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欧州連合(EU)の欧州議会選(定数720)は9日、大勢が判明し、極右勢力が躍進した。これを受けフランスのマクロン大統領は仏国民議会(下院)の解散総選挙を発表。EUの政治的な先行きが一段と不透明になった。

親EU会派が引き続き過半数を維持する見通しだが、今回の選挙結果はフランス、ドイツ両政府にとって痛手となった。

マクロン氏は6月30日に総選挙の第1回投票を実施すると表明。ドイツのショルツ首相も、自身が率いる与党・社会民主党(SPD)が過去最悪の結果となり、中道右派や極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に敗れた。

一方、出口調査によると、イタリアではメローニ首相率いる右派「イタリアの同胞」が首位に立つ見通し。

欧州議会の右傾化が進めば、新たな法律の制定が難しくなり、安全保障問題、気候変動、米中との産業競争への対応が遅れる可能性がある。

ただ、ユーロ懐疑派がどこまで発言権を強化できるかは、各政党が見解の相違を乗り越えて連携できるかにかかっている。

出口調査によると、議会では中道右派の「欧州人民党(EPP)」が5議席増の189議席と、最大会派となる見通し。

EPPのフォンデアライエン欧州委員長は「EPPなしに多数派を形成することはできない。私たちは左派と右派の極端な勢力に対抗するとりでを築く」と語った。

出口調査によると、ユーロ懐疑派の「欧州保守改革(ECR)」、「アイデンティティーと民主主義(ID)」、会派に属さない極右政党の議席は19増の146議席

親EUの中道右派中道左派、リベラル、緑の党は456議席と、過半数を維持する見通しだが、現状の488議席から大きく議席を減らすとみられている。

専門家は、有権者の右傾化が進んだ背景には生計費の上昇、移民に対する懸念、グリーン移行のコスト、ウクライナ戦争などがあると分析している。

フランスのマクロン大統領は9日、国民議会(下院)の解散総選挙を発表した。欧州議会選で自身の与党勢力がマリーヌ・ルペン氏の極右政党に大敗する見込みとなったことを受けた。

6月30日に第1回投票、7月7日に決選投票を実施する。

マクロン氏は欧州議会選について、政権にとって厳しく、無視できない結果だと指摘。その上で「今こそ明確にすべき時だ」とし、「(国民の)メッセージと懸念を聞いた。応えないままにはしない。フランスは平静と調和の中で行動するために明確な多数派を必要としている」と述べた。

初期の出口調査によると、9日の欧州議会選で極右「国民連合(RN)」の得票率は約32%と、与党勢力(15%)の倍以上を獲得する勢いとなっている。

2027年大統領選の有力候補と目されるルペン氏は「(総選挙で)国民の信を得られれば、政権に就く準備はできている」と述べた。

マクロン氏の与党「再生」は現在、下院(定数577)の169議席、RNは88議席をそれぞれ保有している。

RNが過半数を獲得した場合、マクロン氏が国防・外交政策の指揮を執ることに変わりはないが、経済政策など内政の決定権限を失うことになる。

先行き不透明感を受け、ユーロは10日アジア時間序盤の取引で約1カ月ぶり安値を付けた。

EUヨーロッパ連合の重要な政策を左右するヨーロッパ議会選挙は、EUに懐疑的な右派や極右の政党が議席を増やす見通しです。極右政党が大勝する見通しとなったフランスでは、マクロン大統領が議会下院を解散すると明らかにし近く、選挙が行われることになりました。

ヨーロッパ議会選挙は今月6日から9日にかけて加盟27か国で投票が行われました。

日本時間の10日午前8時すぎにヨーロッパ議会が発表した議席予測によりますとフランスではEUが統合を進めて強い権限をもつことに反対する極右政党の「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に対し獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通しです。

マクロン大統領は急きょテレビ演説を行い、「ナショナリストや扇動的な政治家の台頭はフランス、そしてヨーロッパにとって危険だ」と述べ、極右政党の躍進に危機感を示しました。

