているユン・ドンミン(尹徳敏)元国立外交院長に聞きました。

この中でユン氏は、日本への代表団の派遣について「日韓関係がこれ以上、放置されてはならず、関係を改善すべきだという新大統領の強い意思を日本側に伝えることが目的だった」と説明しました。

そして、太平洋戦争中の「徴用」や慰安婦をめぐる問題について、代表団は具体的な協議をしていないとしたうえで「韓国だけでなく、日本も一緒に協力しながら解決方法をつくり上げてこそ、この問題は解決できる」と述べ、問題の解決には両国の外交努力が欠かせないという考えを強調しました。

また、新大統領が、日韓両国の首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開させる意向を明らかにしていることについては「両国を正常で緊密な関係にするための枠組みだ。日韓交流を促す出発点になるほか、さまざまな懸案を協議して対応するきっかけにもなる」と述べました。

さらにユン氏は、北朝鮮が韓国と日本を攻撃できる新たな戦術核兵器の開発を進めていると指摘し、日米韓3か国の連携の延長線で日韓両国が戦略的に協力していくことが必要だという考えを示しました。

NHKは新たに就任した韓国の大統領についてこれまで韓国の国立国語院の表記に基づいてユン・ソギョル氏としてきましたが、大統領自身が希望していることなどから、10日からユン・ソンニョル大統領と表記します。

#尹錫悦(いんしゃくえつ)

韓国のユン・ソンニョル大統領は10日、就任式に臨み、4万人あまりを前に宣誓をしたあと、就任演説を行いました。

この中でユン大統領は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し「核開発を中断して実質的な非核化に転換するなら国際社会と協力して経済と市民生活を画期的に改善できる大胆な計画を準備する」と呼びかけ、核問題の平和的な解決のため、対話する用意があるという姿勢を示しました。

これについて、韓国の通信社、連合ニュースは「南北対話は非核化につながるべきだという点を明確にした」という専門家の見方とともに「朝鮮半島情勢が流動的な状況で、北に対して融和的な態度をとることも、刺激することもできないことを考慮したとみられる」と伝えています。

一方、ユン大統領は、北朝鮮に対する抑止力の強化に向けて、アメリカとの同盟関係や、日本を含む3か国の連携を重視する立場を繰り返し強調してきましたが、10日の演説では言及がありませんでした。

ことし3月の大統領選挙で革新系の候補をわずかな差でおさえて当選した保守系のユン大統領としては、ムン・ジェイン文在寅)政権下で北朝鮮に対して進められた融和的な政策を支持する革新勢力にも一定の配慮を示した可能性があります。

ユン・ソンニョル大統領は就任演説の中で、北朝鮮に対し「実質的な非核化に転換するなら経済と市民生活を画期的に改善できる大胆な計画を準備する」と呼びかけました。

これについて韓国の通信社・連合ニュースは、原則的な立場の表明にとどまったとしたうえで「朝鮮半島情勢が流動的な状況で、北に対して融和的な態度をとることも、刺激することもできないことを考慮したとみられる」と伝えています。

また、韓国の複数の専門家は、かつてイ・ミョンバク(李明博)政権が掲げた「非核・開放3000」という政策に似ているという見方を示しています。

この政策は、北朝鮮が核を放棄すれば、大規模な経済支援を行って1人当たりの国民所得を3000ドルに引き上げるというものでした。

ただ、専門家らは、北朝鮮が非核化をめぐるアメリカとの対話の再開に応じていない以上、ユン政権の提案に耳を傾ける可能性は低いとしています。

韓国のユン・ソンニョル大統領は、歴代の大統領が執務にあたってきた、青瓦台と呼ばれる建物を使わず、9日まで国防省だった建物に移した新しい執務室で、さっそく公務を始めました。

来週21日には、アメリカのバイデン大統領との初めての首脳会談が、この執務室で行われることになっています。

韓国メディアによりますと、同じ建物の別の階で、本格的な執務室を整備する工事が現在進められていて、来月には完成するということです。

また、韓国大統領府は、執務室が移された建物の新たな名称を募集していて、来月発表される見通しです。

ユン・ソンニョル大統領の就任に合わせて「青瓦台」と呼ばれ、70年余りにわたって、歴代の大統領が利用してきた大統領府が10日から一般の市民のために開放されました。

ソウル中心部にある「青瓦台」の名称は、大統領の執務室があった建物の屋根の青い瓦に由来し、敷地の面積はおよそ25万平方メートルと、東京ドーム5個分程度の広さがあり、敷地内には、大統領や家族が生活する公邸や迎賓館などもありました。

