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米経済は一時的なスタグフレーションを回避することができず、市場は深刻な成長低迷のリスクにまだ注意を払っていないと、グラマシー・ファンド・マネジメントのモハメド・エラリアン会長が指摘した。同氏はかつてパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高経営責任者(CEO)を務めていた。

  エラリアン氏はブルームバーグテレビジョンに対し、米国は恐らくリセッション(景気後退)を回避できるが、「スタグフレーションは回避できない」と指摘。「成長には減速が見られ、われわれはインフレ高止まりを目の当たりにしている」と続けた。

  米金融当局が2021年からインフレは「一過性」との見方を示していたことが、今の状況を招く一因となったと同氏は批判した。当局は今では引き締めに動いており、パウエル米連邦準備制度理事会FRB)議長は17日、インフレが後退していることを示す「明確で納得できる」証拠が得られるまで利上げを続けるとして、これまでで最もタカ派的な姿勢を表明した。

パウエル議長、「明確で納得できる」インフレ後退まで利上げ継続 (2)

  ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるエラリアン氏は「当局はようやく現実に追い付きつつある」と述べた上で、「この先もまだやるべきことがある」と続けた。

原題:El-Erian Says US Can’t Avoid Stagflation Even as Fed Tightens

(抜粋)

ドルの急騰を受けて、主要国が為替操作によってドルを下落させるという行動を取る可能性が取り沙汰され始めた。

まれなことではあるが考えられないことではなく、1985年のプラザ合意はその例だ。当時はインフレ高騰、米連邦準備制度の積極的な利上げ、ドル上昇という、今日とよく似た状況だった。今週の主要7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議に出席する当局者らの脳裏にもこの類似した状況があるだろう。

  他の先進国・地域より速い米利上げペースやウクライナ戦争を背景とした質への逃避で今年のドル需要は強く、ブルームバーグのドル・スポット指数は年初来6.3%上昇。円はドルに対し20年ぶり安値を付け、ユーロはパリティー(等価)に近づいた。

  シドニーブラックロックの債券責任者を務め40年の市場経験を持つスティーブン・ミラー氏は、現在の状況は自分がオーストラリア財務省プラザ合意の実現を目の当たりにした時代をほうふつとさせると言う。

  ドルの大幅な上昇が世界経済に打撃を与えていると考えたフランス、日本、英国、米国、当時の西ドイツはドル押し下げに合意したのだった。

  現在カナダのCIファイナンシャル傘下GSFMの投資コンサルタントを務めるミラー氏は「今後の選択肢の1つは、ある種の協調介入である可能性がある」と述べた。「市場は中央銀行には金利以外の手段がないことを認識しているため、プラザ合意スタイルの動きを含めたこの種のシナリオが既に話題になっている」とも指摘した。

  もちろん、現段階で差し迫った介入を予想している人はいない。効果的な合意には米国の賛同が不可欠だが、目先米国が合意する可能性は低い。ドル高は輸入物価を押し下げ、インフレとの闘いに役立つからだ。

  それでも、金融の専門家らは米国以外の国の痛みが限界を超え協調介入への機運が高まる可能性があるとみている。

   ドイツ銀行のチーフインターナショナルストラテジスト、アラン・ラスキン氏はユーロが1ユーロ=0.9ドルを下回れば、「警報を発し始める」可能性があるとの見方だ。現在のユーロ相場は1.05ドル前後。GAMアセット・マネジメントの ラジーブ・デメロ氏は1ドル=150円を潜在的な引き金として想定。 ゴールドマン・サックス・グループグループのストラテジスト、ザック・パンドル氏はドルの無秩序な上昇が介入のきっかけになる可能性があると述べた。

原題:

Surging Dollar Stirs Markets Buzz of a 1980s-Style Plaza Accord(抜粋)

イエレン米財務長官は、米国の金利が上昇する中でドルが上昇しているのは理解できると指摘。その上で、ドル上昇を受けて一部の国では懸念が広がっているとの認識を示した。

  長官は18日、ドイツのボンでの記者会見で「政権の立場から言えるのは、われわれは市場が決定する為替レートにコミットしているということだ」と言明。米金利上昇でドルへの資金流入が勢いづく中、「ドルが上昇しているのは理解できる」と述べた。イエレン氏は、19-20日に同地で開催される主要7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議に出席する。

  同氏は歴代財務長官の一部が表明したような「強いドル」政策支持を公には明言していないが、今回の発言は最近のドル上昇をほとんど懸念していないことを示している。ブルームバーグ・ドル指数は5月に入り一時、2020年春以来の高水準を付けた。

  イエレン氏は「ドル建て債を発行している国は数多くあり」、ドル上昇はそうした借り入れの返済をより難しくすると指摘。ドル上昇は他国にとって懸念要素になってきていると語った。

原題:Yellen Says Strong Dollar Is Understandable, Concern for Others(抜粋)

イエレン米財務長官は18日、最近のドル高について、米国は市場で決定される為替レートにコミットしていると言明した。主要7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議に出席するため訪問中のボンで、記者団からの質問に応じた。

イエレン長官は、米金融政策の引き締めとリスク回避の動きが、ドル高につながる要因としつつも、市場で決定される為替レートが「最良の体制」と強調。その上で「ドルは世界的に安全な逃避先で、経済的に極めて不透明な状況では、資金流入によってドルは必然的に押し上げられる」とし、「そのためドル高になったことは理解できる」と述べた。