その上でフランスの将来について国民に信を問うことが必要だとしてフランスの議会下院にあたる国民議会を解散すると明らかにし近く選挙が行われることになりました。

EU加盟国全体でも、720議席のうちEUに懐疑的な右派や極右の政党が所属する2つの会派があわせて130前後と改選前に比べて議席を増やすほか、この会派に入っていないドイツの右派政党「ドイツのための選択肢」も14前後と議席を増やす見通しです。

これまでEUの政策を主に支えてきた中道右派中道左派などの3大会派は過半数を維持する見通しですが、EUに懐疑的な勢力が議席を増やすことで、EUの政策運営にどのような影響を及ぼすかが焦点となります。

仏極右政党率いるルペン氏「仏を復活させる準備できている」

フランスの極右政党「国民連合」を率いているマリーヌ・ルペンは、支持者の前で演説し「この偉大な勝利は、世界中で国家主義保護主義が復活しつつある歴史の方向と一致している。世界の人々に多くの苦しみをもたらしてきたグローバリズムを終わらせるものだ」と述べました。

そして、マクロン大統領が国民議会の解散に踏み切ったことについて「次の議会選挙で国民がわれわれを信頼するなら権力を行使する用意がある。われわれは国民の利益を守る準備があり、多くの移民の流入を終わらせる準備があり、フランスを復活させる準備ができている」と述べ、次の選挙での支持を訴えました。

フランスのマクロン大統領は、ヨーロッパ議会選挙で極右政党が大勝する見通しとなったことを受け、フランスの議会下院を解散し、今月末に選挙を行うと発表しました。マクロン大統領としては、国政選挙で勝利し、極右政党の影響力を抑えたいねらいとみられますが、地元メディアからは「危険な賭けだ」という指摘が出ています。

今月6日から9日にかけて行われたヨーロッパ議会選挙で、フランスでは、極右政党の「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に対し、獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通しとなりました。

これを受けてマクロン大統領は、急きょテレビ演説を行い、フランスの議会下院にあたる国民議会を解散し、選挙を行うと明らかにしました。

1回目の投票は今月30日に行われ、決選投票は来月7日に行われます。

マクロン大統領は演説のなかで、極右政党の躍進に危機感を示したうえで、「自分たちのため、そして将来の世代のために正しい選択ができると信頼している」と述べ、国民に支持を訴えました。

国政選挙で勝利することで国民連合の影響力を抑えたいねらいとみられます。

ただ、フランスメディアからは、選挙までの期間が短く、国民連合などが票を伸ばし、大統領の出身母体と異なる政党が議会下院の多数派を握る「ねじれ」の状態になる可能性もあるとして、「危険な賭けだ」という指摘が出ています。

ヨーロッパ議会選挙の結果を受けて、フランスのマクロン大統領が議会下院を解散し、今月末に選挙が行われることについてパリの市民からは、極右政党が今の勢いを保つのではないかと、大統領の決定を疑問視する声が聞かれました。

今月6日から9日にかけて行われたヨーロッパ議会選挙で、フランスでは、極右政党の「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に対し、獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通しとなりました。

これを受けてマクロン大統領は、フランスの議会下院にあたる国民議会を解散し、選挙を行うと明らかにしました。

1回目の投票は今月30日に行われ、決選投票は来月7日に行われます。

この決定について今回のヨーロッパ議会選挙で左派政党に投票したという27歳の男性は「マクロン大統領は国民に選択肢を与えるために解散したという印象もあるが、その反面、極右政党に対して門戸を開くことになるので、非常に危険ではないか」と述べ、大統領の決定を疑問視し、極右政党のさらなる躍進に懸念を示しました。

また、社会党に投票したというパリ郊外に住む56歳の女性も、「選挙は危険だと思います。国民連合から首相が出るかもしれません」と述べ、国民連合などの極右勢力が議会の多数派を握る可能性もあると指摘しました。
フランスの国民議会選挙について
フランスの議会下院にあたる国民議会は定数が577議席ですべてが小選挙区となっていて、選挙は、場合によって2回にわたって投票が行われる仕組みになっています。