広大な敷地の中で、大統領と周囲との意思の疎通が難しいといった指摘もあり、ユン大統領は「帝王的な大統領のイメージの象徴であり、大統領は市民に近いところで働くべきだ」として、大統領府を5キロほど離れた国防省だった建物に移して執務を始めました。

青瓦台」は9日までムン・ジェイン前大統領が使用していて、当面、建物の中に入ることはできませんが、さっそく多くの市民が訪れ、記念撮影をしたり、庭園を散策したりするなどして、思い思いの時間を楽しんでいました。

一方、ユン大統領が就任までのわずか2か月弱で、大統領府を移転させるとしたことについては、計画に無理があるとか、国防省の移転も伴うことから安全保障上の空白や混乱をもたらす恐れがあるなど、批判の声もあがっていました。

韓国を訪れている林外務大臣は、10日に就任したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と会談し、日韓関係の改善に向け、両国間の懸案の解決が必要だという考えを伝え、今後、政府間で緊密に意思疎通を行っていくことを確認しました。

会談の冒頭、林大臣が、岸田総理大臣からの親書を手渡したのに対し、ユン大統領は、「岸田総理大臣とともに、両国関係の改善のために努力していくことを期待している。早いうちに総理大臣にお目にかかりたい」と述べ、早期の日韓首脳会談の実現に意欲を示しました。

続いて、林大臣は、「ルールに基づく秩序が脅かされている現下の国際情勢で、日韓関係の改善は待ったなしだ。そのためには、旧朝鮮半島出身労働者問題をはじめとする懸案の解決が必要だ」と述べました。

これに対し、ユン大統領は、「日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい」と述べ、両者は今後、政府間で緊密に意思疎通を行っていくことを確認しました。

会談のあと、林大臣は記者団に対し、「今回の訪問は、韓国の新政権側に日本の一貫した立場を直接伝達し、緊密に意思疎通を行う重要な機会となった」と述べました。

また林大臣は、今回の訪問を踏まえ、ユン新政権の外相候補パク・チン(朴振)氏を日本に招いて会談を行いたいという考えを示しました。

韓国のユン・ソンニョル大統領は会談の冒頭、岸田総理大臣からの親書を受け取ったあと「就任式に出席して下さったことに感謝申し上げ、歓迎する」と謝意を示しました。

その上で「林外務大臣は、さまざまな分野で重要な調整の役割を果たしてきたと聞いている。今後、両国の関係発展にも大きな役割を果たされることを期待している」と述べました。

さらにユン大統領は「岸田総理大臣とともに両国関係の改善のためにともに努力していくことを期待している。早いうちに総理大臣にお目にかかりたい」と述べ、早期の日韓首脳会談の実現に意欲を示しました。

日本と韓国の関係は、前のムン・ジェイン文在寅)政権下で、戦後最悪とも言われるまでに冷え込みました。

そのきっかけとなったのは、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、2018年10月、韓国の最高裁判所が初めて、日本企業に賠償を命じた判決でした。

日本政府は、「徴用」をめぐる問題について、1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に再三にわたって求めています。

これに対してムン政権は、三権分立の原則から司法判断を尊重するとした姿勢を変えず、日本企業の韓国国内の資産の「現金化」に向けた手続きが進みました。

そうした中、日本政府は2019年7月、韓国側の貿易管理の体制が不十分で安全保障上の懸念があるとして、半導体の原材料など3品目について、韓国向けの輸出管理を厳しくする措置を取りました。

これを受けて、韓国国内では日本への反発が強まり、日本製品不買運動が広がったほか、当時の安倍政権に抗議するデモが繰り返されました。

ムン政権は「徴用」をめぐる問題での報復措置だと強く反発し、2019年8月には、日本との軍事情報包括保護協定=GSOMIA(ジーソミア)を破棄すると通告しました。

その3か月後、GSOMIAの失効が迫ると、ムン政権は一転して現状を維持することを決めましたが「いつでも終了できる」と主張してきました。

さらに、慰安婦問題をめぐって、去年1月、韓国の地方裁判所が日本政府に元慰安婦の女性への賠償を命じ、これに対して日本政府は、韓国の裁判権に服することは認められないとして控訴せず、判決は確定しています。

このほか、日本政府が新潟県の「佐渡島の金山(さどのきんざん)」の世界文化遺産への登録をユネスコに推薦したことについても、ムン政権は強い遺憾の意を示し抗議しています。

このように、日韓の間では、ムン政権下の5年間で課題が山積しましたが、首脳会談は2019年12月を最後に開かれておらず、関係改善に向けた糸口を見いだすことができないまま、問題の解決は次のユン・ソンニョル政権に先送りされる形となりました。

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