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先週、新たに起用されたイギリスのハント財務相は17日、トラス政権が9月、打ち出した大型減税策について、「ほぼすべてを撤回する」と発表しました。

具体的には19%に引き下げるとしていた所得税の基本税率を20%に据え置くなどとしています。

トラス政権が打ち出した減税策をめぐっては、財政悪化への懸念から通貨ポンドがドルに対して急落するなど市場の混乱を招いたと指摘され、先週、法人税の引き上げを凍結するとしていた政策を撤回すると発表したばかりでした。

またハント財務相は17日、減税策とともに経済対策の柱としていた光熱費の抑制策について、巨額の財政負担が必要となることから来年4月以降は、見直すことも明らかにしました。

そして「経済成長には信頼と安定が必要で、今、イギリスにとって最も重要な目標は安定性だ」と強調しました。

政策の見直しを受けて、財政悪化への懸念が和らいで通貨ポンドが買い戻され、17日のロンドン外国為替市場では、ポンドは対ドルで一時、1ポンド=1.14ドル台前半を付けました。

看板政策が次々と撤回される異例の事態に与党・保守党内でもトラス首相の責任を問う声がさらに強まっていて、トラス首相は就任から1か月余りで苦しい立場に追い込まれています。

ハント英財務相は17日、市場の混乱を招いたトラス政権の450億ポンドの減税計画について、ほぼ全てを撤回すると表明した。光熱費の支援も抑制し、1000億ポンド以上が費やされると見込まれていた2年間の家計・企業向けエネルギー支援策は4月までに短縮される。

同相は経済成長を目指す前に信頼と安定を確保する必要があると主張。減税計画の変更により、毎年320億ポンド(360億ドル)の歳入が得られるとの見通しを示した。これを受け、ポンド/ドルは一時1.4%高の1.1332ドルを付けた。

財政赤字の縮小に向け歳出削減が必要とも述べた。

政府は最善の方法を検討し、「納税者の負担が計画より大幅に軽減するような」的を射た対策を打ち出す予定。

トラス首相は、安定を維持しつつ成長するための新たな道筋を描くと述べた。

英国のハント新財務相は17日、トラス氏が先に打ち出した減税を通じて経済成長を押し上げるという基本政策をほぼ全面的に撤回する方針を表明した。具体的な修正ポイントは以下の通り。ハント氏によると、これらによって320億ポンド(361億9000万ドル)の増収が期待できる。

所得税

トラス氏は所得税の基本税率を、従来の予定より1年前倒しで来年4月に20%から19%に引き下げる計画だった。しかしハント氏は恒久的に20%のままにするとしている。

財務省の試算では、これで年間約60億ポンドが国庫に入ってくる。

既に所得税最高税率引き下げも撤回された。

◎エネルギー料金支援

ハント氏は、家庭と企業のエネルギー料金支払いに関する政府支援措置を来年4月までの期間にとどめ、その後は支援対象を絞り込む方向で見直すと説明した。

個人事業主向け税制改革

ハント氏は、個人事業主の収入増を図る上で必要とされた一部課税ルールの廃止案も撤回した。ルールを廃止すると、個人事業主と契約を結ぶ企業にとって手続きの複雑さが増すとの批判があった。

クワーテング前財務相は、規制緩和や成長促進の一環としてこの課税ルール廃止を約束していた。

ハント氏の発言を踏まえ、財務省は同ルールを維持すると年間約20億ポンドの財政負担が軽減されるとの見通しを示した。

法人税

現在19%と先進7カ国(G7)で最も低い英国の法人税率は、来年25%に引き上げる。トラス氏はこれまで税率を19%に据え置く意向だった。

財務省の試算に基づくと、税率を19%に維持した場合、向こう5年間の財政負担は675億ポンドに達していた。

◎配当課税

ハント氏は、来年から配当金に適用する税率を1.25%ポイント引き下げる計画も取りやめた。この減税に伴う財政負担は年間約10億ポンドとみられていた。

米金融大手ゴールドマン・サックスは、2023年の英国内総生産(GDP)予測を前回の前年比0.4%減から1%減へ下方修正し、景気後退が深刻化すると警告した。トラス英首相が先週クワーテング財務相を解任し、法人税減税策を撤回したのが背景にある。

23年末のコアインフレ率は3.1%と予想し、前回予想の3.3%から下方修正した。

ゴールドマンのアナリスト陣は、16日付の投資家向けのノートで「経済成長の勢いの低下、より著しく引き締まった金融状況、来年4月からの法人税引き上げを考慮して英国の成長見通しをさらに引き下げ、より著しい景気後退が起こると予想している」と記した。

ゴールドマンは数日中のさらなる政策転換の可能性を示唆したが、エネルギー価格保証については冬期に家計を守るために必要なため見直しの可能性は低いとした。

また、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)への積極的な引き締め圧力は弱いと見ており、政策金利のピーク予想を5%から4.75%に引き下げた。BOEが11月、12月にそれぞれ75ベーシスポイント(bp)利上げすると予想した。

