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急速な円安を受けて、JETRO日本貿易振興機構が輸出への影響を品目ごとに調べたところ、半数近くで輸出の数量が伸びていたことがわかりました。一部では円安のプラス効果も出ていることが伺えます。

この調査は、急速な円安などが日本の輸出や輸入に与える影響を調べようと、JETROが今月、まとめました。

この中で、ことし1月から6月までの半年間に日本から輸出された食料品や機械などの数量を品目ごとに調べたところ、4199品目のうち、半数近くの1942品目で、去年の同じ時期より数量を伸ばしていたことがわかりました。

一部では円安のプラス効果も出ていることが伺えます。

例えば、食料品では、日本酒などの発酵酒や、みそやソースなどの調味料、牛肉などが好調で、輸出の数量が増えた品目の金額をあわせると、食料品全体の額の7割余りを占めるということです。

ただ、財務省が、今月発表したことし4月から9月までの直近の半年間の貿易統計では、輸出数量の全体の指数が前の年の同じ時期より減少しています。

JETRO伊藤博敏国際経済課長は「全体としては輸出数量は伸びていないが、それでも半数近い品目が数量を伸ばしている。円安による海外での販売の促進効果は輸入コストの上昇より遅れて今後、出てくる部分もあると思う」と話しています。

#経済統計

日銀の黒田総裁は、24日の参議院予算委員会で最近の物価上昇について「最近の急速な円安の進行が資源高と相まって輸入物価の上昇をもたらし、消費者物価の押し上げ要因になっている」と述べ、円安の影響が大きくなっているという見方を示しました。

その上で、「賃金の上昇率が物価の上昇率を下回り、極めて好ましくない状況だ。今のコロナからの景気回復をしっかりと支えて、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定目標が達成されるように最大限の努力を払ってまいりたい」と述べ、いまの大規模な金融緩和を続け、景気を支えていく考えを強調しました。

一方で、物価の先行きについて黒田総裁は、「年明け以降はコストプッシュ型の物価の押し上げ要因は収まっていくことで、物価上昇率のプラス幅は徐々に縮小していく。来年度以降の消費者物価の前年比は、2%を下回る水準まで低下していくと考えている」と述べ、物価上昇は一時的だという認識を改めて示しました。

1997年から1999年にかけて旧大蔵省で為替政策を統括する財務官を務め、24年前の「ドル売り円買い」の市場介入を指揮するなど、積極的な市場介入を繰り返して「ミスター円」と呼ばれた榊原英資氏は、市場介入はサプライズをねらってやるものだが、円安阻止の介入の難易度は高いと指摘します。

Q.一向に歯止めのかからない円安に対して、政府・日銀は21日のニューヨーク市場で再度の市場介入を実施したほか、24日の東京市場でも市場介入を実施したという観測が広がっている。介入のねらいは?

A.僕が市場介入をやったときは、できるだけマーケットに対してサプライズになるように心がけていた。
例えば昼休みの時間帯とか、これからお盆休みに入る時とかね。
だから、今回もおそらく日本時間の深夜とか予期しないタイミングをねらった当局の意図だと思う。
介入をマーケットに先取りされるのは嫌だし、介入するからには効果を持たせないといけないから、ドンとやるってことが大事。

Q.市場介入の事実を明らかにしていない。「覆面介入」にしている理由は。

A.介入の実績はいずれは公表されて分かるが、しばらくは隠しておきたいときには、今回のようないわゆる「覆面介入」にする。
これはなぜかと言えば、マーケットに対して‘不確実性’を残しておきたいからだ。
マーケットを多少、疑心暗鬼にさせて介入の影響力を残しておきたいわけで、どのタイミングで実施したのかということを知らせないほうが一定の効果を持つ。
公表しないのも1つの戦略だ。
最終的には大臣判断だが、公表も含めて財務官が方針を決めていると思う。

Q.財務省の神田財務官は、市場の投機的な動きに対じするため「24時間365日」の態勢をとっていると話す。OBとして今の緊張感はどれほどだと推察するか。

A.これは当たり前のことだ。
財務官というものは、常に為替を見ているもの。
それでもわざわざ「24時間365日」と表現するのは、今がある意味で非常事態、臨戦態勢をとっていると言いたかったのではないか。

Q.政府は断続的に介入する姿勢をみせているが、いつまで続けられると思うか?