1回目の投票では、過半数を得票し、かつ有権者の4分の1以上の票を獲得した候補者が当選します。

1回目の投票で、当選した候補者がいない場合は1週間後に決選投票が行われます。

決選投票では、1回目の投票の上位2人と、1回目の投票で有権者の12.5%以上の票を獲得した候補者が進み、最も多くの票を獲得した候補者が当選することになります。

前回・2022年の選挙では1回目の投票で当選した候補者は5人だけで99%は決選投票で決まっています。

そして前回の決選投票での全体の得票率をみるとマクロン大統領の与党連合や、左派連合などは1回目の投票に比べて上がったのに対し、極右政党の「国民連合」は1回目の投票に比べやや下げています。

この決選投票では、「国民連合」よりそれ以外の政党の候補者にやや有利だった傾向がうかがえます。

現在の国民議会では、マクロン大統領の与党会派が250議席過半数の289議席に届かず少数与党になっています。

また「国民連合」は88議席となっています。

専門家“大統領会派に有利に働く可能性に期待し解散総選挙に”
フランスのマクロン大統領が、ヨーロッパ議会選挙の結果を受けてフランスの議会下院を解散すると発表したことについて、ヨーロッパの政治や経済に詳しい第一生命経済研究所の田中理首席エコノミストは「議会下院の選挙で使われている『決選投票制』は大統領会派に有利に働く可能性があることに期待して、解散総選挙にうって出た」と分析しています。

ヨーロッパ議会選挙で、フランスでは極右政党の「国民連合」が大勝する見通しになったことについて「ヨーロッパ各国では移民の流入増加に対する国民の不満や、エネルギー価格の高騰による生活困窮が背景にある。加えてフランスでは極右政党が、ヨーロッパ議会選挙をマクロン大統領に対する信任投票という形で位置づけて国内政局を争点化することに成功した」と述べました。

そのうえで、マクロン大統領が議会下院を解散し、選挙を行うと明らかにしたことについて「2年前の議会下院の選挙では与党連合が過半数を失って厳しい議会運営をこれまで強いられてきた。ヨーロッパ議会選挙の敗北で政権に対する風当たりはさらに厳しくなることが予想され、秋の予算審議など、重要な法案の審議では、行き詰まることが目に見えている。『決選投票制』は大統領会派に有利に働く可能性があり、極右首相の誕生を恐れる有権者が最後は大統領支持に回ることに期待して、解散総選挙にうって出た」と述べ、解散に踏み切ったねらいを分析しました。

そのうえで「ヨーロッパ議会選挙の結果を無視した場合、マクロン大統領が国民の声に耳を傾けずに政権運営を続けようとしていると国民の目に映る可能性があり、耳を傾けているというアピールにつながることを期待しているのではないか」と述べ、このタイミングで選挙をする理由を述べました。

一方で、勝算については「極右政党はかつて主張していたEUの通貨『ユーロ』からの離脱のような極端な政策を封印してフランス国民の間で受け入れられつつある。極右政権誕生を阻止できるかは疑問だ」としたうえで、「追い風は間違いなく極右政党に吹いている。解散は非常に賭けに近い」と指摘しました。

#マクロン解散総選挙発表)

欧州議会選挙で極右政党の勢力拡大が確実となる中で、イタリアではメローニ首相率いる右派政党「イタリアの同胞(FDI)」が勝利を収め、政権基盤を一段と固める見通しだ。

  テレビ局La7が公表した調査会社SWGの出口調査によると、FDIが勝利に向かっており、得票率は27-31%となる見込み。2019年の前回選挙では6%強にとどまっていた。

  同調査によれば、2位は中道左派民主党で得票率は21.5-25.5%となる見通しで、二大政党による分極化が浮き彫りになった。

  FDIの連立パートナーであるサルビーニ書記長(党首)率いる右派の「同盟」とタヤーニ書記長の中道右派フォルツァ・イタリア」は共に10%弱の得票率になると予想されている。

