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講談師:一龍斎貞鏡さんとの対談①「青葉の笛、その歴史を感じに須磨寺へ」

ビジネスに関する訴訟などを専門に扱う裁判所、通称「ビジネス・コート」が全国で初めて東京 目黒区に開設され、11日、業務を開始しました。

「ビジネス・コート」は、海外企業が関わるケースなど国際化や複雑化が進む企業間の紛争に対応しようと設置され、特許や商標などを専門に扱う知的財産高等裁判所と、株主代表訴訟や破産手続きなどを扱う東京地方裁判所の3つの部がまとめて移転し、業務を行います。

建物は5階建てで、法整備が進められている民事裁判のIT化に対応した設備が設けられています。

法廷は18あり、大型のモニターが設置されています。

特許訴訟で製品の技術を説明するときなどに利用できるほか、遠隔地にいる証人を映し出し、尋問を行うことなども、今後想定しているということです。

このほか裁判官の執務室には、当事者との打ち合わせなどを行うウェブ会議の専用ブースも設けられています。

知的財産や経済紛争に詳しい裁判官や調査官、それにアドバイザー的な役割を担う弁理士公認会計士などの「専門委員」が1か所に集まることで、より専門性の高い審理や、課題となっている裁判の迅速化を進めることが期待されています。

ビジネス分野に特化した裁判所が国内にできるのは初めてで、11日、知財高裁が業務を開始し、今月中にはすべての部が開業する予定です。

ビジネス分野に特化した裁判所が開設された背景には、企業の技術力の向上に伴い訴訟に求められる専門性が高くなっていることや、スピード感のある審理がこれまで以上に求められている現状があります。

特許など知的財産権に関する訴訟の件数は1992年以降、おおむね500件前後で推移していますが、裁判所関係者によりますと、製品開発技術の進歩などで訴訟の内容が高度化する一方、新たな技術が生まれるスピードも速く、短期間での決着を求める声が多いということです。

また、グローバル化する経済分野で日本の国際的な競争力を高めるためにも、素早く的確な判断をするための司法の環境整備が必要だと指摘されています。

日本の民事裁判は膨大な書類のやり取りに手間と時間がかかることが大きな課題とされていて、IT化を進めるための法改正もことし5月に行われました。

「ビジネス・コート」は、専門的な知識を生かすとともに、新たに導入される仕組みや手続きを積極的に活用して、迅速な審理を行うことが求められます。

「ビジネス・コート」の責任者で東京地方裁判所の朝倉佳秀所長代行者は「経済のグローバル化に伴い紛争自体が国際的なものになっているうえ、企業の経営や管理の在り方も変化している。事件の中身もスピード感も5年前と比べて格段に違う。ビジネス関連の部署を1か所に集中させることで、国際的に通用するような知見や情報を共有し、対応していきたい」と話しています。

「ビジネス・コート」で活用が期待される制度の1つが「知財調停」です。

知財調停」は特許や商標、著作権などの知的財産に関わる紛争を、当事者どうしの非公開の話し合いによって短期間での解決を目指す制度で、2019年10月に始まりました。

申し立ては、知的財産権部がある東京と大阪の地方裁判所に行い、裁判官や弁理士などでつくる調停委員会の助言を得ながら、原則として3回程度の話し合いで結論を出すことになっています。

知的財産関連の紛争を専門的に扱う小林幸夫弁護士によりますと、担当した商標に関する知財調停では、およそ半年で結論が出て、必要な書類や証拠も裁判を行った場合の3分の1程度に抑えられたということです。

また、訴訟をリスクと考える企業にとって非公開で行えるメリットも大きいといいます。

小林弁護士は「裁判で時間をかけて争っているうちに商標であれば使われなくなったり、特許であれば新しい技術が出てきたりして、裁判を進めるメリットがなくなってしまう。ビジネスなので、多少満足できない結論になったとしても早く決着できる利点は大きい」と話します。

一方、利用は伸び悩んでいます。

最高裁判所によりますと、3年前に導入されてからことし8月末までに申し立てられた件数は合わせて32件にとどまるということです。

これについて小林弁護士は、制度自体が企業や弁護士の間でも知られていないことが要因の1つではないかと指摘します。

そのうえで、「1つの建物に専門家が集まれば情報交換も密になり、理解も早いと思うので、充実した審理ができてスピードも加速すると考えている。ビジネス・コートの開設をきっかけに訴訟や調停をすることは悪いことではなく、ビジネスの一環だという認識が広まれば、日本の知的財産分野の活性化につながるのではないか」と話していました。

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