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多くの日本企業も進出している東南アジアのタイで、ことし5月の総選挙から続いてきた政治的な空白に終止符が打たれました。
22日午後、タクシン元首相派の第2党からセター氏が、新たな首相に選出されたのです。
そしてこの首相選出に先だって15年ぶりに帰国したのが、軍事クーデターで政権を追われ、その後、国外で事実上の亡命生活を送っていたタクシン元首相その人です。
元首相の帰国と、新首相の選出に揺れたタイの1日を追いました。

15年ぶり元首相の帰国

22日の現地時間の午前9時ごろ(日本時間午前11時ごろ)タクシン元首相を乗せたプライベートジェットが、首都バンコクドンムアン空港に到着しました。

国外で事実上の亡命生活を送り、15年ぶりの帰国を果たしたタクシン氏は、空港の建物から姿をあらわすと、まず玄関前に設けられた国王夫妻の肖像に花を捧げてひざまずき、王室への敬意を示しました。

そして待ち受けていたおよそ250人の支持者たちに近づき、笑顔であいさつを交わしたり、手を取り合ったりしたあと、再び建物のなかに入っていきました。

空港には熱烈な支持者たちが

空港の周辺には、朝早くからタクシン派のシンボルの「赤いシャツ」を着た多くの支持者たちが集まっていました。

62歳の男性は「タクシン元首相が戻ってきてくれてうれしい。彼を歓迎したい気持ちでここにきました」と話していました。

また地方から来た42歳の女性は、「740キロを移動してバンコクまでやってきました。タクシン元首相が帰国したのをみて、この国が和解を迎えたと実感しました」と話していました。

タクシン氏は刑務所へ
しかし帰国したタクシン氏は、空港から車で最高裁判所に移送され、その後、現地時間の午前11時半前(日本時間の午後1時半前)には、刑務所に入っていきました。

汚職などの3つの罪で実刑判決が確定していたためです。刑期はあわせて8年。

タイの法務省によりますと収監前に医師が診断したところ、高血圧などはあるものの健康状態はおおむね良好だということですが、74歳という年齢に配慮して医師による観察を24時間体制で行うとしています。

また、食事についてはほかの受刑者と同じものを出すとしていて、収監後に水と菓子パンが出されたほか、夕食はごはんと野菜炒めが出されるということでした。

タクシン派の新首相の誕生なるか

収監も覚悟でタクシン氏が帰国を決断した背景にあると考えられるのが、タイの新首相の選出です。

タイでは、ことし5月の議会下院の選挙で第1党となった民主派政党「前進党」が、連立政権の樹立を目指しましたが、保守派の強い反発で首相の選出を阻まれました。

これを受け、政権づくりの主導権を握ったのが第2党でタクシン元首相派の「タイ貢献党」です。

タイ貢献党」は、民主派の「前進党」を排除した上で、長年、対立関係にあった軍に近い保守政党との大連立にかじを切りました。

タイ貢献党」が擁立したセター候補は、22日、議会の上下両院で482票を獲得して、選出に必要な過半数の支持を固め、新たな首相に選出されました。

セター氏は61歳。タイの不動産開発大手の元経営者として知られ、タクシン元首相に近い人物とされています。

タクシン氏は、タイ貢献党が主導する新政権の発足が確実になったと判断したことから22日の帰国を決断したものとみられ、たとえ一時的に収監されても、すでに恩赦に関する交渉がまとまっているのではないかという臆測が広がっています。

根強い人気を誇ったタクシン元首相

タクシン元首相は、タイ北部チェンマイ出身の74歳。警察官僚や通信事業の実業家を経て政界に進出しました。

所得の再分配政策を掲げて、北部や東北部を中心とした農村部や低所得層などから支持を集め、2001年の総選挙で勝利して首相に就任しました。

2005年の総選挙では圧勝し、首相として2期目に入りましたが、親族による株の不正取り引きの疑いが明るみに出たことをきっかけに、退陣を求めるデモが相次ぎ、2006年に軍によるクーデターで失脚しました。

その後もタイの政治で強い影響力を保ってきましたが、首相在職中の汚職の罪などで実刑判決を受けていて、公判中に国外に出たまま、ドバイなどで事実上の亡命生活を送っていました。

国を追われてからもタクシン元首相の人気は根強く、2011年の選挙ではタクシン派が勝利してタクシン元首相の妹のインラック氏が首相に就任します。

ところが、タクシン元首相の帰国に道を開く恩赦法案を成立させようとしたことをきっかけに、反タクシン派による反政府デモが拡大しました。

事態を収拾させるためだとして、軍は2014年に再びクーデターをおこし、以来、軍の影響力が強い政権が続いてきました。

今回、これまで対立を続けてきたタクシン派と、軍に近い保守派の大連立を受けて帰国を決断したタクシン氏が、今後、どのような政治的影響力を発揮するのか注目されます。

#タイ(タクシン元首相帰国 自派の新首相選出【22日の動き】 )

タイ下院議長の報道官は23日、前日の国会投票で首相に選出されたタクシン派「タイ貢献党」のセター・タビシン氏が王室の承認を得て新首相に就任することが決まったと発表した。

#タイ(タクシン元首相派の第2党「タイ貢献党」幹部セター・首相・選出・王室承認)

タイ当局は23日、国外逃亡から22日に帰国したタクシン元首相(74)が、移送先の刑務所から夜間に病院に搬送されたと明らかにした。心臓の状態と高血圧について懸念があるためとした。

警察は、刑務所で適切な処置が施せる保証がないため搬送されたと説明。

最高裁判所は22日、権力乱用などで有罪判決を受けているタクシン氏に計8年の刑期を言い渡した。タイ議会は同日、タクシン派「タイ貢献党」のセター・タビシン氏を新首相に選出した。

#タイ(タクシン元首相・帰国・収監・病院搬送)

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#タイ(タクシン元首相派の第2党から新首相選出の可能性高まる)
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#タイ(タクシン元首相派の第2党「タイ貢献党」幹部セター・首相・選出)

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