  今回の欧州議会選挙ではフランスとドイツを筆頭に右派政党が支持を伸ばした。メローニ首相の政治姿勢は欧州議会会派の連携を巡る重要な決定やフォンデアライエン欧州委員長の後任選びの鍵を握ることになる。フォンデアライエン委員長は2期目を目指す意向を示している。

  今回の選挙は22年総選挙で26%と得票率を大きく伸ばし第1党に躍り出たFDIにとって信任投票の意味合いを持っていた。

原題:Italy’s Meloni Wins EU Vote as Far-Right Gains Across the Bloc(抜粋)

欧州議会選でイタリアのメローニ首相が率いる右派「イタリアの同胞」が国内第1党となり、同氏の影響力が内外で強まる見通しとなった。

開票率96%の時点でイタリアの同胞の得票率は28.8%と、前回2019年の欧州議会選の4倍以上となったほか、22年のイタリア総選挙の26%も上回った。

メローニ氏は10日、党本部で「イタリアが主要7カ国(G7)と欧州に最も強力な政権として臨むことを誇りに思う。以前にはなかったことだ」と述べ「満足であると同時に大きな責任でもある」と表明した。

野党の中道左派民主党」は24%で2位、左派「5つ星運動」は9.9%で3位だった。

与党連合の得票率は47%強と22年の43%弱から支持を伸ばした。イタリアの同胞と連立を組む「フォルツァ・イタリア」と「同盟」それぞれ9.7%と9.1%だった。

イタリアの同胞はネオファシストグループに起源を持ち、22年の総選挙での勝利は欧州全土における極右勢力の躍進を方向付けた。しかしメローニ氏は国際舞台ではイメージを和らげ、反欧州連合(EU)発言を封印し、主流の中道右派と保守陣営の橋渡し役となっている。

欧州議会選での躍進は、敗北を喫したフランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相と対照的な結果となった。

メローニ氏らが率いる欧州保守改革(ECR)がフォンデアライエン欧州委員長の2期目を支持した場合、ECRの存在感が高まりイタリアがEUの新執行部に影響力を持つ可能性がある。

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ベルギーのドゥクロー首相(48)は9日夜、国政選挙と欧州議会選挙で所属政党「フラーム自由民主」が惨敗したことを受け、辞任を発表した。

ドゥクロー氏は記者団に対し、「私は今回の選挙活動の代表者だった。これは私が望んでいた結果ではない。したがって、この結果の責任を負う。こうなるはずではなかった」と語り、明日辞任することを表明した。

ベルギーの公共放送局RTBFによると、フラーム自由民主欧州議会選でも振るわず、得票率はわずか5.8%にとどまった。極右のフラームス・ベラング(VB)と中道右派の新フランデレン同盟(N―VA)は、それぞれ14.8%と14.2%の得票率で接戦だったという。

欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会の次期委員長(任期5年)は、フォンデアライエン氏の再選が最も有力視されている。ただ、欧州議会選挙でEU懐疑派のナショナリズム政党が議席を伸ばしたことで不透明感も出ている。
再選には加盟27カ国首脳の「特定多数」と、欧州議会議員(定数720)の過半数支持を獲得する必要がある。

2019年の前回委員長選でフォンデアライエン氏は辛うじて9票差で選出された。自身が所属する中道右派の「欧州人民党」(EPP)は最大会派だったものの、単独で必要議席数に及ばず、2番目会派の中道左派の「欧州社会民主進歩連盟」(S&D、中道左派)と3番目の「欧州刷新」(RE、中道リベラル)の支持を取り付けた。
EPPは依然最大会派だ。今回欧州選挙の最初の議席予測では、中道左派やリベラル派、「緑の党」がフォンデアライエン氏に投票すれば、過半数361票を超えることになる。

