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タイの憲法裁判所は7日、民主派の最大野党「前進党」に対し、去年の総選挙で、王室への中傷を禁じる不敬罪の改正を公約に掲げたことは国王を元首とする体制の転覆につながり得るものだとして解党を命じました。今後、若者など、支持者たちの反発が広がることも予想されます。

民主派政党「前進党」は去年5月の総選挙で王室への中傷を禁じる不敬罪の改正などを掲げて若者を中心に支持を集め第一党に躍進しました。

しかしその後、連立政権の枠組みから排除されて野党となり、ことし1月、憲法裁判所が不敬罪改正の公約は憲法に違反するという判断を示したのに続き、3月には選挙管理委員会が、国王を元首とする体制の転覆を図ったとして、前進党の解党を命じるよう、憲法裁判所に求めていました。

これを受けて審理を進めてきた憲法裁判所は7日「前進党には君主制を弱体化させる意図があり、それは国王を元首とする民主的な体制の転覆につながり得るものだ」などとして前進党の解党を命じました。

また、前の党首のピター氏など党の幹部について、10年間の政治活動の禁止を命じました。

タイでは、2020年にも前の年の総選挙で躍進した新未来党が解党を命じられ、各地で抗議行動が続きましたが、後継の政党として結成された前進党も解党に追い込まれる事態となりました。

前進党の支持率は総選挙から1年余りたったことし6月の世論調査でも49.2%と最も高く、今後、若者など支持者たちの反発が広がることも予想されます。

前進党「これからも前進しつづける」

憲法裁判所の解党命令について前進党は、政党のSNSを通じて、「憲法裁判所からは解党を命じられたが、前進党は国民の命を受け、これからも前進しつづける」とコメントを発表しました。

タイの憲法裁判所とは

タイの憲法裁判所は9人の裁判官で構成され、そのほとんどが2014年の軍事クーデターを主導したプラユット前首相の政権下で任命されました。

政党が憲法や政党法などに違反したと判断した場合、解党を命じることができるほか、首相や議員の資格を審査することもでき、2008年、タクシン派の当時の首相がテレビの料理番組に出演して報酬を受け取ったのは、閣僚の副業を禁じた憲法に違反するとの判断を示して首相が失職に追い込まれたこともあります。

これまで、たびたび政治に介入し絶大な権力を握る軍などに有利な判断を示してきたことから、タイ国内ではその公正さを疑問視する声も出ていました。

2019年の総選挙で躍進した「新未来党」についても党首が、メディア企業の株式を保有したまま総選挙に立候補したとして議員資格をはく奪し、政党についても解党を命じています。

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