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ことしの「警察白書」は14日、閣議決定されました。

例年、夏に公表されていますが、ことしはその直前に安倍元総理大臣が銃撃され死亡する事件が発生したため、警察庁は公表を遅らせて内容を修正しました。

「警備実施」の項目では、当初、紙面を割いていた「機動隊の活動」などの内容を大幅に削除したうえで銃撃事件を新たに取り上げ「警護対象者の生命を守ることができなかったことを極めて重く受け止めている」と記しています。

そのうえで、警備の検証・見直しの結果を図表を使って説明していて、都道府県警任せにしてきた警護運用を抜本的に見直し、警護・警備計画の作成や現場の態勢などの検討の過程で警察庁の関与を強めていくことなどを記載しています。

このほか、白書では、去年の摘発が全国で1万2000件余りと過去最多となったサイバー犯罪などを特集していて「ランサムウェア」と呼ばれる不正プログラムによる深刻な被害の実態や新たな手口などを詳しく紹介しています。

厚生労働省によりますと、令和元年度までの5年間に全国の自治体が把握した精神科病院内での虐待の疑いがある事案は72件で、このうち病院側からの通報は35件と全体の半数程度にとどまっています。

14日、閣議決定された精神保健福祉法の改正案では、精神科病院での虐待を防ぐため、病院の管理者に職員などへの研修や患者への相談体制を整備することを義務づけています。

そのうえで虐待を受けたとみられる患者を発見した人は、速やかに都道府県などに通報することを義務づけ、通報した職員が解雇などの不利益な取り扱いを受けないことを明確化するとしています。

また、通報を受けた都道府県などが虐待の状況を公表するほか、国が実態調査を行うとしています。

障害者への虐待を巡っては、障害者虐待防止法では福祉施設や会社などには自治体への通報義務を定めていますが、医療機関は対象外で、精神科病院での虐待は早期に把握することが難しいと専門家などが指摘していました。

精神保健福祉法の改正案は、今の臨時国会で成立すれば、再来年4月から施行されるということです。

精神科病院で虐待を受けたとみられる患者を発見した場合の通報の義務化に先立って、精神科の病棟がある東京都内の病院ではチェックリストを作って、みずから助けを求めるのが難しい患者の小さな変化を見逃さず、虐待を早期に発見しようとしています。

東京 小平市にある国立精神・神経医療研究センター病院には、統合失調症うつ病などの精神疾患の患者を受け入れる病床が191床あります。

これまで病院では患者への虐待を防ぐため、看護師どうしで患者を呼び捨てにしたり、子ども扱いしたりしていないか、患者を尊重した接し方ができているか、1年に2回確認してきました。

さらに病院では通報の義務化に先立って、早期に虐待を発見するためのチェックリストを新たに作りました。

チェックリストでは「体に小さな傷が頻繁にみられる」「急におびえたり、こわがったりする」など虐待の兆候となりうるおよそ50の項目を挙げ、みずから助けを求めるのが難しい患者の小さな変化を見逃さないことを目指しているということです。

病院で精神科の医長を務める野田隆政医師は「精神科の病院は閉鎖的になりがちなので、今回の法改正で患者への対応が意識化されることで、患者をより尊重した医療が提供できるいいきっかけになると考えている」と話しています。

最高裁判所の裁判官の国民審査で、海外に住む日本人も投票できるようにする法案が閣議で決定されました。

最高裁判所の裁判官の国民審査は、衆議院選挙に合わせて行われ、対象となる裁判官の名前が印刷された投票用紙が使われています。

投票用紙の発送に時間がかかることなどを理由に、現在は海外に住む日本人の投票が認められていませんが、最高裁判所大法廷はことし5月、憲法に違反するという初めての判決を言い渡しました。

このため、政府は、14日の閣議で在外投票を可能にする国民審査法の改正案を決定しました。

在外投票では、国内とは異なり、裁判官の名前ではなく、1から15までの数字が印刷された投票用紙が使われます。

そして、国民審査の告示の日に決まる対象者の順番が名前とともに示され、やめさせたい人がいれば数字の上に「×」を書く方法で行われるということです。

政府は、今の国会で法案の成立を目指すことにしています。

ことし7月の参議院選挙は、選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で3.03倍の格差があり、2つの弁護士グループが「投票価値の平等に反し、憲法に違反する」などと主張して選挙の無効を求める訴えを全国で16件起こしていて、初めての判決が14日、大阪高等裁判所で言い渡されました。