ただ、ナショナリズム政党やEU懐疑派、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が合わせて22議席増やして計149議席に伸張する見通しだ。
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無所属は102議員に上る。このうち何人がユーロ懐疑派の会派に正式合流するか次第で、ナショナリズム政党らの勢力はさらに膨らむ可能性がある。
しかもフォンデアライエン氏を推す各党の中で造反議員がどのぐらい出てくるのか予想が付かない。そうした情勢では再選戦略の余地はかなり限られる可能性がある。

<政策は右傾化か>

支持固めを急ぐフォンデアライエン氏はEU懐疑派が結集した欧州保守改革(ECR)と重要な政策課題で協力する用意があることを示唆している。

ECRにはメローニ首相率いる右派「イタリアの同胞」(FDI)やスペインの極右政党「ボックス」(VOX)、ポーランドの強権的な保守政党「法と正義」(PiS)が含まれる。外交官らの間では、欧州委員会欧州議会に提出する法案は一段と右傾化しかねないと取りざたされている。

中道左派社会民主主義系やリベラル派、緑の党など従来の支持層は、フォンデアライエン氏が2期目戦略として右派ECRとの協調路線を採れば支持を取り下げると表明している。

<一筋縄では行かない>

EU加盟27カ国の首脳27人のうちEPP所属は13人にとどまるものの、フォンデアライエン氏の再選戦略は多少容易になっている可能性がある。EPPが欧州議会で依然として最大会派である上、委員長1期目の実績として新型コロナウイルスワクチンの早期供給やロシアのウクライナ侵攻を受けたEU団結が広く認識されているためだ。

ただ、一筋縄では行かない面もある。再選に必要な「特定多数」は加盟国首脳27人のうち15人の支持。しかも、その15カ国の総人口はEU全体の65%を占めている必要がある。現在EPP所属の首脳13人の国は人口合計がEUの26%しかない。この中の最大はポーランドだ。

実際の再選戦略にはEPPに属していないドイツのショルツ首相やフランスのマクロン大統領の支持票も欠かせない。ただ、フランスはマクロン大統領がイタリアの前首相で、欧州中央銀行(ECB)総裁も歴任したドラギ氏をEU機関の重職に起用するべき人材の1人と強調しており、フォンデアライエン氏支持を確約していない。

委員長ポストは今年決定される一連のEU高官ポストの一部。欧州議会各会派は、高官人事に支持を打ち出す際、自分たちの政策公約だけでなく各代表が重要なポストに就くこととバーターにするため、先行きは一段と複雑になっている。

欧州議会選挙は、右派・ナショナリスト勢力が物価高騰や移民問題、環境対策負担増大などを巡る有権者の不満を巧みに取り込んで議席を大きく伸ばす見通しで、欧州連合(EU)の重要政策への影響力を強めようとしている。

右派・ナショナリストやポピュリスト、EUに懐疑的な勢力などの合計獲得議席は、欧州議会事務局の推計に基づくと定数(720)の4分の1弱に達する勢い。

米国でも過激な主張を掲げるトランプ前大統領の人気が根強く、現状維持を唱える既存の主要政党から極端な党派に有権者の支持が流れる傾向が、西側で広がりつつあることが確認できる。

実際、ハンガリーやイタリア、スロバキアではすでにナショナリストの首相が生まれ、フィンランドスウェーデンは右派政党が政権を担うか支えている。オランダでも反移民の自由党が連立与党入りしそうな様相だ。

過去の欧州議会選で、これら各国の右派は「英国に続け」とばかりにEUや通貨ユーロからの離脱を主張していたが、今回はEUの中で影響力を行使しようと考えている。

英王立国際問題研究所のアルミダ・ファンリーイ上席研究員は、極右を政治の表舞台から排除するためのいわゆる「防疫線」が崩れてきていると指摘。右派側がソーシャルメディアを幅広く駆使して若い有権者を取り込んでいる点などをその理由として挙げた。

