【速報 JUST IN 】8年前入管施設で外国人男性死亡 国に賠償命じる判決 水戸地裁 #nhk_news https://t.co/bywupfTHg2
— NHKニュース (@nhk_news) 2022年9月16日
2014年3月、茨城県牛久市の入管の収容施設「東日本入国管理センター」に、収容されていた43歳のカメルーン人男性が死亡し、男性の母親は「不調を訴えていたのにもかかわらず速やかに救急搬送などを行わず適切な医療を受けさせなかった」などとして国に対して1000万円の賠償を求めていました。
これに対し、国は、専門的な知識のない職員が救急搬送の必要性があると認識するのは難しかったなどとして訴えを退けるよう求めていました。
16日の判決で、水戸地方裁判所の阿部雅彦裁判長は、施設の職員は、遅くとも男性が死亡する前日の夜の時点で救急搬送を要請すべきだったとしたうえで、「翌朝、心肺停止の状態で発見されるまで救急搬送を要請しなかった過失があると認められる」と指摘しました。
また、入管の対応と男性の死亡との因果関係については認めませんでしたが、救急搬送され医療機関で手当てを受けていれば延命の可能性はあったとして、165万円の賠償を国に命じました。
弁護団の会見では亡くなったカメルーン人男性の遺族の今回の判決を受けたコメントが読み上げられました。
このなかで遺族は訴えの一部が認められなかったことについて納得がいかないとしたうえで「愛する家族がまさか日本の国の施設内で見殺しにされるとは思っていませんでした。病院に行けずに死亡したのですから国に全面的な責任があるのではないでしょうか」としています。
判決のあと、弁護団は記者会見を開きました。
弁護団長を務める児玉晃一弁護士は「国の責任を認めたことは、高く評価したい。裁判長は入管に救急搬送の義務があり、それを怠ったことを非常に厳しい口調で指摘していたが、画期的な判断だったと思う」と述べました。
一方で、判決で国の過失と死亡との直接の関係を認めなかったことについては「どこまで立証すれば死亡との関係が認められるのか、という感じだ。国の施設で亡くなった人について、国が死因がわからないとしてしまえば『おとがめ無し』になってしまうのではないか」と述べて不服だという考えを示しました。
控訴するかどうかは、男性の遺族と話して決めたいとしました。
今回の判決を受けて「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子代表は「入管側の職員の対応に対して責任を認めたことは大きな一歩であると思う」と話していました。
一方、判決で国の過失と死亡との直接の関係を認めなかったことについては「病気を持っていたにも関わらず誰もいない医務室で、1人ベットに寝かされていたというのはとんでもない問題で、この時点で病院に搬送されていればこんな結果にならなかったと思う」と話しました。
そのうえで、田中さんは「入管施設は、人の自由を制限するのであれば、真摯に対応しなければならないと思う」と話していました。
出入国在留管理庁によりますと、収容施設での医療対応をめぐる訴訟は各地で起こされています。
▽去年1月には、長崎県の大村入国管理センターに収容されていた38歳のネパール人の男性が太ももにけがをしたのに、適切な治療を受けられず、股関節の一部が「え死」するなど、症状が悪化したとして、国を相手取り損害賠償を求める訴えを起こしました。
▽また、去年6月には、福岡出入国在留管理局の施設に収容されていた67歳の中国人の男性が、脳梗塞と診断されたにもかかわらず、病院での受診がすぐには認められないなど、適切な対応がとられずに多機能不全で死亡したとして、男性の娘が、国におよそ3000万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
▽ことし3月には、名古屋出入国在留管理局の施設で収容中に亡くなったスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)の遺族が、体調が悪化していたウィシュマさんに対し、入管が必要な医療を提供せずに死亡させたとして、国に1億5000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしています。
去年3月、名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていた、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(33)が体調不良を訴えて死亡した問題では、出入国在留管理庁が適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告書を公表しました。
この中では、当時、週2回、1回2時間勤務の非常勤の医師しか確保できておらず、ウィシュマさんが死亡した当日は不在だったことに触れ、常勤医の配置を含む改善策を示しました。
出入国在留管理庁では体制の強化を進めていて、去年3月時点で、施設内で医療を提供することになっている、全国に6か所ある収容施設のうち、常勤の医師がいるのは、長崎県にある大村入国管理センター1か所でしたが、現在は4か所になっています。
一方、名古屋出入国在留管理局を含む2か所は、常勤の医師を確保できておらず、非常勤の医師で対応しているということです。
出入国在留管理庁は「医師の待遇面を改善したり、兼業を可能とする法整備を進めたりして、安定した医療体制を構築していきたい」と話しています。
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