アナリスト陣は「コアインフレ率の高止まりと労働市場の逼迫継続は、BOEが依然として金融政策を大幅に引き締める必要があることを示唆している」と指摘。ただ、「トラス首相の政策転換を受け、BOEが今後の会合で積極的に対応する圧力は弱まると考えている」ともコメントした。

トラス英首相は17日、クワーテング前財務相を解任した理由を巡る議会審議に姿を見せず、討論の最後になって到着した。到着後も一切発言せず、ハント新財務相の声明を聞くと30分足らずで退席した。

モーダント下院議長は首相が欠席した理由について「極めて正当なもの」だとしたが、詳細は明らかにしなかった。

労働党はトラス氏に「現在の経済状況下での財務相の交代について」説明するよう求めていたが、代わりにモーダント氏が答弁。「首相は緊急の要件で拘束されている」と述べ、野党議員らの失笑を買った。

トラス英首相は17日の、政権発足早々に打ち出した大型減税などの政策面で「失敗」があったと認めて国民に謝罪したが、辞任する考えはないと明言した。

「私はこれまでの間違いの責任を受け入れ、謝りたい。エネルギー料金の負担に苦しむ国民に手を差し伸べるために、高い税金の問題を何とかしようとしたかった。だが、踏み込み過ぎたし、拙速でもあった」とBBCに語った。

トラス氏は当初財務相に起用したクワーテング氏を更迭し、後任となったハント氏は結局、大型減税案の大部分を撤回するとともに、エネルギー料金負担支援措置も縮小するなど、財政政策を大幅に軌道修正した形だ。

このため、もはや政権は事実上ハント氏が切り盛りし、「お飾り」の存在になったのではないかと質問されたトラス氏は、自身が方向転換の必要性を承知したからこそ、ハント氏を任命したと強調。「私が行動せず現状維持のままであったなら、国益の観点でどこから見ても無責任のそしりは免れなかった。われわれが政策を変えたのは正しかった」と述べた。

その上で、次の総選挙まで与党保守党を率いると表明し「私は今の場所にとどまる。なぜならこの国のために仕事をするように選出されたのだから。それが私の決意だ」と言い切った。

自身の政策が及ぼした影響については、家計にとって非常に困難な状況であることは認識しており、支援のためにできることをすると答えた。ただ、当初予定していた2年間の家計・企業向けエネルギー支援策は来年4月までに短縮される。

トラス氏は「最も脆弱な人たちは、来年の冬まで保護されるだろう」とし、対応については検討中だとした。

トラス政権は、イギリス国内のインフレ率が記録的な水準となる中、大型減税によって経済成長を促す政策を掲げてきました。

しかし、財政悪化への懸念から、通貨ポンドがドルに対して急落するなど市場の混乱を招いたと指摘され、看板政策を相次いで撤回したうえ、今月14日には政権発足から1か月余りで財務相を解任する事態となりました。

こうした中、トラス首相は17日、BBCのインタビューで「これまでの過ちの責任を認め、謝罪したい。光熱費の支払いや高い税率に直面する人たちを助けたかったが、われわれの対応は度がすぎ、性急すぎた」と述べ、これまでの政権運営の非を認めました。

そのうえで「経済の安定性を取り戻すため、新しい戦略を持った財務相を新たに任命した。今は国民のために仕事をすることに集中している」と強調しました。

そして、与党・保守党の中からも辞任を求める声が上がっていることについては「私は次の総選挙に向けて党を率いていく。わが国は今、非常に厳しい状況にあり、党内の話に時間を費やしている余裕はない。それが私の党内へのメッセージだ」と述べ、辞任を否定しました。

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トラファルガーの海戦」は1805年、スペインのトラファルガー沖で、ネルソン提督率いるイギリス艦隊が、ヨーロッパの支配を目指していたナポレオンのフランスとスペインの連合艦隊をやぶった戦いです。

この戦いでイギリス側がスペインの軍艦から奪った巨大な国旗が17日、ロンドンのグリニッジにある国立海洋博物館で60年ぶりに一般公開されました。

職員たちが展示スペースに旗を慎重に広げていくと、横14.5メートル、縦10メートルの、赤と黄色のスペイン国旗が姿を現しました。

戦いの際、敵味方を区別するため船の後ろに掲げられたという国旗には、銃弾や砲弾によって開いた穴のほか、硝煙によるとされる変色があちらこちらに見られます。

旗は、戦いを勝利に導きながら戦死したネルソン提督の国葬でも、セントポール大聖堂に掲げられたということです。

旗について国立海洋博物館のロバート・ブライス上席学芸員は「『トラファルガーの海戦』の象徴で、ヨーロッパ全体が戦争状態にあった時代を今に伝えるものです。こうした出来事が再び起きないことを願っています」とロシアによるウクライナへの軍事侵攻も念頭に話していました。

この旗は「トラファルガーの海戦」から217年となる今月21日まで公開されます。

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