<結束図れるか>

ベルギー北部オランダ語圏の極右「フラームス・ベラング(VB)」に属する議員の1人は新たな欧州議会の課題として、1)最近合意されたEUの移民協定の廃止、2)環境規制の緩和、3)フォンデアライエン氏に比べて右派寄りの次期欧州委員長選出――を示した。

現時点で次期欧州委員長レースは、第1党の座を維持するとみられる中道右派「欧州人民党(EPP)」に支えられて続投を目指すフォンデアライエン氏が先頭を走っている。

ただ、同氏も欧州議会での確実な承認を得るためにはイタリアのメローニ首相が率いる「イタリアの同胞」など一部右派勢力を味方につける必要があるかもしれず、メローニ氏らの政治的立場を強めることになる。

欧州改革センター(CER)のルイジ・スカッツィエリ上席研究員は、こうした中でEPPは既に、環境と成長の両立を図るための「欧州グリーンディール」により広範な環境政策を盛り込む熱意を後退させていると述べた。

スカッツィエリ氏は、右派が今後移民審査の厳格化や、EU拡大に向けて必要な改革措置の承認をより難しくするような取り組みを進める事態も想定。「これは直ちにというより時間をかけて顕現化してくる効果だろう。右派は、もっと全般的な政治的議論の形成という面でもかなり強力な影響力を持っている」と説明した。

欧州政策センター(EPC)のアソシエートディレクター、コリーナ・シュトラトゥラト氏は、この先鍵を握る要素は、過激な右派がどこまで結束できるかになるとの見方を示した。

これまでの右派勢力は、一体化という意味では実績が乏しい。フランスの極右の顔となっているマリーヌ・ルペン氏は、メローニ氏に対して右派の大合同を呼びかけているが、ルペン氏が属する国民連合(RN)が主導する会派は先月、ドイツのための選択肢(AfD)を除名したばかりだ。

またメローニ氏と会派を組む一部政党と、ハンガリーのオルバン首相が率いる「フィデス・ハンガリー市民連盟」の距離も一層遠くなろうとしている。

EPCの調査によると、右派勢力はこうした足並みの乱れが響き、投票結果を完全にコントロールするには欧州議会の7割余りの議席が必要だが、ここまでの議席を得られないのはほぼ間違いない。

欧州の右傾化は長い道のりだった。欧州の主流派は、かつはごく少数派と見られていた欧州連合(EU)懐疑派の意見を徐々に受け入れつつある。

極右勢力は欧州議会選挙で躍進すると見られている。数字だけで言うと控えめに見えるかもしれないが、その意義は大きい。

今回の選挙結果で、EU機関を独占していた親EU主流派の前に大きな壁が立ちはだかった。

極右政党の躍進は予想外というわけではないし、EUにとって生存の危機をもたらしているわけでもない。だがこの先数年、EUに懐疑的な右派陣営が組織の方向性についてかじ取りを担うことになるかもしれない。

欧州議会は引き続き中道政党が多数派を維持すると見られているが、台頭する極右勢力への対抗手段として、今後24時間で「大連立」の協議が行われることになるだろう。極右の大躍進が続く中、中道の会派は依然リードを保っている。

表向きは親EU政党の勝利と言える。数字だけ見れば中道連立はなお健在だ。中道右派の「欧州人民党」、中道左派の「社会民主進歩同盟」、中道リベラル会派の「欧州刷新」は、欧州議会の三大政治会派だ。ここに親EU派「緑の党」を加えれば、中道派は圧倒的大多数を占める。

右派の「欧州保守改革」と「アイデンティティーと民主主義(ID)」の躍進を考慮しても、主流派の親EU中道陣営は欧州議会で十分優位な議席数を維持している。

しかし、欧州政治の流れは必ずしも欧州議会内で決まるわけではない。そもそも中道陣営が連立を望むかどうかも分からない。

これら中道会派はいずれも親EUの立場を取っているが、政策面ではことごとく意見が異なる。国内の政情が極右に移行しつつあることから、中道右派が欧州レベルでも極右との協力態勢に次第にひかれていく可能性もある。

