米財政収支、5月は2400億ドルの赤字 メディケア支出急増 https://t.co/0vW39L1pNe
— ロイター (@ReutersJapan) June 12, 2023
米財務省が12日発表した5月の財政収支は2400億ドルの赤字だった。歳入減のほか、高齢者向け公的医療保険「メディケア」支出の急増を受け、赤字は前年同月の660億ドルから急拡大。ロイターがまとめたアナリスト予想中央値の2360億ドルも上回った。
4月は1760億ドルの黒字だった。
5月の歳入は前年同月比21%減の3070億ドル。歳出は20%増の5480億ドル。メディケアへの支出が3倍に増えたことが響いた。
2022年10月─23年5月の8カ月間の財政赤字は1兆1650億ドル。前年同期は4260億ドルだった。
#経済統計(アメリカ・財政収支)
アングル:主要中銀、ガイダンスから徐々に脱却 インフレ再来で https://t.co/qoFfUPquTJ
— ロイター (@ReutersJapan) June 13, 2023
主要中央銀行は過去15年間、今後の方針について具体的なフォワードガイダンス(指針)を示し、予見可能な金融政策運営を行ってきた。しかし今、各行は金利の変更や据え置きを不規則に行い、時にはサプライズも起こすという、かつての不明瞭な政策運営に戻ろうとしている。
この背景には、インフレの再来によって金利変更の頻度が高まるかもしれないとの認識がある。
2007年に始まった金融危機からユーロ圏債務危機、低成長、石油価格下落、新型コロナウイルスのパンデミック、そして戦争と危機が相次いだ15年間、主要中銀は確固とした、そして往々にして詳細なガイダンスを示してきた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は先月、「コミュニケーションは誤解というコストを伴う上、柔軟性が制限される可能性がある」と指摘。「フォワードガイダンスは次のような時には慎重に使うべきだ。すなわち政策軌道が十分に理解されている時。もしくは、それとは反対に、政策軌道が将来の不確実な動向に左右されるあまり、将来について建設的なことをほとんど言えない時だ」と述べた。
現状は後者にあてはまる。先進国の中銀は今なお40年ぶりの高インフレの抑制に奮闘しており、どこまで政策金利を引き上げるべきか、そして利上げに経済がどう反応するか、確信を持てていない。
<各中銀がガイダンス脱却>
中銀がリスクや見通しについては語る一方、金融政策パスについては明示しない時代への回帰は、散発的に始まろうとしている。
オーストラリア準備銀行とカナダ銀行は先週、国民の政策金利見通しを一定方向に導く努力をまったく、もしくはほとんど払わないままに利上げを再開した。インフレが予想以上に根強いことが分かったからだ。
イングランド銀行は2月に明示的なガイダンスを廃止し、政策決定をインフレ統計にひも付けた。物価が上がり続けたため投資家は追加利上げを織り込んだが、見通しが非常に不確実な中、ベイリー総裁はそうした市場の見方を別方向に導こうとはしなかった。
これら中銀とは対照的に、日銀は今なお慢性的な低インフレと格闘中であり、金融緩和を「粘り強く」継続すると約束することで、ガイダンスの中核部分を残した。ただ、政策金利を「現在の水準、または、それを下回る水準」で推移させるという部分を和らげたのは、小さいが重要な変化だった。
欧州中央銀行(ECB)は、「毎回の会合ごとに」政策を決める姿勢を採用し、「政策金利に関する直接的なフォワードガイダンスへの回帰には強く反対」するとした。ただ、実際には幹部らが政策の方向性を強く示唆しているため、金融市場は今月15日の理事会でほぼ確実に利上げが実施されると予想している。また、多くの幹部は7月にも追加利上げを実施すべきだと述べている。
一方、FRBは今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で難しい局面に直面する。
パウエル議長は、先行きが不確実な時には明確なフォワードガイダンスは有用ではないと釘を刺しているが、13─14日のFOMCでは各委員が今後のフェデラルファンド(FF)金利を予想するドットチャートは公表せざるを得ないからだ。
<ドットチャートの難点>
ドットチャートは、FOMCメンバーが経済の先行きをどう見ているかを示し、透明性を高めるための道具だが、往々にして金利ガイダンスだと見なされる。バーナンキ元FRB議長は先月、「コミットメントと予想の違いがいつも理解されない」と述べ、政策立案者にとって「理想的ではない」状況だとの見方を示した。
ドットチャートで年内の追加利上げ見通しが示されている状況で、今週のFOMCが予想通り金利を据え置けば、疑問が持ち上がりそうだ。また、利上げ予想が示されなければ、「データ次第」と言いながら足元の高いインフレ率に対応しないのはなぜだ、という疑問を突きつけられるだろう。
ただ、こうした不明瞭な状況が必ずしも悪い事だとは言い切れない。危機が相次いだ15年間を経て、正常な状態が戻ってきた証しかもしれない。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は今年ロイターに、現在の引き締めサイクルは「一種の正常な金融政策への回帰だ」と発言。中銀のコミュニケーションが今より限定的だった90年代のように、データに応じて適切な金融政策を行う状況に戻っているとの見方を示した。