イスラエル 連立政権が発足 ネタニヤフ元首相が返り咲く #nhk_news https://t.co/ok67imxMmN
— NHKニュース (@nhk_news) 2022年12月29日
イスラエルでは右派とそれ以外の政治勢力がきっ抗し不安定な政治が続くなか、11月、3年半で5回目となる総選挙が行われ、議会第1党となった右派政党「リクード」を率いるネタニヤフ元首相が連立交渉を進めていました。
その結果、ネタニヤフ元首相はパレスチナ人の追放などを訴える極右政党と宗教政党との間で連立政権の発足で最終的に合意し29日、議会で承認されました。
これにより、ネタニヤフ元首相はおよそ1年半ぶりに首相に返り咲きました。
新たな連立政権では、極右政党の議員が財務相や国家治安相として重要閣僚入りすることになり、これまでで最もパレスチナに対して強硬な政権となっています。
新政権が今後、国際法に違反して建設されているユダヤ人入植地のさらなる拡大などを進めれば、パレスチナ側の反発を招き対立を深めかねず、すでにアラブ諸国からは懸念が示されるなど、今後の中東情勢にどのような影響を与えるかが焦点となっています。
ネタニヤフ元首相は去年6月に政権を失うまで、イスラエルの政治史上最も長い延べ15年にわたって首相を務め、敵対するイランやパレスチナの治安対策など、安全保障政策を特に重視することで強固な支持を築いてきました。
しかし、近年は自身の汚職疑惑などもあり、政権を安定して維持することができませんでした。
今回の連立政権には政治的スタンスで大きな隔たりがない極右政党などを取り込んだことでこれまでよりは安定した政権運営ができると見られています。
一方、今後の政権運営にあたって焦点となるのが、アメリカのバイデン政権との関係です。
2010年、当時のネタニヤフ政権はバイデン大統領がオバマ政権の副大統領としてイスラエルを訪問したさなか、事前の告知なく、国際法に違反するユダヤ人入植地の拡大を発表しました。
バイデン氏としては顔に泥を塗られた形となり、これを機にネタニヤフ元首相との関係は悪化したとも伝えられています。
ただ、バイデン大統領は今回、ネタニヤフ氏の選挙での勝利が決まると、これを打ち消すかのようにすぐにネタニヤフ氏と電話会談しアメリカとしてのイスラエルへの揺るぎない支持を強調しました。
その一方、バイデン大統領は就任以降、イスラエルとパレスチナの2つの国家が共存する「2国家解決」の重要性を強調し続けていて、新たな連立政権が2国家解決をないがしろにするような政策を進めれば、バイデン政権も対応を迫られることになります。
新たに発足する連立政権ではパレスチナ人の追放などを主張する極右政党からも重要閣僚に就任します。
このうち、国家治安相に就任することになったのが過激なパフォーマンスで人気を集めるイタマール・ベングビール氏です。
ベングビール氏は、10代のころから極右の過激派の人物として知られていて、人種差別の扇動で有罪判決を受けるなど異例の経歴を持っています。
国家治安相としては警察の取締りの方針などを所管する権限を与えられ、パレスチナ人の取締りの強化などをめぐって、対立が深まる可能性があります。
一方、財務相に就任するのが、ベツァレル・スモトリッチ氏です。
スモトリッチ氏は占領下にあるパレスチナのヨルダン川西岸地区を管理する権限の一部も与えられていて、国際法に違反するユダヤ人入植地のさらなる拡大や既成事実化を進めれば、パレスチナ側からの反発が予想されます。
イスラエルのメディアは、極右政党からの閣僚入りをめぐってはアメリカのバイデン政権が懸念を示しているとも伝えていました。
ブリンケン国務長官は政権発足前の今月、新政権について「人物ではなく政策で評価する」と強調していますが、今後のバイデン政権との関係にどのような影響を与えるかも焦点となっています。
イスラエルでネタニヤフ元首相が率いる連立政権が発足したことを受けて、アメリカのバイデン大統領は29日、声明を発表し「ネタニヤフ氏は長年の友人であり、イランによる脅威を含め、イスラエルや中東地域が直面する課題に共に取り組んでいくことを楽しみにしている」と歓迎しました。
一方で声明は「われわれは政権発足当初からイスラエル・パレスチナ間を含めた地域の平和の促進に向けて取り組んできた。アメリカは引き続き『2国家解決』を支持し、それを脅かす政策には反対する」とも言及し、新政権がパレスチナに対してこれまでで最も強硬な政権になるとされていることを強くけん制しました。
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