これにより、EUの行政を担う「欧州委員会」の次期委員長任命にも難題が立ちはだかることが予想される。任命の期日までは数カ月あり、政治的駆け引きの時間はたっぷりある。中道右派と極右の面々が協力する場面もありそうだ。

似たような力関係は政策決定の採決でも見られそうだ。欧州議会では連立を組むことはあまり見られない。欧州議員はケース・バイ・ケースで票を投じるのが常だ。中道右派ウクライナ支援をはじめとする問題で左派と足並みをそろえる一方で、移民対策や気候政策では極右と手を結ぶというのはあり得ない話ではない。

EU議会内での政治会派の協力体制を左右するのは、欧州レベルでの政情だけではない。各加盟国の内政状況が、欧州議会での協力態勢に圧力となってのしかかるのは避けられないだろう。

EU加盟27カ国中13カ国の首脳は、欧州議会の右派会派に所属している。オランダで間もなく新政権が誕生する見通しで、IDのメンバーが政権を率いる可能性がある。中には首脳が欧州政治会派に属さない国もあるが、そうした首脳も全体的には右派思想に同調している。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は極右ライバルのマリーヌ・ルペン氏に大敗を喫すると予想されているが、これを受けて、今月末に解散総選挙を実施すると発表した。

ルペン氏の影響で、マクロン氏もフランス国内では右派に傾かざるを得なくなり、政権の発言も次第に反移民・反イスラムの色合いを帯びている。2027年に控えたフランス大統領選では、ルペン氏が一気に権力を握る可能性もある。

9日の欧州議会選挙の結果は、右傾化が突然一気に起こったわけではなく、じわじわと段階的に行われてきたことを示している。欧州政治の中心は、長い年月をかけて右に傾いてきた。

それが最も顕著に表れた最近の例が、EU政界の主役に躍り出たジョルジャ・メローニ氏だ。22年、メローニ氏はイタリア首相に任命され、同氏率いる国内政党「イタリアの同胞」は、第2次世界大戦中のファシスト指導者ベニート・ムッソリーニ氏以来、最も右寄りの政権となった。

EU当局者は当初、メローニ氏がEU撲滅の旗頭になるのではと警戒していた。就任後のメローニ氏はEUのウルズラ・フォンデアライエン委員長を支持し、ウクライナ支援などの問題では他の首相と足並みをそろえた。

メローニ氏は手にした影響力を利用して、自分に最も重要な問題、とくに移民問題で、EU政治の流れを変えようとしている。

はた目にも明らかにEU懐疑主義がピークを迎えたのは、おそらく16年のブレグジット(英国のEU離脱)をめぐる国民投票だろう。長年にわたる英国内政の変化の末、中道右派は極右の影響力を回避する方向へ移行し、結果的にEU離脱に至った。

当時の英国の状況と現在の状況が違うのは、EU懐疑派はもはやEU離脱を望まず、EUを支配しようとしている点だ。

今回の選挙速報をこうした背景に照らし合わせ、数カ月後、数年後に控えた欧州各国の選挙に目を向けると、EU中道の方向転換がより現実味を帯びてくる。

欧州議会選挙でEU自体が焦点になることはまれだ。選挙は加盟27カ国で、それぞれの国内情勢を背景に行われる。欧州議会選挙はしばしば国内政権への抗議票として利用され、国内で政権を取れない政党が健闘する。こうした政党が実際には何もできないことを、有権者も分かっているからだ。

だが今回の選挙結果から、欧州各地では今もなお、中道勢力を道連れにして、右傾化が少しずつ進んでいることがうかがえる。

9日に投票が終わった欧州連合(EU)欧州議会選挙で、EUの政策に懐疑的なナショナリストのグループが議席を拡大する一方、親EUの主流会派の勢力が後退し、全体として「右傾化」する見通しになった。