判決で、牧賢二裁判長は「3倍を超える憲法上大きな問題がある格差がおよそ7年間継続しており、常態化することも危惧される。前回選挙後、法改正が行われず今回は、格差がわずかだが拡大した。選挙制度の議論や検討は具体性に乏しく、格差是正に向けた国会の姿勢は弱まっている」として、1票の格差が憲法の求める投票価値の平等に反した「違憲状態」だったとする判断を示しました。

一方で「最高裁が前回、前々回の選挙について『合憲』と判断した際、選挙制度の見直しの必要性を明確に示しておらず、国会は今回の選挙までに1票の価値が著しく不平等になっていたことを認識できなかった」として、今回の選挙を憲法違反とは認めず訴えを退けました。

判決が言い渡されたあと、大阪高等裁判所の前では原告側の弁護士らが、「違憲状態」と書かれた紙を掲げました。

原告の代理人の升永英俊弁護士は「ことしの参議院選挙についての最初の判決で『違憲状態』の判断が示された意義は非常に大きい。人口に比例した選挙が行われる国民主権国家に変わる潮目ができつつある」と話していました。

国政選挙での1票の格差が憲法に違反するかどうかが争われる裁判の判決のニュースでは「合憲」や「違憲」のほかに、「違憲状態」というわかりにくい表現が使われます。

この「違憲」と言い切らずに「状態」がついた判断は、どういうことを意味しているのでしょうか。

1票の格差をめぐる裁判は、選挙区によって有権者が投ずる1票の価値に大きな格差があることが「投票価値の平等を保障した憲法に違反している」として選挙を無効にすることを求める訴えです。

こうした裁判では多くの場合、裁判所は訴えを認めるかどうか審理に当たり、2段階で検討を進めています。

まず検討するのは「選挙当日、選挙区の間で生じた格差が著しく不平等だったといえるかどうか」です。

この第1段階で、数値上の評価として「著しく不平等」だとする認定が「違憲状態」と表現されるものです。

しかし、この段階ではまだ「憲法違反」と言い切らないのです。

裁判所は、さらに第2段階の検討を進めます。

憲法は選挙区や投票方法を法律で決めると定めていて、国会はどのような制度を採用するか大きな裁量をもっています。

しかし、実際に選挙制度を変えようとすると政党や議員によって立場や考えが異なるため意見を調整するのにどうしても時間がかかります。

このため、第2段階の検討では「違憲状態」と評価した選挙が実施されるまでに国会がどれくらい真剣に格差是正に向けて取り組んだのかや、また、どのくらいの期間、選挙制度を検討する時間的な余裕があったのかを見極めるのです。

その結果「十分に時間があったにもかかわらず、漫然と放置した」と評価されると初めて「憲法違反」「違憲」という判決になります。

つまり「違憲状態」の判決とは「1票の格差が数値の上では、著しく不平等なんだけど、国会が是正するための取り組みを怠っていたともいえないので、トータルでみて憲法違反とまではいわない」という裁判所の評価です。

ただ「違憲状態」にとどまったとしても国会は安心することはできず、格差の是正に向けた取り組みを進めなければ次の選挙では「憲法違反」と判断される可能性を裁判所に指摘されたともいえます。

#法律

衆議院小選挙区を「10増10減」するための法案をめぐって、自民党は、今週、選挙制度調査会などの合同会議で2日間議論し、「地方の声が反映されにくくなる」などの指摘が相次いだものの、最終的に「1票の格差を是正するために必要だ」として了承されました。

そして、14日に開かれた総務会で議論が行われた結果、了承され、党内の手続きを終えました。

公明党も、すでに了承していることから、政府は、法案を今の国会に提出し、早期成立を目指す方針です。

一方、総務会では、逢沢選挙制度調査会長が、選挙制度の抜本的な見直しに関する議論の場を党内に設けたいとの意向を示しました。

遠藤総務会長は、記者会見で「国民が理解でき、信用できる制度をつくることが最大の課題になるので、しっかり取り組んでもらいたい」と述べました。

立憲民主党小西洋之参議院議員質問主意書で「岸田政権は旧統一教会の何が社会的に問題だと考えているのか」とただすとともに、文化庁が宗教法人法に基づく「解散命令」の請求を裁判所に行っていない理由を質問しました。

これに対し政府は、14日の閣議答弁書を決定しました。

答弁書では旧統一教会について「悪質商法や親族の入信に起因する家族の困窮など、さまざまな問題が指摘されている状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体だと認識している」としています。

一方、「解散命令」の請求については「憲法の定める信教の自由の保障などを踏まえれば、所轄する庁の関与は抑制的であるべきで、法人格を剥奪する極めて重い措置の解散命令の請求は十分慎重に判断すべきだ」としています。

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#政界再編・二大政党制