イエレン米財務長官は昨年1月の就任以来、公の場でドル相場についてほとんど言及してこなかったが、そろそろ発言せざるを得なくなるかもしれない。

イエレン氏は19日にドイツのボンで開幕する主要7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議に出席するが、折しも世界経済はこの10年間で最も厳しい状況にあり、その中心に位置するのが、万能であるかに見えるドルの役割だ。

ドルは主要通貨バスケットに対して過去20年間で最も強い水準にある。日本の政府関係者は円安に不快感を示し、ユーロ圏の政府関係者も今ではユーロが対ドルで20年来の底値と1ユーロ=1ドルに近づいていることが引き起こすインフレの影響に頭を悩ませている。

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は今週、ECBは為替レートの動向を「注意深く監視する」と述べ、「ユーロが弱すぎるのは、われわれの物価安定目標に反する」と指摘した。

イエレン氏はドル高に満足しているはずだ。ドルは輸入物価の上昇を抑える効果があるからだ。インフレ率は現在、40年ぶりの高水準にあり、消費者、企業、政策立案者にとって最も緊急な課題となっている。

財務省は1995年に当時のロバート・ルービン財務長官が「強いドルは米国の国益にかなう」と宣言した方針をほぼ守っており、ルービン氏を含め後継の財務長官はその後、この文言を何年にもわたり繰り返し口にした。

この政策は相場の具体的な水準には言及していない。しかし、政府が貿易を促進する自国通貨安に傾くという憶測を市場に与えず、しかも米国債利回りとインフレ予想をもコントロールするのに役立つように設計されていた。

トランプ前大統領は保護主義への広範なシフトの一環として、こうした政策の一切合切を投げ捨て、たびたびドル安への支持を表明した。トランプ政権下で財務長官を務めたムニューシン氏もドル安を歓迎する発言をしたが、恥ずかしいことに、その後撤回を余儀なくされた。

もちろん、イエレン氏は民主党の政治家だ。しかしムニューシン氏から財務長官職を引き継いでから、これまでほとんど為替レートの問題に触れていない。

上院で行われた指名承認の公聴会では、市場で決定される為替レートを信じており、商業的利益を得るために通貨安を狙うことは「容認できない」と述べた。

最近も米紙ウォールストリート・ジャーナルが主催するウェブキャストでこの発言を繰り返し、世界の他の国々と比較して米国の金利が上昇していることがドル高を助長していると指摘。「ある意味で、それは金融引き締め政策の機能の一部だ」とも述べ、これまでのドル高に満足していることを示唆した。

<2方向のリスク>

ことがそのように単純であれば、イエレン氏やG7諸国の財務相は、金利差が解消すればいずれドル高も収まると考えるだろう。

しかし、世界市場をさらに不安にさせかねない、行き過ぎたドル高に対して、「口撃」を発したくなる人がいるかもしれない。

バークレイズとゴールドマン・サックスのアナリストはドル相場がそろそろ頭打ちになりつつあると見ており、ゴールドマンはドルが既に18%割高な水準にあると推定しているが、それでも相場反転宣言には慎重な姿勢だ。

ECBの利上げ余地は米連邦準備理事会(FRB)より小さいかもしれない。日銀は10年物利回りを0.25%以下に抑えるという超低金利政策をいまだに堅守している。

スタンダードチャータードのFX戦略部長で年季の入ったG7ウォッチャーでもあるスティーブン・エングランダー氏は、日本の金融政策は円安と完全に一致しており、今回のG7の共同声明にドル高に対する日本政府の抗議が盛り込まれる可能性は低いと指摘している。

世界の主要先進国がドルの独歩高に対処するために協調行動をとったのは、1985年のプラザ合意が最後だ。

米国でインフレが高まり、FRBタカ派化し、世界の主要中銀間で金融政策の方向性が異なる今の状況は、1980年代初頭やプラザ合意までの期間と類似しているが、今回も同じ対応が取られるとの見方はほとんどない。

しかし会議の議題を決めるのは議長国であり、フランスの当局者から既にユーロを巡って不満が出ている以上、議長国ドイツがユーロの低迷とそれに伴うインフレ圧力についてもっと神経質になっているのは間違いないだろう。

ナティクシスの米州担当チーフエコノミストトランプ大統領の元顧問であるジョー・ラボルニャ氏は、イエレン氏がこの問題をできれば取り上げたいと思っているとは考えていないが、近い将来、取り上げることはあり得るとみている。

「米政権はドル安を望まないだろうし、確かに現時点ではそうだ。ドル安は金融環境を緩和するが、米国は金融の引き締めを望んでいる。しかし夏にかけてドル高が行き過ぎて、ユーロ圏でスタグフレーションが起きれば、考え方が変わるかもしれない」と述べた。

イエレン米財務長官は18日、ウクライナ戦争や対ロシア制裁によるエネルギー・食料価格高騰、中国経済の減速などが世界経済への脅威だと指摘しつつ、米中欧の同時リセッション(景気後退)はあり得ないとの認識を示した。主要7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議を前に述べた。

中国の「ゼロコロナ」政策により物品の生産が妨げられ、サプライチェーン(供給網)の問題が悪化して価格が上昇し、同国経済の成長鈍化につながっているようだと述べ、中国当局の政策対応を注視しているとした。

また、G7財務相はロシアへの追加制裁について、「ロシアに最大の損害を与えつつ、世界経済を悪影響から守るためどのように制裁を設計するのが最善か」を話し合うという。