欧州議会の最も重要な役割はEUの新たな法案の審査と承認。一般的には、各種規制や指令が発効する前に、EU各国政府と合意するために必要な修正案を策定する。

また次の欧州委員長と欧州委員を承認する手続きも行う必要が出てくる。

一方で今回の欧州議会の勢力変化は、次の5年間に幾つかの大事な政策分野で影響を及ぼしかねない。

<気候変動>

次の5年は、欧州が2030年の気候変動関連目標を達成できるかどうかを左右する重要な局面になる。

EUは過去5年間に、30年の諸目標達成に向けてクリーンエネルギー促進や二酸化炭素(CO2)排出量削減のための措置の法制化を積み重ねてきており、これらを巻き戻すのは簡単ではない。

ただ欧州議会が気候変動対策に懐疑的な色合いを増したことで、せっかくの法規制を弱体化させるような抜け穴を増やそうとするかもしれない。多くの法規制は、次の5年で改めて見直す予定になっているからだ。例えば今年の選挙戦では、35年までにエンジン車の新車販売を段階的に廃止する措置は、一部主流会派の議員を含めて批判を浴びていた。

欧州議会はEU各国と、40年までの法的拘束力のあるCO2排出量削減目標の交渉も進める。この目標は、農業から工業、運輸まであらゆるセクターの30年代の排出量削減の取り組みの方向性を決めることになる。

<欧州防衛とウクライナ

外交と防衛は一義的には欧州議会ではなくEU各国の主権に属する以上、今回の選挙結果がEUのウクライナ支援ないし別の安全保障問題にすぐ影響を及ぼすわけではない。

それでも全欧州的な防衛関連プロジェクトを巡る各国と企業の協力促進や、各国によるより一体的な兵器購入などの計画策定において、欧州議会は一定の役割を果たすだろう。

このような目標を実現するための欧州委の「防衛産業計画」はEU各国とともに欧州議会の同意が不可欠だ。

欧州統合のさらなる深化に反対する会派の伸長によって、そうした目標の達成は難しさが増すかもしれない。同時に、欧州委のさまざまな計画の実効性を担保するEU予算も、欧州議会の承認を得なければならない。

<貿易>

EUの通商政策における欧州議会の基本的役割は、自由貿易協定が発効する前に承認を与えること。関税発動などには直接関与しない。

欧州委と一部のEU首脳は、ロシアとの間で失ったビジネスの穴埋めや、中国への依存度を減らすために、EUが信頼できるパートナーとの間で新たな貿易協定をより多く締結する必要があると訴えている。

現時点ではメキシコや南米の関税同盟である南部共同市場(メルコスル)といった相手との貿易協定がなお承認待ちの状態にあり、欧州委はオーストラリアなどとも協定を締結しようとしている。

これら全て、特にメルコスルとの協定は反対に直面しており、右派が拡大した欧州議会で承認を働きかけるのはさらに骨が折れる可能性がある。

<対中・対米関係>

欧州委は、米国や中国などの主要ライバルに対してEUが一枚岩の姿勢を見せる必要があると主張する。とりわけ米国でトランプ前大統領が返り咲いた場合、そうした態度が求められそうだ。

また欧州委によると、環境やデジタルといった重要産業で米国と中国がいずれも大規模な政府助成を実施している中で、EUも競争力を維持する上でもっと明確に産業戦略を統一することも必要となる。

ただ右派勢力は、より緩やかで分断的な欧州を提唱しており、これらの課題への対応力は弱まる恐れがある。

<EU拡大と改革>

EUは特にウクライナなど規模の大きい新規加盟国を承認する前に、農業政策と加盟国間の生活水準格差是正のための支援方法を改革しなければならない。現在の財政移転システムはあまりにもコストがかかり過ぎるとみなされているためだ。

ウクライナモルドバ、西バルカン諸国などの加盟を認めるには、意思決定方法も見直し、実現がより困難となっている全会一致の必要性を減らすことも不可欠となる。

このような改革が次の5年で提案されれば、欧州議会は具体化作業において重要な役割を担う。欧州統合の深化に反対する右派の発言権が強まれば、改革の行方にも大きな影響を及ぼすかもしれない。

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