A.円安阻止のための介入は実はあまり効果がない。
円高阻止の介入は円をどんどん売って、ドルを買えばいいわけだから、売る円はいくらでもあってどこまでもできる。
僕が国際局担当のときの為替担当の課長は勝栄二郎(のちの財務事務次官)だったが、そのときは「勝よ、勝つまでやりきりなさい」と指示を出したくらいで、それだけ円高阻止の介入は強気になれたことをよく覚えている。
一方で、円安阻止の介入はドルを売らないといけないが、持っている外貨準備にはかぎりがある。
僕が円安介入をやったときは外貨準備高の10分の1を使ったタイミングで「もうこれ以上はできない」と思って止めざるをなかった。
手持ちの外貨準備にかぎりがある以上、円安阻止はかなり難しい。

Q.それでも今回は介入に踏み切っている。

A.それは重々承知の上でやっているんだろう。
効果が続かないかもしれないけども、一応円安阻止の姿勢として、介入してみせているということだと思う。
まだまだやるぞっていうポーズはとらないといけない。

Q.一方で、アメリカのバイデン大統領は「ドル高を懸念していない」と発言し、ドル高を容認する意向。日本政府にとって円安ドル高是正のハードルはどこまで高い?

A.アメリカは昔から強いドルを志向する傾向がある。
私が財務官だったときのカウンターパートはローレンス・サマーズ財務長官だったが、電話1本で連絡をとるくらい気脈が通じていた。
それこそG7などの国際会議の場で年に何度も直接顔を合わせるし、今だってそうだろう。
介入するときには常にアメリカと連絡をとって了解をとらないといけないから、介入がすでに実施されたということはアメリカも反対せずに容認しているということだ。

Q.かつては「円は安全資産」の代名詞だったが、今は投機的な対象になっているとの指摘も。この先「円」はどうなるの?

A.円が安全資産というのは大きく変わったわけじゃない。
これは日米の金融政策の差で生じている現象だ。
アメリカが利上げに走っている一方で、日本は金融緩和を続けるということであれば当然ドル高円安になるわけだ。
日銀の黒田総裁の任期は来年の4月で、黒田総裁は当面は金融緩和を続けると言っているので、円安基調は変わらない。
そういう状況はしばらくは続くだろうし、むしろ円安は今後も加速する可能性がある。
例えば来年の末ぐらいには今より20円、円安が進んで170円ぐらいになっている可能性もある。
ただ、円が信認を失ったとまでは思わないので、日銀が金融引き締めの姿勢を見せれば円高に振れるんだろう。
もちろん日本経済の状況によるが、そこまで悲観的にならなくてもよいはずだ。

日銀出身で市場介入に携わった経験もある、JPモルガンチェース銀行の佐々木融 市場調査本部長は、円安の流れを変えるには、日本への投資を促す政策を実行するとともに、円安を生かすような政策も求められると指摘します。

Q.円安の根本的な原因は?

A.1つは貿易赤字の急拡大。
貿易赤字は今年1月から9月までで、すでに14兆円の赤字となり、過去最大の年間の赤字額である12兆円を上回っている。
2つ目の原因は、日本と海外各国との金利の差が拡大していること。
各国の中央銀行が積極的に利上げを実施している中で日本は金融政策を変更しておらず、金融政策の違いによる金利差の拡大が原因だと考えられる。

Q.円安が示すことは何か。

A.これだけ円が弱いのに誰も円を買わなくなっているところがポイントだ。
日本株はかなり割安になっているはずだが外国人投資家はそれでも買わない。
日本の全体的な弱さというものが原因となってこれだけ安くなっても日本にお金が流れてこないということがあるのではないか。

Q.円安に歯止めをかけるにはどうすればよいのか。

A.まずは金融政策の変更がある。
日銀が金融政策を正常化することである程度、円安の流れを止めることはできる。
もう1つ期待しているのはインバウンド。
海外からの訪問客が増えて日本で活発に消費すればある程度、円安の流れが止まる可能性はある。
ただ、根本的なところで円安の流れを変えるには日本への投資を促進したり、日本企業が日本に戻ってきて投資をしたりするようなことを後押しする政策がなければならない。

Q.日銀に求められることは?

A.金融緩和を続けているので急に態度を変えることは難しいが、日銀が発行する通貨の価値を安定させることは日銀の使命でもある。
物価が上がるところだけを注目するのではなく、円の対外的価値が下落し日本人の購買力を失っているところにも着目して、金融政策を行うことが重要だ。
円という通貨の価値を分析し、その結果をもとに金融政策の方向性を示すことが重要だ。

Q.日本はどうすれはよいのか。

A.投機筋が動いているからというのではなく、なぜ投機筋が集まってくるのか、なぜこんなに大きな為替の動きになっているのかという根本的なところに着目してそれを変えるようなことをやるべきだ。
日本にとって今、必要なことは円安を有効活用するような政策を行うことだ。
海外からのインバウンド客を引き付ける政策も重要だし、円安を生かして輸出できるものを輸出するということも必要だと思う。
あるいはこの円安を生かして、日本企業に日本に戻ってきてもらう政策も必要になる。

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#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政